第32話 朝
「ハルトくん?ギューテだよ……」
僕はハルトを起こすために、ハルトが寝ている部屋の扉の前にきた。
いくらノックしても声が聞こえない……
「しょうがないなぁ……入るよ?」
僕はゆっくりと扉を開けると、ベットで丸くなって寝ているハルトを見つけた。
「まあしょうがないか、朝早いもんね」
僕はカーテンを広げ、窓を開けた。
それでもハルトはまだ寝てる。
「これでも起きないって、やっぱ疲れてたのかな」
そっとハルトの寝顔を覗き見ると可愛い寝顔ですやすやと寝ていた。
「起こすのは可哀想だけど……でも起こさないとだめだもんね」
ゆさゆさと体を揺するが、それでも起きなかった。
「強硬手段で行くしかないのかな」
そしてハルトの毛布を取ろうとした瞬間、パチっとハルトの目が冷めた。
―――――――
―――――――――
――――――――――
「……で……ない……かな」
誰かの声が聞こえ、目を開けるとギューテがそこにいた。
「あ!起きた!起きる時間だよ!」
「んあ、おはようギューテ」
俺は体を起こし、ベットから出るとギューテが驚いた。
「へ、変態!」
俺はその声に驚いてギューテを見た。
「どうした!何処に変態だ!」
するとギューテはため息をつき、俺に指をさした」
「君だよ……もう……なんていう格好で寝てるんだい」
俺は思い出した。
ズボンを履かないで、パンツと薄い上着で寝ていたことを。
「す、すまない!」
ギューテは少し顔を赤らめ、言った。
「昨日頼んだ服が早朝に届いたから、早くそれに着替えてね!外で待ってるから」
ギューテは俺に服を渡し、そそくさと部屋から出ていった。
「朝からやっちまったか……」
どこか懐かしい気分だったが、俺は身支度を始めた。
そして準備が終わり、部屋からでるとそこにギューテが立っていた。
「さっきはごめんな」
「大丈夫……でも士官学校でやっちゃいけないからね?」
俺は反省した。
そうして新しい軍服を着ながら昨日言われた正門までギューテと向かった。
「朝は本当に静かだね」
「うん、でもそろそろ兵士達も起きる時間だし今だけだね」
そんな雑談をしていると、ギューテは俺の格好をみて話した。
「そういえば似合ってるね、その服」
「本当か?ありがとな」
俺のいまの格好はまさに軍人と言われるような格好だった。
腰にサーベルをつけ、シワ一つ無い制服と帽子をつけた状態だ。
「ちゃんと着こなせてるし、荷物も持ってるよね?」
俺は日用品などが入っている背嚢と製の重いカバンを見せた。
「うん、バッチリだね」
ギューテはそれを確認してくれた。
「にしても本格的に軍人になるんだな……」
そう言葉をこぼすと、ギューテは下を向いて話した。
「僕は君が帰ってくるって信じてるから」
俺はその言葉に嬉しさと申し訳なさを感じた。
「大丈夫さ、俺は必ず帰ってくる。それに士官学校に行くだけだしな」
そういうとギューテは嬉しそうにこちらをみて、言った。
「約束だからね!」
そうして俺とギューテとで指切りをした。
そんなこんなで駐屯地の正門に着くと、1台の黒い車が止まっていた。
車の前にはアルフォンスが立っていた。
そして俺とギューテはアルフォンスの方まで歩いていった。




