第29話 おわった……
俺は何とかテラの執務室まで向かった。
周りには誰も居ない……そしてドアに耳打ちをし、物音がしないことを確認した。
「よし、行くしか無い!」
中に入るとそこには大きな地図や壁掛け電話、タイプライターなどがあった。
そして部屋中央には巨大なデスクが設置していた。
「流石は司令官の執務室だな」
俺は少し悩み、デスクの上を見ることにした。
「とりあえず机の上を見れば分かるだろう」
散らかさないように色々と見ていると、一枚の指令書が目に入った。
「最高司令部からの通達……ツェーザル・プランを始動させる?」
他の情報を得るために他の書類や紙をあらかた探したが、ツェーザル・プランという単語が入った物は一切なかった。
しかし動員や列車の時刻表と書かれた書類は何枚か見つけた。
そこには、分刻みで管理された膨大な軍用列車の運行スケジュール表が書かれていた。
「嫌な予感がするな……」
そして俺は続けて情報を探すと、一枚の手紙のようなものを見つけた。
「申し訳ないが……見させていただこう、これもミッションのためだ!」
俺は心を鬼にし、内容をみた。
そしてその内容に俺は大きく驚いた。
なんたって差出人はバルナバス皇帝と書かれていたからだ。
「なんで皇帝が!」
そして内容を詳しく見ると、皇帝の悲痛なメッセージが書いてあった。
【親愛なるテラ中将、戦争を止めることは私にはもうできなくなってしまった。軍部は無理矢理にでも動員計画を実行させ、余が止めようとすると軍隊や国が崩壊するようになっている。余の従兄弟であるローリア帝国の皇帝アルトゥルとも話したがローリア帝国でも軍部が暴走しておる。もう時間の問題だ】
俺はこの文章を見つめ、悟ってしまった。
「戦争はもう起こる……」
するとドアの向こう側で誰かの声が聞こえ、こちらに向かって来ていた。
「やべえ!」
俺は急いでジョンからもらった段ボールの中に隠れた。
緊張しながら隠れていると大きくドアが開かれた音がした。
その同時に誰が入ってきたのも分かった。
「──ということなのか、テラ中将」
「ええ……伝令が届けてくれた手紙にそう書かれてたわ」
よりにもよってテラとエトムントかよ!
俺は段ボールの中で一冊の本を抱えながら隠れていた。
「その手紙は……あれ?私何処に置いたかしら?」
「なんだ、なくしたのか?」
「そんなはず無いわよ?」
ガサガサと物音が近づく。
「あら?ここにこんな箱あったかしら?」
テラの声が真上から聞こえる。
……ここでバレたらヤバいぞ!
俺は目をつぶり、祈ると一筋の光がまぶたの裏を照らした。
「……ハルトくーん?ここで何をしてるのかしら?」
ああ……おわった。




