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第69話 ギューテ

「うーん……」

股間と頭が痛い……


「あ、起きたかい?」

目を開けるとギューテがいた。


「ギューテ……?」

「そうだよ、これ何本に見える?」

「あー……何もないな……」


するとギューテは心配そうに言った。

「おかしいな……2本指を立ててたのに」

「……胸が」


ギューテの怒りの拳が顔に振ってきた。

「前が見えねぇ……」

「問題なしだね」


そしてギューテは話を続けた。

「それで、どうしたんだい?急に竜人族の皆が慌てて医療所に来たもんだからびっくりしたよ」

「いやぁ……ちょっと転んじまったんだ」

「ふーん?まあそういう事にしてあげるよ」

「そういう事って……」


そして俺は立ち上がろうとすると、ギューテに静止された。

「だめだよ、ちゃんと横にならないと」

「いや大丈夫だ」


そして俺は枕を退かそうとした瞬間、モニュっという感触がした。

「きゃっ!」

「え?」


ギューテの声で俺は何が起きたのか分からなかった。

……だがもしかしてと思い、枕だと思っていたものを見ると、ギューテの太ももだった。


「なっ……!本当にすまない!枕だとおもったんだ!」


ギューテは恥ずかしそうに言った。

「……わざとじゃないのは分かるから大丈夫……けど本当にハルトって鈍いよね」

「鈍い?何がだ?」


するとギューテは俺を押し付けるように寝かした。

「はいはい!安静にしてね」

「分かったから押し付けるな!」

そうして俺は横になった。


「……なあギューテ」

「ん?どうしたんだい?」


俺はギューテに真剣な表情で話した。

「俺……この世界に来た理由が分からないんだ」

「分からない……?」


「ああ……ここに来る前の記憶も無いし、明確な理由も分からないんだ」

「いきなり軍人になって、共鳴っていう能力も持っていて、知識も持っていて」

「でも明確な目標が分からないんだ、何をすれば良いんだって」


するとギューテは俺の頭を撫で始めた。

「……前に僕の話を聞いてくれたよね」

「あの時に話してくれた君のお父さんの話」

「とても愛されてたんだなぁって僕は思ったよ」


ギューテは優しく、母性を感じさせるような、そんな話し方をしていた。

「だから家族の事を目標にしてみたらどうかな?」

「家族か……でもこの世界とは関係ないと思うんだが……」


するとギューテは話した。

「伝説の男の話はどうなんだい?」


俺は考えた。

自衛官という単語、日本という単語。

しかしその人が俺のお父さんという確証はない。


……それでも知る価値はありそうだった。


「確かにな……」

「目標決まったね?」


笑っているギューテだったが、俺は話し続けた。

「……それと笑顔になれる世界を目指すよ」


俺の言葉にギューテは驚いていた。

「さっき兵士たちの話を聞いたんだ」

「無駄に使われる命、無理な命令で失われる命、道具として使われる命」

「俺は決心したよ、君たちを笑顔にできる世界を作るってね」


するとギューテは言った。

「それじゃあお願いしようかな?英雄さま?」


俺とギューテは二人で笑っていると、何やら嫌な予感がした。

その瞬間、ギューテは驚いた声で言った。

「お……お父さん?!」


「お前達……何してるんだ?」

俺は生きた心地がしなかった。


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