14、厄災を超える厄災
『本当に宜しかったのですか?』
「ああ、例えあの連中をなき者とし町を見付けても行方不明者5人の後に現れる言語も通じない男女だ」
「人種が確認出来、ストレージも持ち装備品からみるにサブデューに近い文明はあると解った」
「言語も通じず、その上襲いかかる、どのみち全面戦争は避けられないのだろう」
『では、あのまま処理なさるか町まで案内させ、強襲してもよろしかったのでは?』
「それも考えたが、この世界の人種の強さも掴んでおこうと思ってな、あの様子だ援軍を呼ぶなら俺達に対抗しうる戦力を連れてくるだろうさ」
「それと奴は6日と示した、と言うことは、この集落を中心として3日ほど各方角に進んで見れば町ないし拠点は発見できるしな、あの状況でそこも偽っていたら大したものだしな」
「此方はソフィアの神槍の一端程度の力しか見せてない、強化された神炎もあるしな」
「無理そうなら被害を撒き散らし撤退だ、しかしサブデューの地で世界を救った英雄とそのパートナーが異界では悪魔じみてきたな 」
『悪魔などと御冗談を、襲い来る者を振り払っただけです』
『それよりも本当にあの者たちを見逃したのは戦力の把握が主なのですか?』
「可笑しいか?」
『違和感は感じます』
「そうだな、そうなったら仕方無いというのと、あの褐色の女が泣き、懇願し祈るような仕草を見たときに、、」
「どこかの世界の少女が嘆き涙し絶望し神に祈った話を思い出したせいもあるな」
『その少女は今、神に感謝し幸せな時を過ごしているでしょう』
「どうだかな?その後の地獄のような戦闘の日々を過ごした挙げ句、見知らぬ異界に飛ばされ神を呪っているかも知れんぞ?」
「命を差し出しても助けたいと言うなら一度は信じて見てもいい」
「約を違えると言うならば2度目は無いというだけだ」
『かしこまりました、牙を向くようなら私がその全てを払い除けます』
「ああ、頼りにしている、まぁ最低でも6日ある、その間に魔法の確認でもしておくか」
「しかし、流れで集落に戻ってしまったがトロールはリポップしないだろうな?」
『さぁどうでしょうか?レオン様ならレベルが上がり御喜びになるのでは?』
「言うようになったな?当分トロールは見たくも無いさ」
時は数日前
ユーシア大陸の中央に位置するグランギール王国、その王都より西に位置する第三の都市ランギール
このランギール領は北に魔法王国クジッマ、南にガゾート帝国に隣接し、西には死の森があるというグランギール王国にとって防衛の要である
魔法王国、帝国共に国境では小競り合いが慢性化している上に西には死の森である
この死の森には強力な魔物が数多存在し、深部に進めば進むほど死は降りかかる
その為、このランギールには腕利きの傭兵が数多く集まり、その過酷な状況とは裏腹に賑わいを見せている
そんな賑わいを見せる傭兵ギルドから話は始まる
「おはようございます!」
「おはようございます!アネサン!」
「おはようございます!ライラさん!」
と傭兵ギルドに一人の女が入ると、皆畏まり挨拶を掛けてくる
風体は、灰色の髪に褐色の肌、瞳は青く体型細身で両の腰には細身の剣が二つ
女の名前はライラと言い、傭兵ランクは1級である
傭兵ランクは上から特級、1級、2級と見習いである5級まで存在する
3級で一人前で2級で一流といった具合で1級以上になるとその力と影響力は計り知れない
このライラも傭兵ギルドには所属はしているが、このランギールの領主、ランギール伯爵の御抱えの傭兵である
何時もの様にギルドに顔を出し依頼などの確認をする、御抱えではあるが有事以外は通常依頼をこなすことも多い
「おはようサーナ、良い依頼はある?」
「おはようございますライラさん、早朝までは有ったのですが丁度よく無くなってしまって」
