24話
ダンジョン内部。
空気が重い。
明らかに深層。
「……ここまで来たか」
カイルが呟く。
呼吸は荒い。
だが、目は死んでいない。
「……かなり奥です」
レオが言う。
汗が流れている。
リナも壁に手をつく。
「……敵、強い」
風の感知が鈍っている。
(……限界に近いな)
カイルは理解する。
だが。
(まだ行ける)
奥から気配。
「来る」
リナの声。
現れる。
大型の魔物。
今までとは別格。
「……やるぞ」
三人が構える。
戦闘。
激しい。
今までとは違う。
だが。
「今!」
リナの風。
ズラす。
レオが斬る。
止める。
カイルが踏み込む。
全力。
身体強化。
一閃。
深く入る。
魔物が崩れる。
静寂。
「……倒した」
レオが言う。
カイルは息を吐く。
(……やり切ったな)
確信する。
ここが限界。
これ以上は無理だ。
⸻
「……戻る」
短く言う。
二人も迷わない。
「はい」
「……うん」
三人は引き返す。
ダンジョン外。
三人が出る。
空気が一気に軽くなる。
「……はぁ……」
レオが崩れる。
リナも壁に寄りかかる。
カイルは立ったまま。
(……ここまでか)
だが。
(十分だ)
そう思えるだけの結果。
教師が記録を見る。
そして――止まる。
「……これは」
明らかに様子が変わる。
周囲の教師も覗き込む。
「どうした」
「到達階層が……」
一拍。
「……あり得ん」
静寂。
「歴代でも……最上位だ」
ざわめきが一気に広がる。
「最上位……?」
「三人でか……?」
「しかもこの速度……」
誰もが理解する。
異常だと。
カイルは何も言わない。
ただ立っている。
(……当然だ)
そう思う。
ここまでやった。
それだけの結果だ。
その時。
ダンジョンの入口が開く。
二人が出てくる。
リヒトとフィア。
息一つ乱れていない。
教師が時間を見る。
そして――
「……早すぎる」
声が漏れる。
明らかに想定外。
「まだ……カイルたちが戻って間もないぞ」
記録と見比べる。
目が見開かれる。
「……おかしい」
理解が追いつかない。
「この時間で……最深部まで?」
誰も言葉が出ない。
「終わった?」
リヒトが言う。
軽い口調。
教師が聞く。
「……どこまで行った」
リヒトは自然に答える。
「全部」
フィアが続ける。
「……最深部制圧済み」
静寂。
完全に止まる。
カイルはそれを見る。
言葉は出ない。
(……そうか)
自分は限界までやった。
それでも。
(届いてねぇ)




