22話
教室。
静かな空気。
教師が前に立つ。
「次の授業について説明する」
全員の視線が集まる。
「次は――ダンジョン攻略だ」
ざわめきが広がる。
「ダンジョン……?」
「いきなりかよ……」
不安と期待が混ざる。
教師は続ける。
「メンバーは三人一組」
「各自で組め」
その一言で空気が動く。
周囲がざわつく。
声をかけ合う者。
様子を見る者。
カイルは動かない。
最初から決まっている。
「レオ、リナ」
二人がすぐに反応する。
「はい」
「……うん」
「組むぞ」
短く言う。
「了解です」
レオが迷いなく答える。
リナも頷く。
「……いく」
それで終わりだった。
迷いはない。
その時。
「僕はフィアと行くよ」
静かな声。
教室の空気が一瞬止まる。
リヒト。
全員の視線が集まる。
フィアは特に驚く様子もなく。
「……当然」
短く返す。
それだけで成立する。
二人だけ。
三人ではない。
だが。
誰も何も言わない。
(……二人だけか)
カイルはそれを見る。
普通なら不利。
だが。
(あいつらなら関係ねぇか)
そう思わせる何かがある。
教師が頷く。
「組めたな」
「では移動する」
ダンジョン前。
巨大な石の入口。
暗く、奥が見えない。
空気が重い。
「ここが今回の課題だ」
教師が言う。
「一定階層まで到達すれば合格」
「無理はするな」
だが。
誰も引く気はない。
カイルは入口を見る。
(……実戦だな)
試験とは違う。
環境も。
連携も。
すべて試される。
「順番に入れ」
教師の声。
少しの間。
誰も動かない。
様子見。
当然だ。
未知の場所。
危険はある。
だが。
「……行くぞ」
カイルが前に出る。
迷いはない。
「はい!」
レオが続く。
リナも静かに歩く。
「……いく」
三人が入口へ向かう。
周囲の視線が集まる。
「最初に行くのかよ……」
「3位のやつか……」
声が聞こえる。
だが気にしない。
暗闇。
中に入る。
空気が変わる。
ひんやりとした空気。
静寂。
「……視界、問題なし」
リナが言う。
風を流している。
空気の動きで感知している。
「前、何かいる」
すぐに言う。
「数は……二」
「行くぞ」
カイルが前に出る。
レオが横につく。
配置は完成している。
魔物が現れる。
低い唸り声。
影が動く。
「右、速い」
リナの声。
風が流れる。
足元がわずかにズレる。
魔物の動きが狂う。
(……効いてる)
カイルが踏み込む。
一撃。
斬る。
もう一体。
レオが入る。
振る。
仕留める。
無駄がない。
連携が成立している。
「……いいな」
カイルが言う。
レオが頷く。
「いけます」
リナも小さく言う。
「……問題ない」
奥へ進む。
暗闇。
未知の空間。
だが。
三人の動きに迷いはない。
ダンジョンの外。
教師たちが見ている。
「……最初に入ったのはあの三人か」
「ああ」
「動きは悪くない」
その視線の先。
入口の奥。
さらに奥。
リヒトが静かに立っている。
フィアの隣で。
「先に行かせたね」
リヒトが言う。
「……観察」
フィアが短く返す。
二人はまだ動かない。
ただ。
見ている。