「へぇ?何の依頼?」
「死の森にトロールを見かけたと報告がありまして、もし集落を形成してますと大事ですので調査の依頼を」
「へぇトロールね、普段めったにお目にかからないけど」
「ええ、しかも今は6の月の太陽の週です伝承のことをギルド長が心配なさってまして、いつもは豪胆なのに、おとぎ話を気にするなんて」
ふふっと笑う受付をよそにライラは伝承を思い返す
数百年前、かつてこの大陸は一つの国だった
6の月の太陽の週、死の森でトロールが大量に発見された
当時はトロールの数は多く、各所で討伐されていた
その大量のトロールを討伐するため軍を差し向け、それを討伐する
しかし死んだトロールの死体から黒き霧がトロールの王に吸い込まれ、トロールの神が顕現する
その強さは凄まじく対峙する軍を殲滅すると短期で王都に侵攻をする
それからトロールの神との国を挙げての戦いは数年におよび、遂に打ち倒すが数多の都市は壊滅し
結果国力の落ちた国は、いくつかに別れることとなった
当時の伝承には6の月の太陽の週にトロールの集落を襲うことなかれ破れば大いなる厄災が訪れると記されいる
「おとぎ話で終わらす話でもないわ、6の月太陽の週には魔物全般が凶暴になり微少ながら強化されるって研究結果もでてるしね」
「それで何処がその依頼うけたの?」
「ライラさんのお弟子さんですよ、師匠に認めさせてやる!っていきまいてましたから」
「あの子達が受けたのね、、調査なら問題ないとは思うけど」
そう口にした私は急な悪寒に襲われた、戦場などでこれを感じた時、ろくなことがおきない、死にかける様な思いをだいたいしている
「追うわ、ギルド長に伝えておいて、嫌な予感がする」
「えっ?ライラさん?!」
私はギルドを飛び出し、教え子達を追って魔の森に向かった
追い付きそこで見たのは、瀕死の教え子と男女二人組、今まさに教え子は殺されるところだった
私は激昂し問い詰めるが言葉が通じない、異国の者か?武具を見るに只者ではないのは直ぐに解った
何処かの国の貴族か?瀕死の教え子を救うため、女と戦うが酷いものだった
戦いにすらなっていない、赤子と大人だ、いやそれ以上の差かもしれない
女は私に力の差を理解するまで何度も地に叩き付けた
無理だ、桁が違い過ぎる、私の心は折れていた
しかし教え子の姿が目に入り、呻き声も聞こえてくる
恥を忍んで命乞いをした、金や装備、持つものを出すが反応は悪く死が近づくのが分かる
それならせめてこの子らだけでも何とか
言葉通じぬ中、必死に伝えた、この命を差し出すのでどうか、この子達だけはと
奇跡的に了解を得られ、水と食料の要求は直ぐ解った、薬品?を少し飲まされると身体強化で空になった魔力が全快した
魔力回復薬も要求していると解った、しかしこんな少しで全快する回復薬など見たことがない
何とか町にある良質な回復薬を買えるだけ買うしかない
その後6日後にトロールの集落でということで二人組は集落に消えた
瀕死の教え子を見る、手遅れかもしれない、彼等の置いていった薬にいちるの望みをかけ使用すると
その傷はまたたくまに消え、無くなった部位は再生をするなど、おとぎ話の神薬を目にしたかのようだった
回復した教え子を起こし、アリアは一部始終を見ていたようだが説明を偽り町へと急ぐ
2日で町に帰還出来た、町に入る前に私は教え子に
今回の件はトロールの集落はなかったと報告すること
それがすんだら直ぐに、この町を出て王都へ、もしくは他国へ拠点を移す事を約束させた
先ず領主の御抱え傭兵を止め、水、食料、魔力回復薬を買えるだけ買い集落へ急がねば
約を違えたら、この町にどんな厄災が訪れることになるか、、
私は雇い主である領主の元へ急いだ




