33、ロイヤルガードに花束を
ソフィアの前に、赤い光の剣が現れる
ソフィアは、ウンウンと頷いている、おい! 早く握れ、何を悦に浸ってるんだ
光の剣に驚愕している騎士達、ようやくソフィアが剣を手に取ると剣は光の粒子となり、ソフィアの背に赤い光の翼を顕現させる
「な、なんだ!?その翼は!」
「間抜けめ、聞いてなかったのか? 神の御技だ、これから罰を与える為のな」
「ドラギール様、あれは、一体? まさか、本当に神の、、」
「馬鹿者が! あの様な者が神の使いなどと、そう、、あの赤き翼を見ろ! 悪魔だ、そう悪魔に決まっておろうが!」
そうドラギールが宣うのを聞くとソフィアはその髪が逆立つのでは? と思う程の怒気を発する
『愚かな人の子よ、神の使徒たる私を悪魔などと、その天に唾吐く言動、ここにおわす方こそ神! 神の命により愚かな背信者に神罰をくれてやる!』
おおう、ソフィアもノリノリだな、しかし俺の設定と大分違うが、、まぁいいか細かいことは
「いけ、ソフィア」
「何をしている! 早くあの神を語る悪魔を殺らんか!」
これを合図に両陣営が交差する、近衛騎士達は、ざっと50人か
5人の騎士が一斉に剣でソフィアに切り付けるが、ソフィアはその背に有る翼で前方を覆い剣を防ぐと
ギーーン、バキーーンと甲高い音を響かせ剣が砕け宙に舞う
翼にあんな使い方が有ったのか、俺は聞いてないんだが、、
と同時にソフィアが翼を広げると、切りかかった騎士5人の上半身が消え、残った下半身から大量の血飛沫が噴水のように吹き上がる
「ひぃぃ」と後ろの騎士達が悲鳴を上げる中、その主を失ったともいう下半身の一つの足を握ると、騎士達へ無造作に放り投げた
放り投げられた下半身は歪な軌道を取りながら、ドラギールの横を抜け、その後ろにいる騎士達に炸裂し、血の花が咲く
まるでボーリングでピンが散らばるようかの様に、ピンに価する物は騎士の肉片では有るが
そして悲鳴が上がる中、残りの4体の下半身も次々と騎士達に投擲していくと、ドラギールの後方には、無数の血の花が咲き乱れた、昼間俺がソフィアに送った真っ赤な花束のように
放心状態のドラギールを除き、生きている騎士達は、悲鳴を上げ、腰が抜け四つん這いになり逃げようとするもの、失禁する者、嘔吐する者など僅かな時で地獄絵図に変わっている
「さて、お前はどうする? 何といったかポンコツガードだったか?」
俺の言葉に正気を取り戻したのかドラギールが肩を震わせながら
「なんだと言うのだ、貴様等は!」
「お前は本当に馬鹿だな? だから天啓をう」
『神だ! 全能なる神と、その使徒だ!』
お、おう、まだそれを推すのか、いあ、ここ俺が決めるとこだろ? それにおもいっきり被せてるよソフィア?
「世迷い事を、、どんなトリックを使ったのかは知らんが、このドラギール! 王より賜りし聖剣を持ちて打ち砕く!!」
なんか俺、茅の外だが、、まぁ良い、これであの武具の性能は分かる
「打ち合わせ通り試してみろ」
両雄が互いに踏み込み激突する、と思うだろ? 踏み込んでいるのはソフィアだけだ、正確にはドラギールも、踏み込もうとしている
俺の目ですら、まるでスローモーションの様に見える、と言うことは、ソフィアからは正に止まって見えるだろう
ソフィアは踏み込むとドラギールの白銀の鎧の襟の前を掴むと引き抜く様に腕を振るう
メキャメキャ、バキャン、と音が鳴り、鎧の前方部分が剥がれ、その勢いでドラギールは地面に激突する
激突した衝撃で、自慢の聖剣がソフィアの足元に転がり込む
ぶへぇ、げぼぉ、ヴぇと吐血するドラギールを、しり目にソフィアは落ちた聖剣を掴みとる
幾らなんでも聖剣を離しちゃダメだろうが、本当にポンコツだな
「ぎざまぁ、おでの聖剣をかぇぜぇ」
と息きも絶え絶えのドラギールをソフィアは、ゴミを見るような目で見下ろした後、聖剣の柄と刃の中程を握ると畳むように捻ると、パキーーンと良い音がし、柄と刃の付け根から綺麗に折れた
「お、お、お、な、なんて、こ、こ」
言葉にならないドラギールをよそに、ソフィアは折った刃の部分を握る手に力を込めると
ミシミシ、ギ、ギと鈍い音の後、バキャーンと握り締めた刃の部分が砕け落ちた、ソフィアは詰まらなそうに残った柄を足元に捨てる
その柄をドラギールが必死に腕を伸ばし手に取った瞬間、グシャンと柄を握った手ごとソフィアが踏み潰した
