17話
ざわめきが広がる。
掲示板の前。
受験者たちが集まっている。
「……出たぞ」
「順位だ」
紙が張り出される。
空気が一気に張り詰める。
カイルはゆっくりと視線を上げる。
(……当然、上だ)
迷いはない。
結果は出している。
問題は――どこまでか。
視線を走らせる。
上から順に。
そして。
一番上。
「……1位」
その名前を見る。
『リヒト』
見たことのない名前。
一瞬、思考が止まる。
(……誰だ)
その下。
「……2位、フィア」
さらに下。
「……3位、カイル・アルヴェイン」
静寂。
周囲の空気が変わる。
「3位……?」
「マジかよ……」
「いや、それより――」
声が漏れる。
「1位と2位、別会場のやつらだろ……?」
「……ああ」
ざわめきが広がる。
カイルは動かない。
ただ、見ている。
(……そうか)
別会場。
一時間早く終わった。
セイルの言葉。
「次元が違う」
すべてが繋がる。
だが。
「……関係ねぇ」
小さく呟く。
視線を外す。
(3位か)
納得はしていない。
だが。
(確かめればいい)
それだけだった。
教室へ向かう。
廊下。
視線が集まる。
だが――
誰も話しかけてこない。
(……なんだこの空気)
理由は分かる。
上位三人。
その中の一人。
距離を測られている。
様子を見られている。
そんな空気。
カイルは気にしない。
そのまま歩く。
教室の扉を開ける。
中に入る。
空気が一瞬で変わる。
全員の視線が集まる。
その中で。
二人だけ、違う空気を纏っている。
一人は――
「……」
リヒト。
静かに座っている。
ただそれだけ。
なのに。
(……なんだ、これ)
違う。
圧でもない。
威圧でもない。
それなのに。
(……強い)
一目で分かる。
理解できる。
“上”だと。
その隣。
フィア。
こちらを一瞬だけ見る。
冷静な目。
観察する視線。
そして、興味を失ったように戻す。
(……こっちもか)
ただ者じゃない。
間違いなく。
カイルはゆっくりと歩く。
そして。
リヒトの前で止まる。
一瞬。
沈黙。
プライドが、揺れる。
(……分かってる)
強い。
自分より上。
それは理解している。
だが。
(それで終わるかよ)
視線を上げる。
「……1位、おめでとう」
短く言う。
リヒトは一瞬だけ驚いた顔をする。
そして。
柔らかく笑う。
「ありがとう」
自然な返答。
壁を感じさせない。
だが。
(……余裕だな)
それが逆に、気に入らない。
カイルは何も言わず、席へ向かう。
少しして。
扉が開く。
「静かにしろ」
教師が入ってくる。
空気が締まる。
「これより授業を始める」
教室が静まる。
教師は全員を見渡す。
「最初の授業だが――」
一拍。
「お前たちの実力を測る」
ざわめき。
「模擬戦を行う」
一瞬で空気が変わる。
緊張。
期待。
興奮。
すべてが混ざる。
カイルはゆっくりと顔を上げる。
(……来たな)
視線は、前。
その先に。
リヒトがいる。




