間話 絆強化・実践編?
黒耀城・資料室。
本の山に囲まれ、黒角の女司書リュミエラが淡々と解説する。
「絆は師弟関係でも発動します」
ヴァイレンが顔を上げる。
「……はぁ?」
セレンが真面目にうなずく。
「たしかに。私たち、師弟関係に近いです」
「監督官と見習いですし」
「信頼できる上官と部下です」
ヴァイレン、椅子からずり落ちる。
ドサッ。
リュミエラ、眼鏡の奥で静かに観察。
(男として見られていないの、再確認)
「……」
ヴァイレンは無言で額を押さえる。
セレンは首をかしげる。
「……? どうかしましたか、ヴァイレン様」
「どうもしてねぇ……」
声が低い。
いつもより、低い。
司書がとどめを刺す。
「信頼の継続は、安定型の絆として有効です」
セレン、納得。
「なるほど」
「男女の仲ですともつれたりしますからね」
ヴァイレン、頭を抱える。
「ちなみに、勇者の絆を強化する方法ですが」
ヴァイレンが即答する。
「接触だろ」
「そうです」
セレンが、迷いなくヴァイレンを見る。
信頼そのものの眼差し。
リュミエラは続ける。
「なお、性的な行為は不要です」
「よかった……」
セレンがほっと息を吐く。
「その場合は、時間が必要になります」
「時間?」
「共寝、同衾などでも効果は確認されています」
「できるかボケェ!」
即座に叫ぶヴァイレン。
「私は平気です」
セレン全く動じない。
「平気になるな!」
「勇者パーティで同じテントや寝室で過ごすことで
絆が強化されるとあるので間違いはありません」
リュミエラが、ちらりと視線を上げる。
「ただし、精神的・肉体的に傷つける行為は不可です」
その視線が、明確にヴァイレンを射抜く。
「……やめろ。そんな目で見るな」
セレンが真顔で頷く。
「大丈夫です」
「大丈夫じゃねぇ!」
資料室に、紙をめくる音だけが残る。
リュミエラは書き足した。
「※実施者が混乱する例、多数」
ヴァイレンは天井を見上げた。
(……俺だけが地獄か)
しょーもないコメディ回をどうしてもやりたい病。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
面白い、続きが気になると思われた方は、ぜひ下にある【☆☆☆☆☆】評価&ブックマークで応援をしていただけると嬉しいです。
感想もお待ちしております!




