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ジョーカー、切り札の魔法使い  作者: 笑添愛


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6/7

冒険者ギルド選抜試験

その翌日。僕は遅く寝たにもかかわらずなぜか出発時間より少し早く起きてしまった。

そんな僕をみたアステリウスは少し以外いがいだったみたいで、僕を数秒じ~っとみつめた後『まぁ~いいか』と言わんばかりに肩をすくめて言った。

「もうすぐ出発する時間だ。」と。

その日の朝ご飯は奮発して作ってくれたのか、いつもの倍は量があった。

「アステリウス、僕こんなに食べられないよ。」

「いいから、食べてみろ、すぐにわかる。」

その通りだった。

僕はあっという間に食べきってしまった。

「おいしかった、僕正直に言うと自分がこんな大食いだって知らなかった。」

「いや、お前が知らないだけで何時もこのくらい食べてるぞ。何なら前より強くなって今は物足りない方かもしれんぞ。」

「じゃあ、なんで今日は大目に見えるの?」

「今日はおかわりじゃないからな。けど、もっといけるんじゃないか?」

『今まで、さほど量を感じなかったのはいつもはおかわりって形で食べてたからなのか?なるほど。』

「ん~そうかな?今度試してみる。」

「いや、試すな。おなかこわすぞ。」

僕は食べ終わって、出発する支度をして荷物を背負うと外に出だ。

そして、その時、ついにパナクとウェスタの事がアステリウスにバレてしまった。

「フレイル、その二匹は何だ?」彼はそう聞いた。

「この子たちはアステリウスを治療する前に回復魔法の修行をしてる時に知り合ったんだ。二匹とも酷いけがしてて、治してあげたら、そのまま懐いちゃって。

僕はアステリウスが何か言うと思ったが、彼は案外考え方が柔軟だった。

「面倒見れるならうちにおいても構わない。今まで通り世話してやれ。」とあっさり許可してくれた。

「この二匹、今日の試験場に一緒に行き体っぽいんだけど、どうする?」

「使い魔は特別登録されてない限りギルドには入れないぞ。」

「だって、ごめんね。二人は僕が戻るまで留守番しててね。」だが、抵抗があるのか少し悲しげになき音をだした。

「その二匹、お前が試験受けてる間俺が見てやる。どうせ今日は休みの日だしな。」

「え?良いの?!ありがとう!」と目を光らせてしまった。

「まぁ、俺が見てるんだ。変な気は起こさないよなぁ?」と使い魔を見るアステリウスの顔がちょっと怖かったので、パナクとウェスタはガタガタ震えた。

『あ~ちょっとかわいそう。アハハ。』

パナクとウェスタは僕のカバンの中に入った。

「本来は馬車で行かなきゃなんだけど、うっかりして馬車呼ぶのを忘れた。だから仕方ない、訓練の延長だと思ってついてこい。走るぞ。」僕達は長距離走に備えて体をほぐした。

「まさか、アステリウスさんも緊張して眠れなかったとかですか?」とからかって見たものの、彼の顔が凄い事になったのですぐ黙った。

『照れ隠しで人を殺すような顔作る人初めて見たぁ!』と内心冷汗が止まらないのだった。

その間にアステリウスはギルドの居場所ばしょについて少しだけ説明せつめいしてくれた。

彼が言うには冒険者ぼうけんしゃギルドは隣町の更に果てにあるらしい。

彼が説明し終わると僕達は走り出した。

普通は足で行くと半日はかかると言われていたが、一年間彼に鍛えられた僕は一時間で隣町に着いたが、彼より僕の方が少しだけ早く辿り着いた(これにはアステリウスと僕共々驚いた事だった)。

町の門は強そうな二人組が守っていた。彼らはアステリウスに負けないくらいの勢いで町に入る人達を睨んでいた。

アステリウスは僕の後に街に着くと、門番の二人にあいさつした。

『冒険仲間だったりするのかな?』そう疑問に思ったが、彼らのやりとりからしておそらくは違うだろう。

「よ、キト、ハガ、通してくれ。」そう一言アステリウスが声をかけると、彼らは嘘みたいに明るい顔になってアステリウスにあいさつをした。

「アステリウスさん!今日はどうしたんですか?」そう聞いた後に彼らの視線が僕に向いた。

「ちょっとな、こいつを冒険者ぼうけんしゃギルドに連れていく途中なんだ。」とアステリウスは僕の肩を軽くたたいて説明した。

「どうも、フレイルとです。」と僕も門番の人たちに短く挨拶をした。

「フレイルか、いい名前だ。」とハガさんが僕のあいさつの流れに乗ってくれた。

「今日試験を受ける。だけど、俺より先にこの町に着いたんだ、きっと問題ないさ。後、俺のこと『さん』付けするの止めろって。何度も言わせるな。」とアステリウスが続けた。

