23話
ダンジョン内部。
薄暗い通路。
足音だけが響く。
「前、三体」
リナが言う。
「距離、近い」
風が流れる。
空気を読む。
正確だ。
「行くぞ」
カイルが踏み込む。
同時に。
レオも動く。
魔物が反応する。
飛びかかる。
だが。
「……今」
リナの声。
風が走る。
魔物の動きがわずかにズレる。
その一瞬。
カイルが斬る。
一体。
レオが続く。
二体目。
三体目が来る。
だが。
もう遅い。
カイルが振る。
終わる。
「……早いですね」
レオが言う。
「ああ」
カイルは短く返す。
(無駄がねぇ)
動きが噛み合っている。
リナの風でズラす。
レオが圧をかける。
自分が決める。
(形になってる)
さらに奥へ。
空気が変わる。
重い。
「……強いの来る」
リナが言う。
少しだけ声が低い。
「数は?」
「……一体」
「……大きい」
カイルが頷く。
「いい」
一歩前に出る。
「やるぞ」
現れる。
大型の魔物。
筋肉が膨れ上がっている。
明らかに今までとは違う。
「……っ」
レオが息を呑む。
だが。
逃げない。
「右から行く!」
「はい!」
動く。
カイルが正面。
レオが側面。
リナが後方。
魔物が踏み込む。
速い。
(……強ぇな)
だが。
「今!」
リナの声。
風が足元を流れる。
魔物の踏み込みがズレる。
一瞬。
体勢が崩れる。
そこに。
レオが入る。
斬る。
だが浅い。
「……っ!」
弾かれる。
カイルが即座に入る。
受ける。
重い。
(押されるか……?)
だが。
違う。
「左、来る!」
リナの声。
風が視界を揺らす。
魔物の視線がズレる。
その一瞬。
「今だ、レオ!」
「はい!!」
レオが踏み込む。
全力。
身体強化。
振る。
深く入る。
止まる。
魔物がよろめく。
その隙に。
カイルが一歩。
踏み込む。
「――終わりだ」
一閃。
斬る。
倒れる。
地面に沈む。
静寂。
呼吸だけが響く。
「……倒した」
レオが言う。
「……うん」
リナも頷く。
カイルは魔物を見下ろす。
(……いけるな)
一人じゃない。
三人だから勝てた。
さらに進む。
止まらない。
無駄がない。
迷いがない。
階層を越える。
また越える。
速度は落ちない。
ダンジョン外。
教師たちが記録を見ている。
「……おい」
一人が声を上げる。
「どうした」
「このペース……」
紙を見る。
距離。
時間。
討伐数。
「……あり得ない」
「何がだ」
「カイルの班だ」
全員の視線が集まる。
「進行速度が……」
一拍。
「歴代トップクラスだ」
静寂。
「……三人だろ?」
「ああ」
「それでこの速度は異常だ」
教師が眉をひそめる。
「連携か……?」
「いや、それだけじゃない」
記録を見つめる。
「無駄がなさすぎる」
ダンジョン内部。
三人は止まらない。
ただ前へ。
ただ進む。




