吉田さんのレインコートはなぜか黒くてローブみたい
6月になり梅雨が多い時期になった。連日の雨。雷も降る早朝の下駄箱。
「雨合羽で登校かい」
校長先生だった。実は校長先生とは親戚の関係だった。祖父の弟、大叔父さんである。
「え? 学校今日は午後からなんですか?」
「雷がすごくてね。今から登校する生徒は危険だからね。10分前に保護者にメールしたんだけど」
「そうなんですね」
「まあ連絡してもたけるくんのように連絡より先に登校してしまう生徒もいるから待ってたんだよ」
周りを見てみるが僕以外の生徒はいないみたいだった。
校長先生は笑っていた。
「まあ君のお父さんたちは連絡を見ないような気がする」
「給食から学校再開だからそれまでは学校で過ごしなさい」
そんなわけで中学校の校舎でいろいろ探検をしていた。
今度時間があるときに校長先生が屋上の家庭菜園コーナーを見せてくれるらしい。
まあ今雨もすごいので行けないけど。
そう言いながら空き教室から中庭を眺める。
ん?
黒いシルエットが見えた。
まるで4月のオリエンテーションの時に見た、変わった女子の周りにいたカラスみたいな?
謎の既視感を感じてよく見てみる。
黒いレインコートを着た女子生徒のようだ。
雨がすごかったから裏門側から登校しようと考えたのかもしれない。
確か中庭から下駄箱へつながってる扉はかぎがかかっていたような。
そんなことを思いながら下駄箱へと急いで向かった。
風が強くなっている。
枝が飛んできたのか女子生徒は腕に木の枝を持っていた。
「あけたよ」
「え?」
なぜか木の枝を突き出してドアの前に立っていた女子がいた。
あの時の変わった女子だった。
しばらくの沈黙。
「ありがとう…」
「学校午前は休みで給食の時間からだってさ」
「あ、そうなんだ」
そんな会話をしながらドアの前で雨水を払い下駄箱へと入る女子生徒
黒いレインコートは加工された布みたいで、よく知ってるビニール製のレインコートではなさそうだ。
「それレインコート?」
「え?」
「なんか黒いしめずらしいね」
「そ、そうだね…はは」
そんなことを言いながら女子生徒はリアクションに困っていた。
ああそうか。
「魔女みたいだね」
「ふぇ?」
「ファッションで黒いおしゃれなレインコートなんでしょ!」
「…」
女子のなかでは雨でもおしゃれに気を使わないといけないのかもしれない。
市販のよくある透明な雨合羽とかだとダサいもんな。
「まあ、女子だから」
「なるほど~」
そんな感じで変な会話が終わった。
「ありがとう、扉を開けてくれて」
「いいよ、たぶん校長先生とかほかの先生も気づいたと思うしえーっと」
「私は1年の吉田」
「気にしないでいいよ、吉田さん」
「あなたは?」
「僕も1年の佐藤たかし」
「同級生なんだ。お互い登校損だったけどがんばろうね」
「そういやなんでまだ枝もってるの?」
「え?」
「まあ、女子だから!?」
「…なるほどね~」
そんな感じで変な女子生徒吉田さんと別れて給食を待つ。
まあ雨でいろいろ大変そうだから一人のほうが都合がよさそうだし。
にしても吉田さんもあわてんぼうだな。ずっと枝を持ってるんだから。
さすがに女子でもファッションで木の枝は持たないだろう。
きっと慌ててたんだな。
そんなこんなで給食前に多くの生徒が登校してくる。
放課後パソコン室でレインコート黒いで調べてみた。
「あ、あれローブタイプのレインコートなんだ」
レインコートにもいろんな種類があるんだな。
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