13、懇願
「ガィーーン」
と額を貫いたとは思えない音と共に矢は弾かれ宙を舞い地に落ちた
俺はというと、僅かな衝撃あった程度で頭が微かに動いた程度だ
途中まで矢が消えていたのは魔法か何かか
『レオン様!お怪我は?!』
「何でも無い、余程弱い個体の攻撃だ、トロールの残党だろう」
「どうやら魔法を使える個体で非力故か潜伏でもしてたのだろう、さて矢の方向を考えると、、」
そちらの方向を注視すると、影が見える
「3、4匹ほどか?さてソフィア最後の〆にしてはショボいがしまつ、、」
始末しろと言い切る直前、空に掛かる雲の切れ目からその影に向かい星明かりが差し込み姿がみえる
「ソフィア!あれは人間種ではないか?!」
星明かりに照らされ見えたのはフードをかぶって顔は確認出来ないものの人のシルエットにローブも人の仕立てた物のように見える
『ええ人種のように思われますが、、、』
『人の身でレオン様に弓を引くとは、、この地にも背信者が、』
「ん?どうしたソフィア?何をブツブツいっている?チャンスだ対話か無理なら捕らえ、、って」
ソフィアはいつの間にか召喚した神槍を握り締め、今まさに投擲する瞬間だった
「ソフィアッ!殺すな!!」
咄嗟に口を開いたが無情にも槍は、ローブの人影に向かい直進する
直撃する!っというすんでの所で槍は起動をずらしローブの人影の脇腹をごっそり消滅させ森に消えた
「もはや対話も無理だろう、ソフィア捕らえろ、残りも何人かいる」
『はい、一体を残せば宜しいですか?』
と言いつつ飛び込もうとするソフィアに
「まて、可能ならば全員生かして捕獲しろ」
『ハッ』
と短く返事をすると前へ飛び出す
さて、確認できたのは3か4、他にも潜伏しているのか?辺りを見回すが、俺にサーチ系のスキルは無いし視認することは出来ない
矢の威力から一般のトロールすらやれるかどうかの弱い者だろう偵察かなにかか?
進み出たソフィアの前に二つの影が何やら騒ぎつつ飛び出す、腹部を抉られた者に一人が駆け寄り魔法をかけている
ソフィアの前へ出たのは一人は中型の盾に片手斧を持つ茶色の髪をし体格の良い男に
もう一人は、紺色の髪した両手剣をもつ男、顔はどちらも西洋風か、人種は間違いないが
何か叫んでいるが、やはり解らんな
などと考えているまにソフィアと盾の男が肉薄する
ソフィアの下からの切り上げに盾を構えるが、盾は勿論それを持つ腕も真っ二つに両断
両手剣の男がその隙をついて斬りかかるが、ソフィアの無造作に放った裏拳で振るった両手剣は砕け、その勢いのまま男の顔を捕らえ、さながら車に引かれたように吹き飛び、ぼろ雑巾の様に地を転がる、これで2
肉薄するソフィアに回復?を中断させ杖を向けるが、その杖の先を真横に両断され、ソフィアはその魔法職の髪を掴むと空高く放り投げた、10メートルいや、15メートル程、ポーンと放り投げられた魔法職は地面に落下しぴくりとも動かない
これで3、いや弓を放ったものはすでに瀕死で、確認出来た人影全てだが
「ソフィア、その弓を放ったものもこちらに連れてこい」
ソフィアは無造作にローブを掴むと引きずり連れてきて残り三人の所に放り投げた
さてここからだが
盾ごと両断された男に話しかける
「貴様、言葉は通じるか?」
話しかけても呻き声をあげ両断された腕を押さえるのみ
『レオン様の問いにこたえぬか!』
っと横腹を蹴りあげようとするソフィアを慌てて止める
「やめろソフィア、折角捕獲したのに死にかねん」
気を失っている両手剣の男と魔法職、こいつは女だったか、この二人にストレージから水を出して頭と顔にかける
「ゲホッ、ゴホッ」
と二人が覚醒する、俺は見下ろしもう一度問う
「話は通じるか?何故襲ってきた?」
苦渋の表情を浮かべ何やら喚く二人に、ソフィアの剣が両手剣の男の肩口に当たる
さすがに死が眼前だと喚くことはやめたが、問うても不明な言語が帰ってくるのみ
「これ以上は無駄か、、装備などを見るに恐らく近隣に人種の町はありそうだが」
『如何なさいますか?』
「仮にコイツらを生かして町に行ったところで、待つのは全面戦争が関の山か」
『ならばこのまま処分で?』
「致し方ないな、ここならトロールに殺されたとでも思うだろう」
「襲ってきた以上殺される覚悟はあるだろう?悪いが、サヨナラだ」
と言葉が通じないがバイバイっと手を軽く振る
