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デッド・オア・キス  作者: 夕凪渚
3章 アーボレス大陸〜第3のマギアビーストと竜〜
23/42

22話 『エーベルトの策』

  「アゼウロスが復讐してくるだって!?」


  MB対策本部地下室。

  エーベルト、フュール、フェミリー、カミラの4人が揃っている中、ヴェローザはエーベルトの胸ぐらを掴みながら言った。


「そ、そうです」


「お前はそれを止めなかったのか!? 生徒の命がかかってるんだぞ!?」


  ヴェローザは言いながら顔を近づけエーベルトを激しく揺らしていた。


「と、止めましたよ俺だって! だけどやつはマギアビーストを殺すと言っていたんですよ!?」


  エーベルトが言うと、ヴェローザはやっと胸ぐらから手を放した。ヴェローザもかなり動揺しているようだった。

 

「エーベルト。マギアビーストを殺すと言っていたのは本当?」


  怪訝な顔をしながらフュールがそう言ってくる。フュールは恐らく自分に害が来ると予想しているだろう。


「ああ、本当だ。アゼウロスは大昔の復讐でマギアビーストを殺ると言っていた」


「アゼウロスちゃんたら、大昔私たちにやられたことを覚えていないのかしら〜?」


  挑発するような口調で肩をすくめながらフェミリーが言う。


「私は大昔のこと覚えていないので何とも言えませんが、アゼウロスというのは強いのですか?」


  カミラが首をかしげながら言うと、フュールがそれにすぐさま答えた。


「アゼウロスはマギアゲールをしていた頃の軍の竜。マギアビーストの敵ではないけど、それなりに強い」


「そ、そうなんですか」


  フュールの言う通り、アゼウロスは昔の軍の竜。鍛えられていて、強さはかなりあるだろう。学院を壊し、生徒たちを殺すなど、容易にできるだろう。


  と、そんなことを考えていると、ヴェローザが咳払いをしながら言った。


「とにかく、新たなマギアビーストを探しに行くよりも、まずはアゼウロスの対応だな」


「あ、それなんですが⋯⋯」


  エーベルトがしぶしぶ手を上げる。


「ん? なんだエーベルト」


「その事に関して俺から提案があります」


「ほう。いいだろう。教えてくれ」


  そう言ってヴェローザは耳を出してくる。それに伴ってエーベルトも耳元に口を近づけ策を言った。


「ふっ。なるほどな。エーベルト、いい考えだ」


「⋯⋯よ、よかった〜。怒られるかと思った」


「怒る? 何を言っているんだ。私もちょうどこれしかないと思っていたんだ」


「そ、そうだったんですね」


  ヴェローザのいうことに対しエーベルトは力なく苦笑した。


「よし! 今日だけここはMB対策本部じゃなく、AU(アゼウロス)対策本部だ! 早速だが、作戦を発表する!」


  そう言ってみんなの前へと躍り出るヴェローザ。みんな一斉に唾を飲み下した。


「マギアビースト3人で突っ込め大作戦だ!」


『⋯⋯はい?』


  ヴェローザの言うことに対し、エーベルト以外は皆同じ反応を示した。


「ヴェローザ先生、いったいどういうこと?」


  フュールが半目を作りながら言うと、ヴェローザはふんと鼻を鳴らして言った。


「そのままの意味さ。マギアビーストが昔あのアゼウロスに勝ったと言うのなら、またマギアビーストが戦えばいけるじゃないか!」


「んーでもエーベルト君にキスされて力はあまり使えないのよね?」


  フェミリーが少し不満そうに言った。


「大丈夫さ。きっといける。そう思うしかないだろ」


  そう言ってタバコをふかすヴェローザ。エーベルト以外の3人は顔を見合わせ肩をすくめていた。


「とりあえず今日のところはこれでおしまいおしまいっと。お前らも寮に戻っておけよ〜」


  「じゃあな」とそう言ってそそくさと地下室から出ていくヴェローザ。


  不安が残るばかりだが、今は話し合いもできないため仕方なく寮に戻る4人であった。


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