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26話


 訓練場。


 いつもと違う空気だった。


 カイルの前に、数人の生徒が立っている。


(……上の連中か)


 視線を流す。


 ランキング上位。


 それも。


 “戦闘だけじゃない”タイプ。


 目がいい。


 考えている。


 そういう連中。


「……話は聞いてる」


 一人が口を開く。


 落ち着いた声。


「お前の指揮」


 間。


「合理的だ」


 カイルは何も言わない。


 続きを待つ。


「正面からの強さじゃない」


「だが、勝てる形を作ってる」


 分析。


 評価。


 無駄がない。


「……で?」


 カイルが短く返す。


 男は一歩前に出る。


「教えてほしい」


 真っ直ぐな目。


「どうすれば、あの形になる」


 周囲も同じ顔をしている。


 強さに憧れているわけじゃない。


 “勝ち方”を求めている。


(……なるほどな)


 カイルは理解する。


 こいつらは。


 リヒトのところには行かない。


 理由は簡単だ。


(あれは再現できねぇ)


 リヒトの強さは“個”。


 真似できない。


 だが。


(俺のは違う)


 再現できる。


 組み立てられる。


 だから来た。


「いいぞ」


 カイルが言う。


 あっさりと。


 周囲が少しだけざわつく。


「ただし」


 一拍。


「言うことは聞け」


 空気が締まる。


「中途半端ならいらねぇ」


 視線を一人一人に向ける。


「徹底的にやる」


 静かに言い切る。


「…望むところだ」


 一人が答える。


 すぐに。


 他の者も頷く。


 迷いがない。


(いいな)


 カイルは小さく息を吐く。


 レオを見る。


「前はそのままだ」


「はい!」


 力強い返事。


 リナを見る。


「全体見ろ」


「……うん」


 静かに頷く。


「配置決めるぞ」


 カイルが言う。


 地面に線を引く。


「前衛は三」


「中衛二」


「後衛一」


 即座に割り振る。


「判断は俺がやる」


「迷ったら動くな」


 短く。


 的確に。


 動き出す。


 訓練。


 最初はバラバラ。


 当然だ。


 だが。


「遅い」


 カイルの声が飛ぶ。


「考えるな、合わせろ」


 修正。


 繰り返す。


 また修正。


 無駄を削る。


「今!」


 リナの声。


 風が走る。


 前衛が動く。


 タイミングが揃う。


 崩れる。


 だが。


 すぐに立て直す。


「……なるほど」


 一人が呟く。


「こういうことか」


 理解が早い。


 だからここにいる。


 数時間後。


 動きが変わる。


 明らかに。


 揃い始める。


 噛み合い始める。


(……早ぇな)


 カイルは内心で思う。


 やはり。


 頭のいい奴は違う。


 吸収が早い。


「もう一回だ」


 カイルが言う。


 誰も文句は言わない。


 全員が前を見ている。


 同じ方向を。


 その頃。


 別の訓練場。


 歓声が上がる。


「すげぇ……!」


「今の見えたか……!?」


 中心にいるのは――リヒト。


 その一撃。


 それだけで全てが終わる。


 圧倒的。


 理解不能。


「……やっぱり違うな」


 誰かが呟く。


 だが。


 その場にいる誰もが思っている。


(あれは無理だ)


 届かない。


 真似できない。


 

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