第14話 魔術と魔法
武器庫の中に入るとそこには沢山の歩兵銃や弾薬などが管理されていた。
引きずられていた俺は立ち上がるとギューテは一つの歩兵銃を取り出した。
「これは帝国軍が正式採用してるReichsgewehr98だね」
「魔法や魔術とか使えない一般の兵士達が使ってるボルトアクション方式なんだ」
俺がまじまじと見ているとギューテは俺に歩兵銃を手渡した。
「ま、まて!俺は銃の扱いなんて分からないぞ!」
「大丈夫さ、弾も入ってない事を確認したから」
恐る恐る手に取ると意外にも重く、木と鉄の重厚感を全身で感じた。
「これが魔法とかと何が関係するんだ?」
そう聞くとギューテは説明を始めた。
「さっきも言ったけど魔法は一般の兵士や能力が無い人には使えないんだ、だから一部を除いてこういう普通の兵器を使い戦うんだ」
「一部?ってことは何かあるのか?」
するとギューテは警備室の良き友人から受け取ったであろう鍵を取り出し、一つのロッカーを開けた。
「じゃあ次はこれを持ってみてよ」
言われるままに手に取ると先程の歩兵銃より軽く感じた。
しかし見た目などは然程変わりはなかった。
「これは何が違うんだ?少し軽いだけなのは分かるんだが……」
「こっちは魔法石が銃身に込められたResonanzgewehr14なんだ」
魔法石という言葉に驚き銃身をよく見つめたが、よくわからなかった。
「あはは、よく分からないって顔してるね」
「でも見た目だけは分からないね、これは魔法石を粉末状にして鉄と共に練り上げてるんだ」
俺は一つ疑問になったことを質問した。
「という事は魔法を使える人がこれを使うってことか?」
するとギューテは首を横にふった。
「これは能力が無くても使えるんだ」
「どういう事なんだ?」
するとギューテは両方の銃を持ち、説明を始めた。
「魔法石っていうのは能力が無くとも何かのトリガーがあれば魔法を発動できるんだ」
「例えばこの魔法石が銃身に込められたResonanzgewehr14は火薬をトリガーとしてる」
「そして敵に対して撃つと普通の歩兵銃より高初速、高威力で敵を殺傷できるんだ」
「でもそれ以上の事も、それ以外の事もできない。決められた設計で動いてるだけ」
「つまりは魔法を使えなくても魔法石を使い、威力を上げた銃弾を敵に浴びせられるってわけか」
「そういうことだね」
納得はできたが、新たな疑問が俺の頭に思いついた。
「なら魔法が使える人がそれを使ったらどうなるんだ?」
するとギューテはいい質問だねと褒め、話を続けた。
「もし使うと使用者の魔法も汲み取ってしまって過剰の爆発が起きてしまう、つまり暴発してしまうんだ」
「万能じゃねぇって事か………」
「そういうことだね」
俺は少し興味が湧いてきた。
もし魔法が伴った戦い方になると必ず戦術や戦略を変えなければならないはずだ。
「そして最後に魔法と魔術の違いだね」
「魔法と魔術?何が違うんだ」
するとギューテは俺の頭に手をそっと置いた。
「な……なにをするんだ?」
ギューテは何かをブツブツと喋っていた。
数秒するとギューテの手はほのかに光り始め、ギューテが先程石を投げて痛んでいた場所がみるみる無くなっていった。
そしてギューテが一呼吸置くとニッコリと笑い話し始めた。
「これが魔法、魔法石を使わないでその人自身の力で何かをすることなんだ」
俺は目を大きくして驚いた。
初めて魔法を目の前にしたからだ。
「お……おい!本当に魔法ってあるんだな!」
興奮気味に話すとギューテは少し恥ずかしそうにしていた。
「と言っても初級だからそんな凄くないよ……」
「凄いって!俺も魔法使えたら良いんだけどな……」
そう言うとギューテは笑った。
「もしかしたらあるかもね?」
その笑顔に俺はドキッとした。
「こほん……それで魔法が使えない人が魔法石を使って何かをすることを魔術と呼ぶんだ」
「なるほどな……なら普通の歩兵銃も魔法石を使った物に変えれば良いんじゃないか?」
そうギューテはあははと笑った。
「確かにそれはそうだね。でも魔法石は取れる場所や数が限られてるんだ、それに扱う人にも特殊な訓練をしないといけないからね」
「なるほどな……」
そしてギューテは取り出した歩兵銃をロッカーに戻した。
「どうだったかな、説明下手だったと思うけど……」
もじもじするギューテを見て俺は答えた。
「全然!わかりやすかったよ、ありがとうな」
そう言うと嬉しそうにしていたギューテだった。
……可愛い、お持ち帰りしたい
「って、いだだだだだだだっっっ!!」
ギューテが俺の足を思いっきり踏んでいた。
「なんでなんだよ!」
涙目になりながら聞くとギューテは睨みながら答えた。
「変な事考えてたよね……」
「お前はエスパーかよ?!!」
俺はギューテに怒られたのであった。




