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デッド・オア・キス  作者: 夕凪渚
5章 フュール奪還編
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38話『アゼウロスの力』

「さぁエルフィ。キミの出番だ。あの竜を殺してくれ」


  ラエティティアがエルフィの耳元でそっと呟く。すると、エルフィは空中に高く飛び立ち、アゼウロスの追跡を始めた。


「さぁ、まずはこれを止めてみなよ。止められるかな?」


『甘く見られたものですね。止めてあげましょう』


  そう言ってアゼウロスは更に加速する。それに合わせてエルフィも加速する。


「さぁどうなるか。見ものだな」


  ヴェローザが、エーベルトの方へと歩み寄ってきながらそんなことを呟いた。


「ヴェローザ先生、いつの間にこの角笛を?」


「あっちを出発する前さ。念の為にと思ってな」


「さすがです先生!」


「ああ。それよりも今はあっちの方が大事だな」


  ヴェローザが首を動かし合図する。その方向にはアゼウロスとエルフィが物凄い速度で飛行していた。

  エルフィはアゼウロスの横へと並ぶと、槌を顕現させ、アゼウロスの頭に向かって振り下ろした。すると、アゼウロスは勢いよく身体の向きを前方から後方に変え飛行し、エルフィを物凄い速度で殴り飛ばした。エルフィは地面に激しく衝突する。


「とんでもない身体能力だな⋯⋯」


  エーベルトの狼狽(ろうばい)が口から漏れる。しかし、エーベルトはエルフィが殴られたのを見て素直に喜べないでいた。


『この程度ですか。相手になりません』


  そう言ってアゼウロスは勢いよく鬼怒哀楽

 のほうへと方へと急降下していった。だが。


『くっ――!』


  エルフィが突然目の前に現れ、槌で思い切り殴り飛ばされてしまった。しかし、アゼウロスもすかさず体制を立て直す。


「ハイレベルな戦いだな。さすがはマギアゲールで活躍していた者同士だ」


  ヴェローザが感心したようにいう。エーベルトも内心そう思っていた。


「いいねいいねぇ! もっと激しい戦いを見せて欲しいよ!」


『いいでしょう。激しいかは分かりませんが興奮は出来ると思います』


  そう言ってアゼウロスは唱えた。すると、アゼウロスの姿がその場から消えた。


「⋯⋯ど、どこへ行ったんだ?」


  エーベルトは辺りをキョロキョロと見渡しながら言う。しかし、どこにも見当たらない。と、突然前方から衝撃音が聞こえてきた。


「な、なんだ?」


  エーベルトがその方向を見やると、ラエティティアが何者かによって吹き飛ばされていた。そして、ラエティティアがいた場所にはアゼウロスが立っていた。


「アゼウロス! てことは!」


「アゼウロスがラエティティアを吹き飛ばしたということだな」


  ヴェローザがエーベルトに続けるように言う。


『これが私の得意な魔法(マギア)《インビジブル》です。どこから攻撃が来るか分からない、さぞ興奮したことでしょう』


  アゼウロスがラエティティアの方を鋭い双眸(そうぼう)で見ながら言う。すると、瓦礫(がれき)の中からラエティティアが姿を現し、言った、


「ああ、ああ!! すごく興奮するよ!! 全然分からなかった!! ボクに攻撃を当てるなんて!!」


  ラエティティアが自分の身体を抱きながら叫ぶ。余程興奮したのだろう。


『さて、どうしますか? この不可視の魔法にやられっぱなしになるか、反撃するか』


  アゼウロスが挑発気味に言う。


「ああ! こんな楽しい戦いは久々だよ! ぜひ楽しもうじゃないか! みんな行くよ! 」


  ラエティティアが鬼怒哀楽全員に合図した。そして、アゼウロスへと一斉に攻撃する。アゼウロスは空へと飛び立ち、それを避けた。鬼怒哀楽もそれを追う。


「鬼怒哀楽⋯⋯。先程よりも少し魔力が上がっている気がするな⋯⋯」


  ヴェローザが顎を擦りながらそんなことを呟いた。


「魔力がですか?」


「そうだ。試しに戦闘値を測って見てくれ」


「わかりました」


  エーベルトは空中を飛行している鬼怒哀楽に合わせ戦闘値を測った。


「確かに高い戦闘値だ⋯⋯。全員10000を超えてる⋯⋯。対するアゼウロスは9000」


「戦闘値では鬼怒哀楽に分があるようだな。果たしてこの勝負、どうなるか⋯⋯」


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