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冴えない俺の異世界召喚。派手なイケメン剣士がいるせいで女の子たちが俺に見向きもしないんですけど  作者: ミコジ


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鍋料理とおっぱい

四天王の1人を倒した勢いで、俺たちはドンドン進んでいった。


「焦ったらダメよ、命大事に!でしょ?」


サキが念を押すように言ってきた。


「そうですよ、ケンヤさんが守りの要なんですから」


ミサキも控えめに続く。


「そうだよ。魔王を倒してボクとやるんでしょ」


アキラがニカッと笑って近寄ってくる。


(……一緒に娼館に行くんだよ。言い方がなんか変だぞ)


「ごめん、帰りたい気持ちが焦ってたみたいだ。みんなありがとう」


俺が頭を下げると、サキがふんと鼻を鳴らした。


「いいのよ。帰りたい気持ちはわかるもの」


一拍置いて、サキが続けた。


「それに私だって、頼まれたらうんって言うかもしれないわよ。頼んでみなさいよ」


(は? 何をだ?)


ミサキもモジモジと身をよじりながら言う。


「ケンヤさんを癒すのは私の役目ですから。頼むなら私ですよ」


(頼むって何をだ?)


「ああ、わかったよ。その時は2人に頼むな」


俺が言うと、サキとミサキの目が点になった。


「えっ、2人一緒?」


サキが声を裏返らせる。


「それは想定外です……」


ミサキが頬を染めて俯く。


「さすがケンヤだね」


アキラが笑った。


(何のことだ? まあいいか)


「よし、気合いを入れ直して。命大事に!進むぞ!」


俺が盾を背負い直して歩き出すと3人が続いた。


(2人一緒って何だよ。俺は真面目に言ったのに)


まあいい。とにかく進むのだ。


*  *  *


魔族領に入ってから魔物の数が倍増した。


ウジャウジャと湧いてくるのを、慎重に1体ずつ潰していく。俺が盾で止めて、アキラとサキがトドメを刺し、ミサキがヒールで傷を癒す。この流れが完全に定着していた。


(地味だが確実だ。盾役の真骨頂だな)


ドンドン進んでいく。


すると前方に灼熱の熱気が漂ってきた。


「来たな。火の四天王だ」


俺が盾を構えた。


赤黒い鎧を纏った巨体が立ちはだかる。周囲の空気が揺らんでいる。


「勇者よ、灼熱の業火で焼き尽くしてくれる!」


火の四天王が叫ぶと同時に、ファイアトルネードが渦巻いた。


「サキ!」


「任せて! ウォーターウォール!」


サキの水魔法が火炎の渦と正面衝突した。ズバババと水蒸気が爆発的に広がる。視界が真っ白になった。


「今だ!突っ込むぞ!」


俺は盾を構えて火の四天王に向かって走った。ファイアボールを連発してくる。ボッ、ボッ、ボッ。盾に次々と当たる。熱い。顔が焦げそうだ。


「うおおおお!」


俺は構わず突っ込んだ。盾で火の四天王の身体を押し込む。


「今だアキラ!」


俺の背中に隠れるように走ってきたアキラが飛び出した。


ズバッ!


剣が一閃する。火の四天王の喉を貫く。


「ぐっ……まさか……人間ごときに……」


恨み言を残しながら煙になった。魔石がポロンと転がる。


「よし、2人目の四天王撃破だ!」


俺がガッツポーズをすると、サキがふうっと息を吐いた。


「ちょっとギリギリだったわね。あたしの魔力も限界よ」


「お疲れ様。今日はここで野営しよう」


俺が言うと全員が頷いた。


*  *  *


焚き火を起こして鍋を架けた。携帯食の乾燥野菜と肉を放り込む。


「鍋にはやっぱりうどんを入れたいな。この世界に麺とかあるのかな」


俺が呟くと、サキが鍋の中身を覗き込んだ。


「ないわよ。残念ながら」


「そうか……」


(帰ったら絶対にうどん鍋を作る。それかラーメンか)


別の小鍋でお湯を沸かして、ミサキがどこかに持っていく。


「鍋が出来たぞ。みんな呼びに……」


俺がみんなに声をかけるために立ち上がった。


*  *  *


「キャーーーー!ちょっと何覗いてんのよ!」


サキの悲鳴が森に響き渡った。


俺は硬直した。


3人が裸になってお湯で身体を拭いていた。


俺の目がサキとミサキのおっぱいを捉えた。白い。柔らかそうだ。アキラは背中を向けていた。毎日一緒に身体を拭いているからコイツはこれを間近で見てるんだ。


(羨ましい。触りたい)


タオルが飛んできた。


ドヒュン!


「わっ!」


顔面に直撃した。俺は急いで元の場所まで走った。心臓がバクバクしている。鼻血が出そうだ。


(見ちゃった。見ちゃったぞ。サキとミサキの、あの、白い……)


「はぁ……」


俺の理性が音を立てて削れていく。


*  *  *


3人が戻ってきた。俺は地面に額をつけて土下座していた。


「ごめん。ご飯が出来たから呼びにいったんだ。わざとじゃないんです」


「……まあ、いいわよ。わざとじゃないんでしょ」


サキが許してくれた。口調が微妙に優しい。いや気のせいか。


「そうですよ。見られても減るもんじゃないし……恥ずかしかったですけど……」


ミサキが顔を赤らめている。


「そうだよ。なんならキミも一緒に身体を拭くかい?」


アキラが笑顔で誘ってきた。


(罠か?俺の理性を試してるのか?それとも「俺の女のおっぱいを見やがって」と怒ってるのか?)


「いや、ダイジョウブデス。エンリョシマス」


俺は必死で答えた。


(俺の理性が保つのはあとどれくらいだろうか)


*  *  *


食事を終えて、2人ずつ寝ることにした。まずは俺とミサキが見張り番だ。


焚き火のそばで並んで座る。ミサキのキレイな黒髪から石鹸の香りが漂う。さっき身体を洗ったからか。


「ミサキ、帰ったら何したい?」


俺が聞くと、ミサキが膝を抱えて小さな声で言った。


「……恋愛が、したいです」


「ミサキはモテるだろ?可愛いのに」


俺が言うと、ミサキが顔を真っ赤にして俯いた。


「……私、ずっと女子校なんです。男性と接した事が無くて。だから恋愛ってマンガとかの知識しか無いですよ」


と笑う。


(女子校か。それなら帰っても男子と接する機会がないのか、けど最初からアキラと寝てたよな)


「そうか。でもミサキなら好きな男が出来たらいい彼女になりそうだな」


俺が言うと、ミサキがさらに赤くなった。


「……ケンヤさんは?」


「俺?帰ったらうどんを……いや、そうだな。恋愛をしたいです。童貞卒業したいです」


(言っちゃった。つい言っちゃった)


ミサキがふふっと笑った。


「頑張りましょうね、ケンヤさん」


「……ああ」


(ミサキ、お前はいい子だ。本当にいい子だ)


たわいない話をしてたら、交代の時間になった。


「お疲れ様。アキラ、サキ、次は2人だ」


俺はミサキに毛布をかけてから、自分の寝床に戻った。


布団に潛り込む。瞼の裏にさっきの白い肌が残っている。


(魔王を倒して日本に帰る。その後に……)


俺は目を閉じた。


(明日からもきっと激しい戦いになる。しっかりしないと)


(おっぱいなんて見てない。見てないぞ)


翌朝、俺たちは残る2人の四天王との戦いに向かって歩き出した。

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