呻き声をあげ瀕死の二人には伝わらんが、意識ある二人には伝わったようだ、絶望的な顔をし声もでないほど顔を歪めたその時、森からまた人影が飛び出して来た
「アニエスフラニンガ!セシアキイガル!!」
髪は灰色で肌は褐色の女が何やら怒鳴りこんでいるが
うん、わかんねーよ、こっちは糞みたいなトロールをかたした後に頭を矢で射たれた上にこれだ
流石に鬱陶しくもなるしムカつきもする
「流石に鬱陶しいな、ソフィア遊んだ上で黙らせろ」
『身の程をわきまえさせれば宜しいですか?』
「ああ、身の程でもどれ程でもいい、五月蝿くてかなわん、力の違いを思いしらせて黙らせろ」
剣を鞘に戻しゆっくりと進むソフィア
俺は溜飲を下げるために両手剣の男の顔を軽く蹴りあげ、縦に一回転し前つんのめりで意識を失ったそいつに腰をかける
褐色の女は激昂したのかさらにわめき散らしているが
「何いってるかわかんねーってんだろうが、それよりほらっぼさっとしてっとソフィアに首を飛ばされるぞ」
ソフィアを指指し、その後、首をかっきるジェスチャーをしてやる
構えもせずに散歩のように距離を詰めるソフィアに対して、褐色の女は両の腰に差した剣を握る
二刀流か、女は腰を低くし構えを取るが、ソフィアはそれでも何事もないように近寄る
褐色の女の間合いにソフィアが入るやいなや両の剣で器用に斬りかかる
その一太刀は首に吸い込まれ、もう一太刀はソフィアの腹を貫こうとしていた
「キィーーーン」「ガギギ」
その太刀は切り裂くことも貫くことも叶わず無防備なはずのソフィアには届かない
呆然とした一瞬の隙をついてソフィアは褐色の女の首を掴むと、無造作に地面に叩き付けた
「ガァァ」という悲鳴に「ドフン」と地面に叩き付ける音がする
それでも褐色の女は立ち上がり剣を構える
ソフィアがまた近づき叩き付ける
何度叩き付けただろうか?振るう剣は意味をなさず、防御もせずただ近付き首を掴み地面に叩き付ける
その後も幾度となく叩き付け、立つのが次第に遅くなると、じっと見下し立つのを待つ
そして繰り返しだ、やがて心が折れたのか起き上がらなくなり、ソフィアは女を無理やり持ち上げると俺の足元に放り投げ、その褐色の女の頭に足を置いた
やり過ぎな感はしないでもないが、明確な殺意をもって先にしかけたのはあちらだ
PVPでもそう言えばいたな、相手の力を見誤り襲いかかり返り討ちという
「さて静かになった所で、言葉は通じるか?何故襲ってきた?」
と無駄なのは解っているか話しかける
褐色の女は涙を流し何かを必死に伝えようとしているが
「ソフィア、足をどけてやれ」
すると女はコンソールを出した、剣を抜くソフィアを手で止め女を見ていると
ストレージから出したのだろう何か入った袋を地にふして此方に差し出す
ソフィアに取らせ中を確認すると見たことのない硬貨だ
金を渡すから見逃してくれと命乞いか?
その硬貨の袋を地面に投げ捨てると女はストレージから剣や書物の様なものを次々出し始めた
そして回復薬の様なものを出すとその両手に抱え祈るようなポーズをすると瀕死の者達を指を指したあと、その頭を地面に擦り付けた
持ち物を渡す代わりに見逃した上に負傷者の回復を懇願しているのか
しかし回復薬があるということは消費したMP回復薬も補充ができるかもしれないということか
おしいが、こいつらを見逃してなんの利がある
こいつらはひどく弱いが、まだ見ぬ強者を引き連れくることも充分考えられる、この地の人種の力を測れるというメリットもあるが
「ダメだな、、」
『でわっ』
ソフィアが剣を抜き放つと、褐色の女は自分の胸の前に手を広げ掴むジェスチャーをすると涙を流し俺に手を差した後、負傷者を指指す
自分の命を差し出すから負傷者を助けてくれか
「まて、ソフィア」
「いいだろうこいつらを見逃してやる」
『宜しいのですか?』
「ああ、ただし命を差し出すと言うならば試してやろう」
褐色の女の手を持ち両手を受け皿のようにさせる
そこにまず水を流し入れ飲ます、次に食料、そしてMP回復薬を見せその手に少したらし口にさせ魔法職の女を指差し、口にさせた物を指差し、寄越せのジェスチャーをする
女は必死に頷き、そして俺は空を指差し、回すジェスチャーをし手を広げ5日だと伝える
女は必死に頷き両手を使い6日と返してきた、俺は頷くと女は自前の回復薬を負傷者に使用しようとするが、それを止め俺のHP回復薬を一つだけ渡し、トロールの集落の中を指差し、女を確認した後ソフィア共に集落へ移動した