えっぐいなぁおい、柄もろとも手首から先が無くなってるよ
「アァァけんがぁぁ、手がぁぁ」と呻くドラギールに近寄り見下ろす、この程度が王国一か、そして聖剣か
「これならマリーの方が強くないか?」
『レオン様? 当然ですよ?』
と笑顔のソフィアだが、こえーよ、俺に圧力かけるの止めてくれ
「そ、それはそうだな、ソフィアが鍛えたマリーが、こんなポンコツに劣る訳がないな」
『はい、当然です』と御満悦の様だ
「さてこのゴミ、もといロイヤルガード様をどうするかだが」
『足も潰しておきますか?』
「ひぃぃ」と悲鳴を上げ失禁し、死にたくない死にたくないと虚ろな目をして繰り返し唱えている
「いや、この辺りで良いだろう、もはや追えまい」
「では残ったロイヤルガードに近衛騎士の諸君、我々は失礼する、諸君等に神の御加護があらんことを」
俺は目の前で十字をきると、その場を後にした
そして俺達は急ぎ王都を出て、ランギール達を追った、2時間程でランギール一向に追い付く事ができ合流する
こちらに気付いた一行は足を止め、馬車に乗り込む
「よくぞ時間を稼いでくれたな、それで奴等は?」
「ああ罰当たりな奴等なら、キツイ神罰が下されたさ」
「ドラギールは殺して無いのだな?」
「ああ、生きてるさ、ただし自慢の剣と鎧は粉々になり、その自慢の聖剣を握る手も失ったがな」
頭を抱える伯爵にもう一つ告げる
「それと近衛騎士団の奴等は半分は赤い花束に変わったな」
ふーーと伯爵は息を吐き、首を振ると
「現状気にしてもいられんか、それよりも急ぎランギールに戻り戦支度をせねばな」
それから馬の限界まで飛ばし、行きの半分の日数で都市ランギールに到着をした
情報から推測すると、3週間で防衛地点に配置をしておきたい
2000もの兵なので移動の1週間を見ると、準備期間は僅か2週間ということになる
伯爵は迅速に各所に指示をし、およそ1週間で準備を整えた
俺達は何をしてるのかって?
俺達は今、防衛地点にいる、伯爵が準備を終えるのを待ち
先行して現地に来ている、後数日で騎士団長のドーン率いる騎士団1500、ガルバ率いる傭兵部隊500が到着する
侯爵の部隊3000も同じく数日後の到着だろう
さて先行しているのは、俺、ソフィア、伯爵、マリー、ライラ、ダン、ベン、ジョン、アリアの9人のみだ
何故先行してきているのかと言うと、俺の仕込みに時間と人手がいるからだ
この人選なのは情報漏洩を防ぐためだ、まぁ伯爵は先行に同行させるつもりはなかったが
「さて諸君、これからやってもらいたいことがある」
そう言うと、俺はストレージから無数の小さな魔石を取りだし設置した机の上に置いていく
「これをどうするというのだ?」
「この魔石を帝国兵を誘き寄せる範囲の周りを囲むように地面に埋める」
「と言うことは、その石を埋めた円の中に全ての帝国兵を入れるように動くということか?」
「そうだ、範囲は相当だ、埋める時間を考えての先行ということだ」
「まさか、その魔石によって広範囲の攻撃魔法を発動させるのか?」
「まぁそうだが、別にそれによってダメージを受けるなんてことは無い」
「それで勝利出来るのか?」
「いいや、勝利はできんな」
「勝利出来ると言ったのはレオン殿ではないか?!」
「落ち着けランギール、俺が約束したのは勝利ではない、絶対的な勝利だと言うことだ」
「それはどういうことなのだ?」
「まぁそれは、その時に分かることだ、今やることは絶対的な勝利に必須ということだ」
「用意しなければどうなる?」
「その時は、残念ながら勝利するだけだよランギール」
困惑するランギールをそのままに、俺達は魔石を所定の位置に埋めていき全軍が到着する頃には準備は完了していた
新たな情報が斥候からもたらされ、帝国の到着はおそらく2日後の昼とのことだ
これから運ばれてくる経験値に想いを馳せて星空を見ていると
『お休みになられないのですか?』
「ソフィアか、この後の戦を考えると寝付けなくてな」
『御心配事が?』
「いや、ないさ俺には常に勝利の女神がついているからな」
『はい、お任せくらひゃい』
だらしない顔になってる上に噛んでるぞソフィア
『フフ、フヒ、レオン様の女神、、』
と声も漏れているが聞こえてない事にしよう、そうしよう
これから起こる惨劇など微塵も感じさせない静かな夜だった




