29/100
間話 柱二本目
黒耀城。
黒大理石の柱には、最近うっすらとヒビが入っている。
原因は明らかだ。
ヴァイレンである。
その日。
セレンは柱の前で立ち止まった。
(……修行……?)
真剣に考えるセレン。
勇者は学ぶ生き物だ。
よし、と気合を入れ──
ゴッ。
「っっっ!!?」
想像以上に痛い。
目の奥がじんわりする。
その場にしゃがみ込む。涙目。
上から降ってくる声。
「……何やってんだ」
ヴァイレン。
「これは……ヴァイレン様の修行では……」
「ちげぇよ!!」
即答。
周囲の黒の兵が肩を震わせる。
ヴァイレンが睨む。
「そんなもん真似すんな!」
「お前は走ってろ!」
「はい!」
涙目のまま即返事。走る。
くすくす。
黒の兵がニヤつく。
ヴァイレンの金眼が光る。
「てめぇらもだ!」
一斉に散る。
柱は──
今日は無傷だった。