そう聞いたキトとハガの目が飛び出る程に大きくなった。

「アステリウスさん、こいつに追い抜かれたんですか?」とハガと言う人は驚きを隠せずに聞いたが、キトって言う人は横で笑いたいのを全力で堪えてた。

僕のみた目をみると信じられないのも無理はなかったから彼らを責めるつもりはさらさらないが。

「キト、笑っていいぞ。こいつに先を越されたのは今回の一回だけだ、調子に乗らせるな。」とアステリウスは言った。

僕は調子に乗ってるつもりがさらさらなかったが。

アステリウスさんは彼らに自分の冒険免許証を見せてから、お金を渡していた。

更に走ると城みたいな立派な建物たてものがみえてきて、僕たちはその中に入った。

「ねぇ、さっき二人に金渡してたけど、なんで?」僕は気になって入り口に着いた時に聞いてみた。

「あれはお前の分だ。冒険免許とか、特定の免許を持ってない人は金払って街に入らなきゃならない。お前は、試験を受けに来たってわけで免許を持ち合わせていないから俺が払っといた。」

説明が終わった後周りを見た。冒険者ギルドの中はまるでホテルのロビーのような広間だった。

「冒険者ぼうけんしゃ試験を受ける方は地下の訓練場に行ってください!」と大声で誘導している案内役がいた。

その人の横には大きな看板があって案内図のようなものが移されていた。

試験場に行く前にアステリウスが僕を引き止めた。

「フレイル、お前にこれをやる。お祝いの品だと思って受け取れ。」と、僕が合格する前提の口調だった。

『まぁ、あれだけしごいてもらったのに不合格になったりでもしたら、うぅ…考えるのも恐ろしい。』と内心身震いしていた。

「お前の体形に合わせて東方の国ニーホーンの職人に特別に打ってもらった特注品だ。そんで、お前のの思い通りに扱える。」と言いながら。

『って、刀じゃん!』母国を思い出させる武器を見て正直嬉しかった。

「ありがとう!大事に使うよ!」

僕は他の試験生と共に『地下の訓練場』とやらに向かった。

その下で何が、誰が待っているかも知らずに。

僕は刀をストレージ・ディメンションに閉まった。

地下に続く階段の入り口は真っ暗で光もない通路だった。他の試験生たちはその通路をみて不安をみせながらギルドの出口でぐちを横目でみていた。

暗闇に目が慣れると微かにみえるようになっていた。

「個体名フレイルはスキル『闇の光眼』を獲得しました。」とまた声がした。

『これ、スキルマックスになったら夜行性動物みたいに暗い所も目が見えるようになるのかな?目が光ったりして。フフッ。』と割と幻想的で現実味のない夢を見るのだった。

視界が少し明るくなると階段は下りやすくなった。そうやって下るうちに地下の訓練場の門まで辿り着いた。

一番最初にたどり着いたのは僕だった。そこにも一人、人がいた。

他の試験生が全員到着すると、彼女は試験生達に言った。

「ギルドマスターがお呼びしますので、呼ばれていない方はこちらでお待ちください。」と。

彼女は試験開始までの間に色々と説明してくれた。

「冒険者選抜試験における注意事項をいくつか説明します。まず初めに、不合格者は再試験をすることが当分の間許されません。冒険者ぼうけんしゃギルドからの許可が下りるまで、修行し直す事をお勧め致します。」

『つまり、不合格になった人は、試験をまた受ける気があるかどうか次第で、監視がついたりつかなかったりするって事だ。』

「なお、冒険者試験に許可なく参加しようとすると、期間有無を問わずに十年間試験参加禁止となります。三回落ちても同じです。」そう言うと振り向いて門に生えてる小さな画面に手をかざして中へと入っていった。数分するとまた出てきた。

