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間話 黒の片割れ
物心ついたときには、放っておかれていた。
それが普通だと思っていた。
兄貴は出来がいい。
頭も回る。魔素の巡りも綺麗だ。
家臣も教師も、皆そっちを見る。
俺は――まあ、暴れればいい。
それで帳尻は合っている。
そう思っていた。
親父が寝台から起き上がれなくなった頃。
屋敷は妙に静かだった。
廊下の奥で、足を止めただけだ。
「再臨は……二人も要らなかった」
掠れた声。
「二人も……妻を亡くした」
「……つらい」
そこで、言葉は途切れた。
俺は動かなかった。
頼んでねぇ。
俺だって。
ヴァーレスだって。
産んでくれなんて、頼んでねぇ。
その日からだ。
機嫌が、戻らなくなったのは。
俺は俺だ。
誰の写しでも、誰の代わりでもねぇ。
だが――
腹の奥には、ずっと火がある。
理由を言葉にするほど賢くもない。
消すつもりもない。
ただ、燃えている。
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