第2話 もしかしたら……
緊張感がある車内。
俺の隣には先程の男、エトムント大将が座っていた。
そわそわしている俺を横目にエトムントが口を開いた。
「君の名前は?」
「ハルト……東雲ハルトだ」
「それで、君が日本という場所から来たのは本当か?」
前触れもなく俺の生まれ故郷について聞いてきて戸惑ったが、質問に答えた。
「……ああ、そうだけど」
エトムントの表情は変わらず質問を続けた。
「そうか。じゃあ日本という場所はどういう国なんだ?」
「そうだな……まあ場所によるが自然豊かで困ることも無い、そんな国かな?」
「ならその国の軍はどうなんだ?」
俺は戸惑った。
普通ならどんな料理があるのか、どんな文化なのか。
それを聞くのが定石だろう。
なのにいきなり軍事的な話になり、流石は軍人かと思ったぐらいだ。
「日本には自衛隊っていう軍っていうか建前上は守るためだけの軍がいるな」
そう言うとエトムントは驚いた。
「守るためだけの軍?」
「ああ、日本は昔第二次世界大戦に負けて武装解除されたんだ」
「そしてなんやかんやあって防衛能力が高い軍を設立したってわけだ」
エトムントは腕を組み何かを考え込んだ。
そして俺はここぞと言わんばかり質問を返した。
「なあ、ここは一体何処なんだ?何もかも知らないんだ」
エトムントはニカッと笑った。
「ようこそ、パルメリア帝国へ」
パルメリア帝国?聞いたこともない国に俺は唖然とした。
「まあいまの状況だと分からないのはしょうがないな」
そう言い、エトムントは一つの紙を俺に渡した。
「これは?」
「地図だ、たまたま持ち歩いてたんでな」
手渡された地図を見るとそこにはヨーロッパと同じ地形をしていた。
しかし一つだけ違う点がある。
それは国名が全部見たことなかった。
アルマニア帝国、フランコリア王国、ノヴァリア人民防衛評議会、レスペリア連合……
俺は目を大きく広げながら見ているとエトムントが不思議そうに聞いてきた。
「そういえばお前さん、地図のこの文字読めるのか?」
確かにそうだ、よく見るとドイツ語のような文章。
そして普通に会話していたが、俺は日本語以外は分からない。
「なんか自然に読めるっていうか……うまく言えないけど」
「……なるほどな。だいたい見えてきたな」
「何がだ?」
そう言うとエトムントは答えた。
「もしかしたらお前は軍人になれるかもな」
何を言っているのかまだわからなかった。
「軍人?」
「ああそうだ、それに……この世界に必要な存在かもしれん」
「必要な存在って……俺にはそんな器はねーよ」
エトムントはカッカッカッと笑った。
「まあいい、目的地に付いたらわかるはずだ」
「目的地?どこに向かってるんだ?」
「マインブルク駐屯地だ、そこで少し君にテストを受けてもらう。」
「まあ……その前にこの世界についても教えてやらんとな」
ニヤニヤとエトムントは笑ってはいるが、この男を信用していいのかすら分からなかった。