『恐らく、僕の試験料と申請はアステリウスがしてくれたんだろうな。後でお礼言わないと。』

「これより試験を始めます。門に名前が移ったら中に入ってください。」すると門に巨大な文字もじが現れて、最初の試験性が入った。

アステリウスは僕に武術の訓練以外いがいにも読み書きも教えてくれたので門に移された名前がなんて書いてあるのか悩まずにすんだ。僕が呼ばれたのは一番いちばん最後だった。

『早いもん勝ちじゃないのか。変わった試験だな。』

緊張はしたが怖くはなかった。一度深呼吸をしてから僕は扉を開けた。

中で僕を待っていたのは背中に妙な武器を背負った長髪のエルフュイアの男だった。彼の武器は長いけど細い剣で柄は普通の剣の柄よりはずいぶん長くて、その先にはとがった刃物がついていて、まるで槍と剣を合体させたような武器だった。剣の方は包帯で刃を巻いていた。

『えっと、エルフュイア本人の方は…』と鑑定しようとしたが、トートの時と同じで鑑定に失敗した。

「君が最後ですか。私は試験官とギルドマスターを両立しているバルバスです。合格条件に付いていくつか説明します。まず、この試験は私を倒すのが合格基準ではありません。君の攻撃が一回だけ私に届いたらその時点で試験終了とします。武器の使用も許可します。」僕はストレージ・ディメンションから刀を取り出して構えた。

「では、戦闘を開始します。」

そして、戦闘開始を宣言すると試験場の空気が途端に重くなった。

『なんて重圧だ。アステリウスに稽古してもらったからわかる、彼の間合いに入ったら致命傷になる、それか死ぬ。』

だが、バルバスは考える暇をくれなかった。

一瞬で僕の前に来て武器を振り下ろした。その時に走馬灯のように地獄の稽古をおまいだして、そのおかげで体が反射的に反応し、一刀両断されずにすんだ。

だけどあいにくと僕がよける寸前までいた床と後ろの壁は無事ではなかった。

「ほう、これをよけますか?」そうやって彼は僕にひたすら攻撃をしたが僕はその度によけ続けた。いや、避けたり防ぐ事しかできなかった。僕が彼の攻撃をよけたり防ぎ続けると彼は攻撃をやめた。

「バルバス試験官、なぜ攻撃をやめたのですか?」そうきくと彼は頭を抱えた。

「それは君がずっと攻撃をよけるからです。」彼はため息をつきながらそう言った。

「けど、本気出したりしたら、武器破壊とか狙っちゃうかもですよ。」

それを言ったら、彼は人が変わったみたいに瞳をギラリと輝かせた。

「そんな心配するなんて千年早い。私がどんな修羅の道をくぐって来たか知らないガキが、面白い事を言うものだ。武器破壊でも何でも試すがいい、出来る者ならな。」と笑ってる顔がホラー絵図だった。

