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冴えない俺の異世界召喚。派手なイケメン剣士がいるせいで女の子たちが俺に見向きもしないんですけど  作者: ミコジ


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2/7

リーダーは地味な俺?

王様から支度金を受け取った俺たちは、装備を整えて城門を出た。


と言っても、俺たちが貰ったのはそれぞれの武器と防備一式、それに旅費の金貨数枚だ。魔王の城は大陸の北の端にあるらしい。遥か遠い。徒歩で数週間はかかる距離だ。


「北に向かって進むんだな。了解した」


アキラが地図を広げて頷く。頼もしい。さすが剣士だ。方向感覚が鋭い。


(いや、地図見てるだけだから誰でも分かるか)


「ねえ、出発する前にリーダーを決めましょう」


サキがツインテールを揺らして言った。


「……リーダー?」


俺が首を傾げると、サキがジロリと俺を睨んだ。


「パーティーにはリーダーが必要でしょ」


「えっと、やっぱり男の子がリーダーになって欲しいです……」


ミサキがもじもじと小声で言った。その上目遣いが破壊力を保っている。俺の心臓がドクリと跳ねた。顔には出さない。


「ボクもそう思う。男がリーダーがいいね」


アキラも同意した。


(うんうん、やっりイケメンがリーダーか。納得だ)


俺は心の中で納得してうんうん頷いていた。


3人の視線が俺に向いた。


「……は?」


「ケンヤ、リーダーお願いね」


サキが当然のように言った。


「えっ、俺が? だって、」


俺が動揺していると、サキが眉を吊り上げた。


「話聞いてたの? 男の子になって欲しいって言ってるじゃない」


「ケンヤでいいじゃない。地味だけど」


「地味って……アキラがいいなら俺がやるけど」


(俺のどこが地味なんだ。いや、フツメンだけど)


「もちろん、ケンヤでいいよ。ボクはさっきからそう言ってるじゃないか」


アキラがニカッと笑った。


「ケンヤって、天然なの?」


(天然じゃねーよ。お前がリーダーになるもんだと思ってたんだよ)


「くそっ、笑顔もイケメンか!」


ついボソッと呟くと、サキがフンと鼻を鳴らした。


「文句あるの?」


「……ないです」


俺は観念して宣言した。


「よし。目標は魔王討伐だけど、みんな、命大事にだ。絶対に無理はしないでくれ。俺がこの盾でみんなを守るから」


貰った大楯を掲げる。ずっしりと重い。だが、その重みが妙に頼もしく感じられた。


「よし、出発だ!」


「おおー!」


3人の声が重なった。なんというか、こういうの悪くないかもしれない。


  *  *  *


森に入ってすぐ、スライムが現れた。


「ヒッ」


思わずビクッと竦むが、俺は盾を構えて前に出た。スライムの体当たりをガギッと受け止める。ぶよんとした感触が盾越しに伝わってきて、なんとも言えない不気味さだ。


「今だ、アキラ!」


「任せて!」


アキラが剣を一閃する。ズバッと真っ二つになったスライムが煙となり、ポンと小さな魔石に変わった。


「おお、魔石になるのね。魔物の死体が残らないのはいいわね」


サキが感心したように頷いた。


(確かに死体が残らないのは衛生的でいいな。俺たちの世界の怪談とかもこれなら……”


ふと、俺は気になった。


「サキ、魔法ってどんなふうに使うんだ?」


サキがツインテールを揺らした。


「使いたい魔法を思ったら、頭の中に詠唱が出てくるの。その言葉を口にすれば魔法が発動するみたい。大きな魔法は詠唱も長いけど、簡単な奴ならファイアボールって言うだけでいけるわね」


「詠唱か……。俺たちの世界なら厨二病って言われるやつだな」


ボソッと言うと、サキがバッと振り向いた。


「うるさいわね! しょうがないでしょ、ここではそれが普通なのよ!」


顔を赤らめて拗ねている。


(……サキも可愛いな)


(俺たち4人、男女2対2でカップルになれたらどっちがいいかな。ま、どうせ選ぶ権利はアキラにあるだろうけど)


俺はそんなことを考えながら歩いていた。ムッツリだからな、俺は。


「ブオオオオ!」


突然、イノシシみたいな魔物が茂みから飛び出してきた。


「うおっと!」


俺はとっさに盾を構えて突進を受け止めた。ドガッという衝撃が全身を突き抜ける。


(重っ! 猪ってレベルじゃないだろ、これ)


「サキ、魔法使ってくれ!」


「分かった!ファイアボール!」


サキが叫ぶと、掌から火球が飛んでいった。ズドンとイノシシに直撃し、煙になって魔石に変わる。


「……すごい威力だな。これで簡単な奴なんだろ?サキ凄いじゃないか」


俺が言うと、サキがフンと顔を赤らめた。


「べ、別に普通だし! あんなの序の口よ!」


(照れてる。可愛い)


「ケンヤさん、回復しますね」


ミサキが静かに近づいてきた。


「ヒール」


その声とともに、彼女の掌から柔らかな光が溢れ出した。ふにふにと暖かい光が俺を包み込み、筋肉の疲れがスーッと消えていく。擦り傷も消えた。


「……すごいな、ミサキ。頼りになるよ」


俺が素直に言うと、ミサキがほころぶように笑った。


「ケガをしたら、いつでも言ってくださいね」


その笑顔が眩しい。


(ああ、俺の心臓が持たない)


「ボクの剣も見てよ、ケンヤ!」


アキラがすっと剣を突き出してきた。


「ああ、……凄いな、切れ味よさそうだ」


「ボクだけ扱いが雑じゃないかい?」


アキラがふくれっ面になった。


(いや、男が拗ねるなよ)


「さあ、先に進むぞ」


俺は盾を背負い直して、また歩き出した。


3人が後に続く。俺たちの旅は、まだ始まったばかりなのであった。


(……しかし、北に向かうにつれて魔物が強くなるらしい。今のうちに連携を詰めておかないとな)


俺は前を見据えた。この盾で、3人を守り抜く。それが俺の役目だ。地味だが、誰かがやらなきゃいけない仕事だからな。

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