5、確認作業と信用
さて何から試すかだが、あの魔物に有効なことが解った神槍から確認することにする
何故かと言うと消費MPを確かめたいからである、今ステータスを確認すれば解るだろ?と思うかもしれないが10lv、20lvといった節目にはHPMPが完全回復する仕様で、この世界でも10lvになったことで回復していいためだ
「ソフィア、神槍から試す、目標は定めなくていいが森に向かって撃ち込め」
『かしこまりました、神槍グングニル』
とソフィアが左手を広げ前に出すと、手のひらから槍の切っ先が現れ巨大な光の槍が森り打ち出されていった
眩い光を放っているものの無音で、あの時レーザーの様に見えたのは槍の柄の部分だった
その光の槍は木々を突き抜け100メートル程の地点で地面に刺さる
その刺さった瞬間、刺さった地点を中心に直径20メートルほどの半円形の高10メートル程の光のドーム状になる
槍が通った場所とドーム状の場所が綺麗にくりぬくように木々が消えており、くりぬかれたことで根元が消えた木や削られた木々が次々と音をたて倒れるなどしていた
射程100メートルで槍の着弾点を中心とした直径20メートルの光の球体発現させ、消滅させるようである
ここでソフィアのMPを確認するとMP3000/4000と減っていた
かなりの燃費の悪さである、さすがプレイヤーとは違い膨大なMPを持つボスの魔法か
ソフィアのMPが徐々に回復しているが、ゲーム時ソフィアは自動回復は無く俺の補助にて付与していたが、これが戦神のデフォルトか装備のプロパティかは不明だ
「よし次は神炎を試す、標的はそこの草の積まれた所だ」
おそらく先程の魔物の寝床だった場所を指定する
『はい、神炎ウリエル』
と神槍の時と同様左手を向けるが何も起きない、すると数秒後に草の少し上に赤紫の酷く汚く禍々しさを感じるバスケットボール程度の火の玉のような物が現れ、まるで頭上に水を入れた風船を割り水をかかるかのよう炎は草に流れ落ち、またたくまに対象の草を燃やしつくしたあと、逆再生するかのごとく炎は宙に戻り球状に戻った後消えていった
何処が神の炎なのか疑問はあるが変わった点が一つあった
草が積まれていた場所に行き近くで確認すると、燃えた痕跡が皆無だった触れても暑さもなく何ら変化が無い
つまり神炎は指定した対象だけを燃やしその他には暑さすら感じさせないというところか
MPを確認すると2600ほど残っており自動回復分を引くと500消費だろう
ゲーム時は当然、自PTの放つ魔法で味方がダメージを負うなどあるわけも無かったが、この辺を試すには危険すぎるので、神槍は特に注意が必要か
「次は俺の方を試すぞ」
少し気恥ずかしさを感じながらソフィアに向け右手を広げ魔法名で言う
「アブソルトウイナー」
そう唱えるとソフィアの少し前方の地面から青い光の剣状の物が現れ宙に浮き、その切っ先をソフィアに向けるといなやソフィアの胸を貫いた
いや、貫いた様に見えただけで貫通はせずに胸に吸い込まれていった
急なことに焦り声を掛ける
「ソフィアっ!平気か!?」
そんな俺をよそに落ち着いた様子で返してくる
『問題ございません』
悪影響が無いことに安心しステータスの確認をすると、見たことの無い剣の紋章のようなアイコンがついており、そのアイコンの右下に小さく60の文字があった
他に変化など無いかと確認していると60の文字が59に減っていた、つまり一度の詠唱で1時間効果が継続する強化魔法ということか
MPを確認すると1000消費されている、効果時間は長いとはいえゲームでは最高の補助魔法でも200が最高で、俺の使用していたフルブーストだ、効果は文字の通り全てのステータスの上昇である
ステータスを見てもフルブーストとは違うようで数値に変化が無いので、神槍と神炎を同じように撃たせてみる