「えっと、素が出てます。」と指摘したら、バルバス試験官は少し照れ隠しをして、さっきまではなってた殺気とオーラを引っ込ませた。

「コホン。とにかく、君も攻撃してかまいません。」本人がそう言うなら仕方ない。

『ハハ、本人はああいってるけど、攻撃できる隙を見せないと言うか。徹頭徹尾と言うか。なに、このクソゲーも僕と一緒に死んでこっちに転生してきたみたい状況。』

実は、僕がこっちの世界で剣術スキルを短時間に獲得できたのには前世の幼少時代がかかわっている。

親だと認識していた人たちが僕を侍とするべく叩き込んだ。

嫌だと言ったら殴られて。

「あなたの為なの。」そう何度も言いながら。

その頃は幼い故に殴られてもあらがう事も出来なかった。

だけど、彼らが僕に異常に執着したのは僕が昔から化け物みたいに呑み込みが早かったからだ。そのせいで周囲の人間からはいつも気味悪がられたりもしたけど。

勉強も一度いちどだって一位じゃなかった事がなく、運動能力も誰より優れていた。

どうしたら正しく筋肉がつくのか?何を食べたらいいのか?僕の成長の異常さは全て耳に入る話、自分で読んだ本や資料、目でみたものその全てに繋がっていた。

けど、これ等は、僕に才能が有ったからだけではない。

僕が彼らの要望に血のにじむような努力で答え続けたからだ。

勉強も。

剣術も。

体力づくりも。

何もかも。

だが、僕が15歳になったある日、彼らは僕を家から追い出し、道端に捨てた。

僕は何が何だか分からなくなって、長い間途方に暮れた。

のらりくらりと。あっちへ行ったりこっちへ来たり。

そして、人生に意味などないと思えて、自ら命を絶とうとした日、僕を止めてくれた夫婦にであった。

川に飛び込んで、おぼれていた僕をある漁師が助け舟を出して救ってくれた。

僕の状態を鑑みてその漁師は僕を自分の家に連れて帰り、居場所をくれた。その奥さんも良くしてくれた。そして、僕は知った。

昔彼らにも息子がいた事を。

「どうしてかな?あなたを見ていると、昔の息子を思い出してしまうのは?」と彼らも心底不思議って感じだった。

「息子の写真とかあるんですか?」そう聞いてみたら、一枚だけ見せてくれた。

「これを撮って間もなくして、あの子は行方不明になってしまった。」と。

写真を見た僕は驚きのあまり震えが止まらなかった。

『なんで?え?これ、昔僕が来てた服!この写真も、僕の…!』

「な、なんであなた達がこの写真持ってるんですか?」

と震える声で尋ねた。

「その子が息子の■■■よ。」と奥さんが言った。

その瞬間僕は気づいた、こっちの世界に来てから、前世の自分の名前を思い出せなくなっていることに。

「10年も前に行方不明になったきり会えてなくてねぇ。私たちは10年さがしたけど、結局見つからなくて。たけど、どこかで生きてるって信じてる。私たちは死ぬ日までその子を探し続けるよ。」と覚悟を決めたような表情をした。

僕の目から涙が溢れ出た。

「どうしたんだい坊や?」と、そう聞く夫婦に僕は今までの事を話した。

「僕はずっと両親に本当の親から見捨てられたって聞かされながら育ちました。僕を育ててくれた人達は幼い僕に時代にも合わない侍になるよう強いれました。ずっと重圧的な仕打ちに耐えて、期待に応えられるようにと血の滲むような努力をしてきたんです。なのに、数日前に僕を家から追い出して、道に捨てて。彷徨った果てに死のうと川に飛び込んだところを貴方達に助けてもらった。」

「その写真の中の少年は僕です。」僕は二人の顔を見た。

彼らはずっと涙を流しながらお互いの手を握っていた。

「僕は見捨てられたわけじゃなかったんだ!」僕はそう叫び囁きながら床に伏せた。

「信じられない、この命果てる前に息子にもう一度会えるなんて、夢だったら、目覚めたくないくらいよ。」とお母さんが涙目になりながら言った。

「そんなこと言わないで、これは夢なんかじゃないよ。」僕も手を伸ばして母の手を握った。

そうやって、再開できた僕達三人はそのまま暫くお互いの腕の中で再会の喜びをかみしめた。

彼らは精神的に敏感になっていた僕の事を大事かつ丁寧に育ててくれた方たちだった。

そのまま、僕は大人になって、作家の助手になったり、謎紳士と出会ったり。

『ここまでいろいろあったな。』

「何がそんなにたのしいんですか?僕にも教えてください!」とバルバスが再び切りかかってきた。

「ちょっと、過去を思い出して勧奨に浸ってただけです!」

『身体能力強化、発動!』そして、恐ろしい事にバルバスの武器攻撃を刀で防いでしまった。

『にしても、とんでもない切れ味だ、この刀。』見てみると、僕の刀に触れたバルバスの武器の数々の箇所に傷が出来ていた。

『アステリウスはこの武器は僕の思い通りに扱えるって言ってた。って事は打たれた時の形が刀であって、形態変化できるって事?よし、武器を思い通りに扱えるなら、アレを試してみるか。試す価値くらいはある。』僕は横斜めに後ろの下から抜き上げる居合切りの感じで。構えてみた。足の幅を広げて腰はなるべく低く。

前世の小さい頃は大体これで大人たちとの能力の差を埋めていた。大人を殺さなきゃいけない時もあったからだ。

「妙な構えですね。」

「これは僕なりの戦い方です。」

アステリウスは神話級の鍛氏スキルを持っていたが、今回は彼が造ったわけではなかった。

その刀は恐ろしいほどによく切れて、それを僕に渡すアステリウスはどこか不安そうな顔をしていた。

ついつい効果を試したくなって思い切り素振りをしたら地面がバターを切るような滑り具合で切れるからさすがのアステリウスも少し青くなって、二度と造ってもらわないと言ってたくらいだ。

