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パンツ一丁で異世界移転から始まる帝国戦記  作者: しろぐ
マインブルク駐屯地編
5/10

第4話 ギューテと家族

「お茶どうぞ……」

ギューテからお茶をもらった。


……ものすごく気まずい


今は駐屯地の一室にいるが、さっきまで汗だくになりながら俺の大切な(ファッション)を追いかけていたのだ。

何とか兵士達と協力し、回収はできたが……


「ジー……」

ギューテの視線が不審者を見る目なんだよ!!

……しかしここで何も喋らないのはまずい。


「や、やあ?ギューテさん?」

そう言うとギューテは警戒し始めた。

「俺の名前は東雲(しののめ)ハルトだ。よろしく!」


あれ?もしかしてコレ会話できないパターン?

何とかこの状況を打開しようと考えていたらギューテが喋り始めた。


「……こんにちは。僕はギューテです」

「まあ男同士よろしくな!」

少し恥ずかしそうに挨拶をしたギューテに俺は笑顔で答えた。


そして扉からエトムントの声が聞こえた。

「待たせたな、ほらハルト。まずこれ着たまえ」

そういい、エトムントから手渡されたのは軍服と思われる一式の着替えだった。

「すまんな、ここにはこれしか無いもんで」

そういいエトムントはギューテからお茶を貰い、ソファーに腰掛けた。


「ああ……ありがとな……って今着替えろってことか?」

そう言うとエトムントは頷いた。

そして俺が着替えようとするとギューテが急に慌てた声でエトムントに言った。

「お……お父さん!僕ちょっと用事思い出したからちょっと行ってくるね!」

そう言い、そそくさと部屋から出ていった。


俺は不思議そうに見ているとエトムントが言った。

「少し話を聞いてもらえないか?」

頷くと話を続け始めた。

「……ギューテは昔孤児だったんだ」


着替えながらだったが、エトムントの話を聞いた。

「昔戦争があってな、その時両親を失ったんだろう。道端で倒れていたのを見つけてな」

「ただ戦争孤児ってのは沢山いた。だからこそ保護する機関もあった」


エトムントは持っていたお茶の表面を見続けた。

「しかしギューテだけは違った」


俺は着替え終わり、質問した。

「何が違うんだ?」

そう言うとエトムントはこころ苦しそうに答えた。


「あいつはここの国の人間じゃない。差別され続けた種族なんだ」

俺はとっさに答えた

「種族?それってなんだ、人種ってことか?」


そう答えるとエトムントは鼻で笑うように答えた。

「……君は本当にこの世界の人間では無いのだな」

「この世界には様々な種族がいる」


エトムントは立ち、本棚から一つの本を取り出した。

そして俺に手渡した。

「その本はこの世界の種族について書かれている。目を通してみろ」


俺は言われるがまま本の中を見ると、そこには様々な絵と一緒に種族の名前が書かれていた。

エルフ族、オーク族、龍人族、ハーピィ族など多種多様であった。


「そしてギューテはエルフ族なんだ」

俺は驚いた。

「エルフって事は尖った耳とかのやつか?」


「ああ、そうだ。だが過去にこの国では人間以外はすべて差別されていた」

「まあ今はバルナバス皇帝が撤回し、全員平等になったがな」


それを聞いた俺は答えた。

「ならいいんじゃないか?」

そう言うとエトムントは首を横に降った。

「長く続いた風潮はそう簡単になくならない。それは凄腕の医者でも治せない病気さ」


「そしてギューテは保護機関から差別されて保護されなかったんだ」

「だから保護し、ああやって軍人にしたんだ」

「良い親父だな」


「だが、今もそういう風潮は続いてる」

「そしてギューテは自分の種族がバレないように帽子や髪の毛で隠してるってわけだ」


エトムントは少し深呼吸をして、俺に話を振った。

「そういえばお前さんの家族は?」

そう言われ、思い出そうとするが何も思い出せなかった。


何処か大きな穴が空いているような……思い出そうとしても手も足も出ない。

まるで沼地にいるような感覚だった。


「……ああ、済まない、まだ記憶は無いんだな」

「いや、大丈夫だ。ただ知識とかそういうのはあるんだが、家族とかの思い出はさっぱり……」


そう言うとエトムントは俺の頭に手をおいた。

「この世界に来てまだ不安だろうが私がいる。何かあれば私に言いなさい」


何処か心の奥そこから熱い何かがこぼれだしそうになった。

胸の奥が、じわっと熱くなる。

こんな感覚、いつ以来だろうと思った。


「お、おう」

それを隠すように答えるとエトムントは話を変えた。


「そういえば似合ってるじゃないか、ハルト。そこに鏡があるから見てみろ」

鏡を見て初めて気づいた。

そう、手渡された服は第一次世界大戦時のドイツ軍の士官服と似ていた。


「な、なあエトムント?これってもしかして士官服か?」

そう聞くとエトムントは笑顔で答えた。


「ああ、これしかなかったもんだからな」

「いや待て待て!俺はまだ士官学校も出てないぞ!」

「まあ大丈夫だろう、今日だけだし後で他の服を用意してやるから今日はそれで我慢してくれ」

「それに階級章もつけてないから大丈夫だ」


「それにちょうどいい、少しここを見学しようじゃないか」

「え?見学?」

「少しはこの世界に慣れないとな」


こうして俺はマインブルク駐屯地の中をエトムントと見学することになった。

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