21話
訓練場。
三人が向かい合う。
空気は張り詰めている。
「もう一回やるぞ」
カイルが言う。
「今度は遊びじゃねぇ」
レオが剣を握り直す。
「……はい」
リナも小さく頷く。
「……いける」
カイルは二人を見る。
(……さっきので分かった)
こいつらは使える。
だが。
(まだバラバラだ)
だから。
(まとめる)
「いいか」
カイルが言う。
「役割決めるぞ」
二人が顔を上げる。
「レオ」
「はい」
「お前は前だ」
「……はい」
「考えるな」
一拍。
「俺と同じことしろ」
レオが一瞬驚く。
だが。
「……分かりました」
強く頷く。
「リナ」
「……うん」
「お前は後ろから全部見ろ」
「風でズラせ」
「動きを作れ」
リナの目が少しだけ変わる。
「……できる」
カイルは頷く。
(これでいい)
「始めるぞ」
構える。
空気が変わる。
動く。
カイルが踏み込む。
同時に。
レオも動く。
(……いいな)
遅れない。
同じタイミング。
同じ圧。
二人分の前衛。
その瞬間。
「……今」
リナの声。
風が走る。
地面すれすれ。
カイルの足元。
そして――
“相手側”の想定位置。
(……そう使うか)
動きが誘導される。
自然と、そこに行く。
レオが斬る。
カイルも同時に振る。
二方向。
(避けられねぇな)
想定上の相手は詰む。
だが。
カイルは止まらない。
「まだだ」
すぐに次の動き。
踏み込む。
方向を変える。
レオもついてくる。
リナが風で補正する。
(……連携になってる)
今までは。
“合わせていた”
今は違う。
(組み立ててる)
「遅い」
カイルが言う。
レオが反応する。
すぐに修正。
リナが風で後押しする。
速度が上がる。
(……いい)
完成に近い。
数分後。
三人は止まる。
呼吸が荒い。
だが。
顔は違う。
「……できてきました」
レオが言う。
「ああ」
カイルも頷く。
リナも小さく言う。
「……噛み合ってる」
(……これなら)
頭の中に浮かぶ。
リヒトとの戦い。
あの動き。
あの速さ。
(正面じゃ無理だ)
だが。
(崩せばいい)
そのための手段は。
(できた)
「いいか」
カイルが言う。
二人が顔を上げる。
「これをもっと詰める」
「ミスは減らす」
「精度上げる」
「……はい!」
レオが強く答える。
リナも頷く。
「……やる」
カイルは拳を握る。
(……届く)
まだ遠い。
だが。
道は見えた。