そしてその刃物の危険性や注意事項を五時間にわたって僕にいいきかせたら満足まんぞくしてやめた。

彼は再び攻撃を開始し、戦いの際に槍と剣を交代々々に使いながら僕と刃を交えた。

みじかでみるとバルバスは不思議なエルフだった。

目は深淵のように濃くて深く、なんでも引きずり込んで放さないような圧倒的な何かを秘めているような眼をしていて、一瞬いっしゅんだけ彼から目が放せなかった。

僕は自分を後ろに飛ばしていったん距離を取った。

「ほう?私の目をみてなお動けますか?とても興味深いです。」そうやってお互いに攻撃をし続けたが、最後には僕が勝った。

勝因はこうだ。

彼との戦闘がだんだん熱くなっていってお互い汗まみれだった。最初に僕は攻撃する隙を与えてくれなかった。たいていは、「なければ作ればいい」がまかり通るが、バルバスは違った。」そして刃を交え続けるうちに彼の攻撃パターンや動きをみて、この試験は『何でもあり』と言う事が分かったので自分の武器に少しだけ魔力を込めてみた。そして、刀の切れ味をなくさずに鞭のようにイメージしてみる。

伸びたり、縮んだり、巻き付いたり、弾んだり、ばねたり。すると僕の武器は極限まで伸びて彼の武器を真っ二つにしていた。そうしたら元の長さに戻った。

その時バルバスは言葉を失いかけた。

「わ、私の剣槍はとてつもなく細い武器です。それも二つとないくらいにです。いったいどのような修行をしたのですか?」彼はびっくりしたあまりに、言葉に躓つまずいた。

「ちょっと地獄に行ってきただけです。」と申し訳なさそうに笑いながら僕は言った。

「地獄ですか?」

「はい。」

「それはどういう…?」

「アステリウス直々の稽古です。」僕はアステリウスの事を説明せつめいしようと口を開けたが、彼の名をきいた瞬間にバルバスの顔がこわばった。

「アステリウスって、誰これ構わず睨みつける一人暮らしの、獄潰しのアステリウス。あのアステリウスですか?」と、バルバス試験官の口から中二病くさいにも程がある、僕の知らないアステリウスの恥ずかしい二つ名が次々に出て来るのだった。

『アステリウスさん、こんなに悪名高いなんて、あんたいったいなにしたんですか?』と心の中で本人に問うのだった。

「そういう名前のアステリウスは知りませんが。はい。おそらくですが同一人物だと思います。」と、とりあえず僕はそう答えた。

ふと思った。僕がアステリウスと一緒に暮らして早一年が過ぎるのにやっぱり彼の事はほとんどなにも知らないと。

「信じられません。彼が弟子を進んで取るなど。」

「あ、そこは訂正させてもらいます。アステリウスさんは最初はそう言う気はなかったそうなんですけど、トートが僕を彼の家においてどこかに行っちゃったんで、仕方なくです。まぁ、途中から凄くやる気が出てたんで今は好んで鍛えてくれてるんですけど。」自分で言って、寿命が何年か知事んだように感じた。

僕の口から「トート」の名前が出ると、バルバスの眉毛がピクリと動いた気がした。

『気の生かな?一瞬トートの名前に反応したような。まぁ、この人がトートの知り合いだったら世の中狭すぎるんだけど。』

「コホン。そろそろ本題に入りますが、いいですか?」と試験官は試験の結果発表をする話題に話を戻した。

だが、誰が予測できただろうか?

バルバスが次に口にした言は次の通りだった。

「申し訳ありませんが、君の実力を知った今、合格した他の試験生達と同じ合格判決を下すわけにはいかなくなりました。」とファンタジーじゃ定番中の定番な言葉を言ってくれたものだ。

彼はさらに続けて言った。

「君の冒険者ぼうけんしゃとしての実力や人としての成りを試すにはここ、冒険者ギルドは場所があまりにも不適切です。私もここでは全力を出すことができませんし。そして、君は規格外すぎます。ですから君には僕が指定する七つの迷宮で冒険者特殊選抜試験を受けさせてもらいます。」

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