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4、神の槍

神殿の出口に向かい歩くなか、装備品についての考察もする


レベルの変化と同様に装備品についても変わっていた


俺の方はというと 栄光の剣+99 → 聖剣フレイ


         獣王のコート+99 → フェンリルコート


ソフィアの方は 断罪の剣+99 → 神剣(ソフィア)


        竜王のコート+99 → 神装(ソフィア)


どちらも元が攻撃防御のステータスは+999だったのだが、新しく変更された武具は、それぞれ攻撃+100%と防御+100%になっていた


名称については、俺の物は有りがちなものに変わっており、ソフィアの方は名称?と言うには怪しい物だが、まぁ名称はどうでもいいだろう


問題は基礎値に対しての倍加に変更されており以前の装備に比べて、大分弱体化している点とステータスが元のカンストに戻ってやっと元の数値と同等というところだ


但し、ゲーム内にて高レアリティーな武具にはプロパティ(隠し効果)が付与されている物が多かったので、おそらくは現状の装備にも何等かのプロパティが付与されている事だろう


などと思案していると出入口の扉の前についた


直ぐ後ろのソフィアに顔を向け、軽く目配せをし扉を押す


石のスレる音がし光が指す中、扉を開ける


目の前に広がった世界は神殿周りは拓けてはいるものの、30メートルは有ろう木々に囲まれた森の中であった


ゲームでは木々に囲まれていたものの、その直ぐ先は草原になっていたのと比べると木々の高さや、その何処までも続いている森とは違うと感じさせる


さらに肌に感じる風や木々の匂いも感じるため改めてゲームでは無いリアルな異界に来たことを認識する


周りに目を向けると、神殿前の開けた地に大量の草が積んであり、その周囲には動物と思わしき骨が散乱している


これでこの地に生物が存在することは確定だろう


職業柄、骨を見れば地球上での動物に類似しているなら多少のめぼしいはつくため確認しに近くに行く


近くで観察した後、手に取り細部を見ると小さな骨はウサギに近く大きな骨は鹿に類似する物が多かった


ちなみに俺は肉でいうならば、牛、羊、鹿、兎、鶏、鴨、鳩などは丸のまま解体経験がある


鳥類に関しては生きたものを〆捌いた経験もある


調理する、というならばワニやダチョウに猪に熊、カエルに至るまで様々な物を扱った経験からの判断だ


地球上と類似した生物が居るということに多少の安堵をし散乱している骨を細かく確認しているその時だった


森の奥から地に落ちた木々の枝や葉を踏みしめ掻き分ける大きな音がした


片膝を付き、手に骨の残骸を持ったまま瞬間そちらに目を向けると


掻き分け現れたのは、狼のような顔をし体は熊のような二足で立つ生物だった


ただしそのサイズがおかしい、その生物との距離は30メートル程度と思うが目算するに、その生物の体長は前屈みに立っている状態にも関わらず4メートルはある


その生物は木に手を置いた状態で此方に気付き、動きを止めていた


あまりのことに言葉を失い、完全に固まった俺をよそに、その生物の4つの黒い目が赤く発光する


同時にヨダレを撒き散らし歯を剥き出した瞬間


「ゴルァアグァァーーーーーーーーーー!!!!」


と聞いたことのない叫びとも雄叫びとも取れる奇声を上げ体を前に倒し飛び掛かってきた


その刹那で距離を半分に縮める速さと雄叫びでの影響か俺は身動き一つ取れず呆然としている時だった


俺の後ろから、とても涼やかな声が聞こえる


『神槍グングニル』


その声と同時に光の槍というには極太の、さながらレーザー砲ともいう物が、その生物の上半身を通過し、角度が付き放たれた光の槍は天に向かって消えていった


硬直が解け声の聞こえた後ろを振り替えると、涼やかな表情のまま手を広げ片手を前に突き出したソフィアがいた


そこで我に帰り直ぐ様、襲い掛かって来たであろう生物に目を向ける


其処には生物であったであろう残骸が立っていた


無いのである


光が通過したであろう上半身、狼の様な頭部に4つの目を赤く光らせ、その獰猛そうな口から牙を剥き出し、ヨダレを垂らしていた頭部も、恐ろしく発達した熊の様な腕も、ゴリラのような屈強な胸も、上半身の全てが消えていた


