第75話 実地訓練 1日目(3)
前回の話の最後に少し話を付け足しました。
俺達は作戦通りに特定の場所へ向かっていた。
そして小隊は縦2列になり、進んでいた。
俺の隣にはエッボや古参兵などがいた。
「それで小隊長さんよ、これからどうするんだ?」
エッボの問いかけに俺は返した。
「まずは北東にある森に向かう、その間にカリーナの偵察部隊は敵の前線を偵察してもらう」
「ほう、なら主力部隊は?」
「北西にある高地で陣地を構築してもらう」
「という事は俺達小隊はこの戦いでのキーとなるってわけか」
エッボは納得すると、俺の隣にいたギューテが道端に生えていた葉っぱを取り始めた。
「お……おいギューテ、置いてくぞ?」
するとギューテは取り終えたのか、こちらに走ってきた。
「ごめんね、少しこの葉っぱを取りたかったんだ」
疑問に思い俺は質問した。
「この葉っぱって何かに使えるのか?」
「使えるさ、この葉っぱは他の医薬品より治癒力が高いんだ」
「そうなのか?でも……見た目はただの葉っぱだぞ?」
「見た目はねそうだけど……けど少量の魔力があるから小さい傷にはぴったりなのさ」
なるほど、と俺は頷いた。
するとエッボの隣にいる兵士が歌い始めた。
「Es braust ein Ruf wie Donnerhall」
──雷鳴のような叫びが轟く。
俺は驚き、兵士たちを見ると段々と歌は広がっていった。
そして列の後方までも歌い始めた。
「Wie Schwertgeklirr und Wogenprall:」
──剣戟の響き、荒波の衝突のように。
「Zum Rhein, zum Rhein, zum Palmeria Rhein!」
──ラインへ、ラインへ、パルメリア帝国のラインへ!
「Wer will des Stromes Hüter sein?」
──誰がこの大河の守護者となるのか?
「おいおい、お前ら遠足じゃないんだぞ?」
そう言うと、ギューテは笑顔で言った。
「良いじゃないか、士気が高いことは」
「まあ……確かにそうだな!」
そしてギューテも笑顔で歌いながら全員で行進していった。
するとエッボが俺に話しかけた。
「お前さんも歌ったらどうだ?」
「いや、俺は歌詞とか分からねーよ」
するとエッボは笑い、話した。
「なぁに、いま覚えれば良いさ」
「そういうものか……?」
そう言いながらも俺は何とか歌おうとした瞬間、何処かで聞いたことがある曲だった。
この疑問を解決しようと、俺は兵士たちの歌をしっかりと聞いた。
「Lieb’ Vaterland, magst ruhig sein」
──愛する祖国よ、安らかであれ。
「Lieb’ Vaterland, magst ruhig sein」
──愛する祖国よ、安らかであれ!
「Fest steht und treu die Wacht, die Wacht am Rhein!」
──ラインの守りは固く、そして忠実に立っている。
「Fest steht und treu die Wacht, die Wacht am Rhein!」
──ラインの守りは固く、そして忠実に立っている!!
そして俺はピンときた。
「この曲……ドイツ軍歌じゃないか……?」
するとギューテは疑問そうにこちらを見た。
「どうしたんだい?何か悩んでいる顔だけど……」
「いや、なんでも無いさ、さあ歌おう!」
「そうだね!」
こうして俺達は装備の音を鳴らしながら、軍歌を歌い行軍した。




