【第19話 軍議】
長くお待たせ致しましたが、19話投稿致します。
今後当分不定期更新になりますが宜しくお願い致します。
ソラ達がドーバーに到着した時点で、渡海した魔狼軍は既に壊滅していた。
流石のルシファー達といったところか。
今後、ジン達が揃うまでは魔狼の渡海を防ぐ迎撃戦を行う事で意見が一致した。
そんな日がしばらく続いたのだが、三日目の夕刻に最近出番の無かった主人公がやっと到着した。
「よっ!
久しぶりっ!」
満面の笑みで手を振るジン。
「ジンちゃんの為にメインディッシュは残してあんで〜」
いや、全部食べてしまってもらって一向に構わなかったんだが…
「報告は聞いてる。
ルシファー、今回の件感謝する」
天幕の中には幹部級のメンバーが揃っている。
こういった場では気持ちを形にする事が大事である。
「気にすることはない」
ルシファーは部下では無く、戦友なのだ。
戦ってもらって当たり前じゃない。
だからこそ感謝を表すのが何よりも大事なのだ。
最近の若い人はそれを忘れている人間が多い。
嫁がご飯作ってくれても当たり前、不味ければ文句タラタラ。
旦那が働いてお給料貰ってくるのも当たり前、安月給なら文句タラタラ。
仕事で同僚が助けてくれるのも当たり前、放っておくと文句タラタラ。
世の中そういうもんだろうと妥協したくは無いな。
実際には、一人では出来ないことがあるからこそ手伝って貰っているだけだ。
助けて貰っていることに気付かず、感謝も言えない小人にはなりたくないよな。
まあ、現実社会での愚痴だとでも思ってくれ。
そろそろ話しを戻すか…
「さてと、今後の展開についてだが…
どうしたものだと思う?」
一同を見回すジン。
「付け加えておくと、Iúpatarからの情報なんだが、黒海付近で魔狼達と死者の軍勢が交戦に入ったそうだ」
天幕内に騒めきが起こる。
「あ奴らは二方面で戦端を開く気か?」
少し驚いた表情を見せるアザゼル。
実際、考えての行動では無いだろう。
奴らの場合、戦いそのものが目的である様に見える。
逆に言えば、二方面でもこれだけの戦力があるのだ。
まともにタイマンでやり合えばもっと戦力が増えるのは間違いない。
今がチャンスであるのは事実だ。
「全軍突撃〜ってわけにもいかんやろなあ。
海越えんとあかんし」
「大陸側に転送魔法陣を設置したところで、全軍の移動には時間がかかりすぎる」
「そんなもん俺達だけで片付ければいいだろ?」
やれやれといった雰囲気だが、その目は真剣そのもの。
「いや、今回の敵はジン殿が居なければ倒せまい」
アザゼルがルシファーを見つめながら申し訳なさそうに言う。
「どういうことかしら?
説明してくさだるわね?」
パイモンの紫眼がアザゼルを凝視する。
「気を使うなアザゼル。
よい、話せ」
ルシファーは組んでいた腕を解くとアザゼルの前に移動した。
「かしこまりました。
では申し上げます。
私は今回黒狼と戦いましたが、アレはフェンリルの分身だったと思われます。
あ奴の言質からフェンリルは時間を超えて存在しているものと推測されます。
おそらくですが、過去に本体が居り未来に分身を送っているのでしょう。
ですので、この時間に本体を固定しなければ直接的な攻撃は不可能だと思われます。
ジン殿ならそれが可能でしょう」
俺も初耳なんだが?
できるのかエイリスさん?
[できますね。
フェンリルの時間的相対位置が分かれば、現在までの時間軸上の位相を変化させる事で固定は可能です
そもそも時間の加速とは、固定された範囲内の位相を…]
なんだか小難しい事を延々と説明してくれているが…
ふむ、さっぱりわからん。
だがエイリスさんが出来ると言ってるんだ。
ここは信じておくことにしよう。
「アザゼルの情報通りであれば、ジンは確定ということか」
少し考え込むルシファー。
「ほんなら少数精鋭で敵の本拠地突っ込むんはどうや?
本拠地の場所は割れとるんやろ?