まるでクッキーの生地を抜き型で切り取った残りカスのように下半身だけが立っていた


その状況を見ていると、その下半身から黒い光を放つ霧の様な物が飛散し下半身が消え、やがて透き通った光に変わり大地に吸い込まれていった


俺は立ち上がりソフィアの方を向き声を掛けようと思うが、どう声を掛けたら良いか言葉に詰まっていると


『敵意有りと見なし迎撃しました』


何でもないかのように平坦な口調でソフィアが言ってくる


「今のは魔法か?確か狂った戦神も類似の攻撃をして来たが」


『はい、確認したところ神聖魔法に使用出来る魔法名が記載されていましたので名称から攻撃魔法と判断し迎撃するため放ちました』


名称は違うが類似の攻撃はストーリー上のラスボスが使用して来ていた、トッププレイヤーでも即死のダメージを受けるためプレイヤー3人が集まり使役クリーチャーを含め15人で戦い配下を盾に死んでは蘇生を繰り返すゾンビ戦法でも撃破出来ない怪物だ


一度神殿入り口にもどり確認することとした、入り口の扉は高さ2メートルほどなので仮に先程の生物が多数押し寄せても入ることが無理ではあるし中から先程の魔法を放たさせれば殲滅可能だからだ


「よし、先程の生物についてとソフィアの魔法含め確認するぞ」


『ハッ』と膝を付こうとするソフィアを止め、俺は入り口前に転がる石柱に腰を掛ける


「まずはだ、さきほどの生物の死後の飛散を見るにサブデューと同じく魔物が存在し駆逐することで大地に帰るのは間違いないようだな、ソフィアは気付いたことはあるか?」


『レオン様、異界に飛ばさたのではなくサブデューの知らぬ何処かに転移したという可能性は無いでしょうか?』


その気持ちは解る、同じシステムなのだサブデューの中で知らぬ地に転移と思うだろう


だがそれはない、何故なら俺がここにいる


最初に確かめた傷に血と食料の味、匂いに肌に感じる感覚


自分の手首を掴むと確かにある脈、現代のVRでは考えられない技術であるし、ソフィアとの少ない会話ややり取りからわかるAIでは有り得ない対応だ


しかし彼女にはそれは解る筈は無い、多少強引にでも異界ということで話を進めることにする


「その可能性も考えたが今ある情報、状況から異界に転移したのはまず間違いない、そのつもりで思慮、行動する」


『かしこまりましたレオン様』


「さて、先程の生物いやもはや魔物でいいか、あの魔物を討伐したことでの変化の確認をまずする」


ゲームでは飛散し大地に力が戻る過程で、その討伐者に恩恵が与えられる


いわゆる経験値とドロップ品である、コンソールを出しステータス画面を確認すると、俺ソフィア共にレベルが10に上がっていた


数値は俺がHPMP共に2000、他ステータスは400allでスキルに変化は無い、ソフィアの方はというと


HPMP共に4000、他ステータスは800allになっていた


俺のほうも充分ぶっ壊れな成長率なのだが、ソフィアは輪をかけて壊れている


ゲームではレベル10、20、30といった節目に大きく成長しその経過の上昇率は微々たる物だが、この分だと俺は30lv時、ソフィアに至っては20lv辺りでカンストするだろう


早熟にもほどがあるのだが、その節目を越える度に必要経験値も跳ね上がる


ステータスの数値や装備、ストレージに気を取られ確認を怠った魔法の確認もする


俺の補助魔法から変化した戦神強化魔法を触れるとそこにはアブソルトウイナーの文字が出る


これが現時点の俺の使用できる唯一の魔法のようだ


単純に訳すなら絶対的な勝者という所だろうか、金の力で絶対的な勝利をもぎ取って来た俺への皮肉な気もしないでもないがそれは置いておこう


ソフィアの方は、神聖魔法は2に上がり神槍グングニル、神炎魔法は神炎ウリエルの2種類であった


次にストレージを確認すると、ニュードロップの証である赤文字でバフォメットの革×1、爪×1との表記があった


敵意のある外敵、魔物がいることは確定したからには魔法とスキルを実践しておく必要がある


「ソフィア、使用可能な魔法にスキルを使用し改めて確認するぞ」


そう告げ確認作業に入ることとした

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