結果は見た目や効果など全く同じで変化は無かったが消費MPがそれぞれ500と250になっており、消費MP50%カットという効果なのが解った
時間や対象がソフィアであることを考えると破格の効果なのかも知れないが、掛かるときの演出の割りに地味とも言えなくない
ただし現状スキルレベルが1なので、これが上がるにつれ効果向上やステータス付与などもあるかもしれない
そうしているうちに辺りは赤い光りに包まれてくる、この世界でも日は暮れるのかなどと思いつつ神殿内に引き上げることにした
神台の前に戻り、まだ大きくMPを消費しているソフィアにMP回復藥を飲ませてみると正常に回復することを確認する、これでHP回復藥の方も機能するだろう、そこはおいおい調べればいい
二人で携帯食料を水にて食事を済ませ、俺は神台に腰掛け今後について考える
食料はある、ストレージにある分だと恐らくは半年は持つだろう
ここに留まっても好転はしないだろう、何を求めて何を探すのか
有限である水や食料の確保は必要だろう
確保するには魔物を倒さねばならないのは明らかだ
その魔物を倒せるかが問題だ、ゲームならここはスタート地点である
あの魔物、システムはバフォメットと表記していたが、あれがよくゲームでチュートリアルに出てくるスライムやゴブリンにあたる魔物ということも充分ある
慎重に神殿周囲を探索しつつ、魔物を倒しレベルを上げるが懸命か
次にこの世界に人間がいるかどうかだ
人間がいて最低限の文明があれば水や食料の確保は容易になるだろう
ただしそれがその輪に入り込むのか奪い取るのかはその時によるが
人間がいたと仮定してまず言葉が通じるとは考え難い、種族的にも知能はあっても違うこともあるだろう
ゲームのように上手く入り込めるならよし
襲ってくるなら別世界から来た俺には人の形をしていようとも先程の魔物と大差無しだ
もろもろの根幹はやはり強さ、力と置き換えてもいい、これが必須だろう
バフォメットがソフィアによってあまりに簡単に倒してしまったので比較しようにもまるで解らない現状だ
慎重に準備をし最低でもこの森での力の比較と強化をするか
俺が思案してるなか、ただ静かに立つソフィアにストレージから指輪を二つ渡す
一つが状態異常無効化、もうひとつが死亡時指輪はロストするが、その死亡を無かった物とし強制的にホームに帰還する指輪だ
この指輪は左右にひとつづつ2つ付けられる、ソフィアが指輪を付けるのを確認し
「俺も付けておくか」
とわざわざ声に出し指輪を左右に付ける
もしもの時の保険だ、ソフィアは同じ効果の指輪を付けたと思うだろう
だが俺の付けた指輪の効果は違う、この二つは同じものを二つ付けたのだが効果は
英雄が死亡時、指輪はロストする代わりに使役クリーチャーがその命引き換えに英雄の死亡を無効化する
これを二つ付けたわけだ、したがってもしソフィアが俺を殺そうとした場合ソフィアの蘇生の指輪を考慮しても安全という訳だ
とんでもないクズと思うかも知れないが、AIでは無い人となった、いや戦神か、思考することが出来る以上、保険は必要だ
美女を引き連れ異世界を満喫出来るぜ!ヒャッハァーー!になれるほど若くも無いし、社会に出て経験を積み人間を知り、男女の関係も経験を重ねれば重ねるほど、信用はしても信頼はしないのが懸命である
その後、明日から探索と強化の方針や食料関係、この地の人の存在の有無について、対処など話し合い休む事にする
残念ながらテントなどのアイテムは存在していないのと毛布代わりになる素材は大量の武具と同時に覚醒転生に使用したため何も残って無く、バフォメットの革しかないためソフィアに使わせ俺は床に雑魚寝しようとしたのだが頑なに了解しないのでその硬く大きな革に少し間をあけ二人でくるまり壁に背をもたれかけ寝ることした