軍団はここで守らせといて精鋭だけで特攻やっ!」
うーん、思いっきりソラらしい意見だ。
「その案ならばこちらからはアザゼルとベリアルが同行しよう。
無論私もだが、パイモンには此処を守らせる。
それで良いか?」
その2人にルシファーなら戦力としては問題ない。
「ソラ、頼めるか?」
「あたり前田のクラッカーや!」
いや、古すぎやんソレ!
あかん、また関西弁移っとるわ!
これで5人。
なんか忘れてる気がするな…
「あらあらあら、ソラ様が行かれるのでしたら是非ご一緒に」
おっと、大事なバーサーカーを忘れるところだった。
「こちらこそお願いします、紫さん」
これで6人。
まあ、この面子で勝てなかったらどう足掻いても勝てないだろう。
メンバー決定である。
ってなわけで6人パーティで本拠地特攻する事になった。
「ロスヴァント、偵察時に感じた恐怖感というのは魔法的なモノか?」
天幕の端に控えていた帝国人に問いかける。
メッドウェイ組も既に合流しているのだ。
「いえ、なんと申しますか、精神的な魔法と言うより魂そのものに刻まれるような感覚でございました」
「ルシファー、心当たりは?」
恐怖感というものが分からないだけに怖い。
万が一があってはならないのだ。
「パイモン、答えよ」
ルシファーですら心当たりは無いようだ。
振られたパイモンが主君の役に立てる事に恍惚としている。
大丈夫か、おい…
「そうですわね…
魂に恐怖を刻むというのでしたら、フェンリルの本体はワタクシ達同様アストラル体なのかもしれませんわ」
堕天使達以外は全く訳が分からないという顔をしている。
「ふふふ、霊的な世界と現的な世界は位置的に重なっているだけで実は別の世界なの。
そうねえ、現的な世界は今見えるこの世界そのもので、霊的な世界は魂や霊的なエネルギーが見える世界と言えば分かりやすいかしら?」
ますます混乱する一同。
いや、言っている事は分かる、
ただ、突きつけられた答えに対して混乱しているのだ。
「その世界間でエネルギーをやり取りするのが貴方達の使う魔法よ」
こいつは…
またとんでもない爆弾をさりげなく置いたなコイツ。
「先程も申し上げましたが、ワタクシ達堕天使も本体はアストラル体なの。
もちろん、貴方達の言う天使も悪魔もそうね。
ただ、見ての通り今は受肉しちゃってるのだけれど…」
ふむふむ。
「ここまでは良いかしら?
本来霊的な存在であるアストラル体は、現界のみの存在に対しては作用できないの。
あくまでも霊的な存在の貴方達に作用したことで受肉した肉体に影響を及ぼすのよ。
そして、アストラル体と受肉した肉体は重なっていて同調しているの」
ってことは?
「例えばなのだけれど、霊的に燃えた場合は受肉した肉体も燃えるという結果が現界にリターンされるわ。
ここまで言えばわかりますわね?
フェンリルの放つ恐怖感はこの世界に於ける魔法の一種であって、貴方達の霊的な部分に対して恐怖感を与えているということなのですわ」
なんだろう、簡単な答えを凄く複雑に一から十まで説明された気分だ。
実際そうなんだろうけれど。
「ってことはだ、霊的干渉を阻害する結界なり、干渉耐性を上げる魔法なりを使えば耐えられるってことだな?」
「正解でございます」
満面の笑みだ。
なんだろう、負けた気分になるのは何故だ!?
「で、誰かそういう魔法が使えたっけ?」
少なくともこっちのメンバーには居ない。
基本、うちはアタッカーメインだからな。
「私がやろう。
霊的な防御魔法なら得意だ」
アザゼル様!
もう足向けて寝れないな。
「これで方針は決まったな。
出発は明日からにしよう。
今晩は皆ゆっくり休んでくれ」
「ほんなら、なんか美味いもんでもこさえてくるわ〜」
笑顔でヒラヒラと手を振り天幕から出て行くソラ。
さてと、勝負してやんよフェンリル。
首洗って待ってな。
リアル多忙の為、不定期更新となります。
間隔が開くかもしれませんが宜しくお願い致します。




