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【Chaotic Earth】  作者: 音屋
17/21

【第17話 メッドウェイ防衛戦】

いつもありがとうございます。


第17話投下致します。


次週は初盆多忙の為、誠に申し訳ございませんがお休みをいただきます。


よろしくお願い致します。


ドーバーに出現した超巨大な氷の橋。


幅1キロはあるだろうか?


上空から見下ろすソラは、大量の魔狼達が一斉に渡ってくる光景を眺めていた。


「やってくれるやないかフェンリルはん」


既に渡海した魔狼も多く、Véineas(ヴェイナス)目指して進軍中の模様。


「アマテラス様、あの橋壊せませんか?」


護衛役の紫さんだ。


「やってみようかと思ったんやけどな、無理っぽいわ。


アレもこの世界の理を外れとるみたいで干渉できへん」


目を細めて難しい顔をするソラ。


橋を壊して退路と増援を断つ、それぐらいは直ぐに思いついて実行しようとしたらしい。


ソラの能力で干渉できるモノは、あくまでもこの世界に在ることが前提だ。


例え見えていたとしても、ズレてしまっているモノには干渉できない。


魔界側にズレてしまっていたレヴィアタンに干渉できなかった様にだ。


この橋も、有るようで無い存在になっていて分解できない。


おそらくだが、自分達には渡ることもできないだろう。


魔狼達のみが渡れる橋、かなり厄介である。


「どっかに橋の核が有るはずや。


それさえ壊せば消えるやろうけど…」


これだけの巨大な橋である以上、そう簡単に探し出せるとは思えない。


「そのあたりはツクヨミ様に任せて宜しいのではないでしょうか?」


コラコラコラ。


「せやな、うちらが余計な事したらジンちゃんの邪魔やろうし」


イヤイヤイヤ。


余計な事は片付けておいてくれた方が有難いんだが!?


「ほな、焼け石に水やろうけど…」


両手を高く掲げるソラ。


地上の物質を分解・再構成させて頭上の空に多数の小隕石を作り出す。


「名付けてメテオインパクトや(笑」


加速して撃ちだされた隕石が、渡海中だった魔狼の群れを襲う。


荒れ狂うメテオにコアを砕かれる魔狼。


結構な数の魔狼が消滅したのだが、本人が言うように焼け石に水だ。


「この程度じゃビクともせーへんか…


紫はん、そろそろ戻ろか〜」


「かしこまりました」


強行偵察とはこの事だな。




二人がVéineas(ヴェイナス)に戻ると援軍の第一陣が到着していた。


ルシファー達の姿に驚くソラだったが、事情は察したのか深くは突っ込まない。


上総の話では、メッドウェイ川の防衛線にアイン達帝国からの援軍を参加させたそうだ。


ルシファー達については、ジンの客人である為ソラの判断待ちなのだろう。


「ルシファーはん等はどうするんや?


うち等の指揮下で戦うっちゅうわけにもいかへんやろ?」


ソラにしては珍しく気を遣っているようである。


「別にそれでも構わないのだが…


別働隊として、橋の袂で渡海してくる敵を迎撃させてもらう方が効率が良さそうだ。


味方が居ないエリアならデモンズゲートを開く事ができる」


なるほど…


下級悪魔の召喚を考えている訳だな?


前線の敵の退路を絶った上で、増援の合流を許さない二方面作戦。


上総もウンウンと頷いている。


「よっしゃ!


ほなそれでいこか〜」


とりあえず方針は決まった様である。


数日後にはジン達も合流するという事なので先ずは前哨戦だ。


敵の本隊が到着するまでに今の連中を蹴散らしておかないとかなりマズイ。


「ほな、みんなキバってや!


頼んだで〜!!」


メッドウェイ防衛戦、開始である。




ーーーメッドウェイ防衛戦ーーー




「コイツ等早いっ!」


風狼と交戦中のクリフが愚痴にも似た悲鳴を上げる。


川の上空で飛行戦闘を行なっているクリフ。


3体の風狼に囲まれつつ、必死になって逃げ回っている。


アイン達も含め、飛行可能なメンバーは制空権確保の為に悪戦苦闘していた。


「早いのは見ただけで分かるだろ!


冗談は平和な時に言いな!」


炎狼相手に身を焦がしながら戦うレヴィ。


「次から次へと鬱陶しい!!」


敵に突っ込んで魔狼のコアを叩き斬る姿は正に特攻隊といった風だ。


「アイン!


クリフの小僧とペア組んで戦いなっ!


風狼相手にソロじゃ堕とされるよ!」


炎狼を相手にハルバードを振り回すシャーリー。


彼女も身を焼かれながら戦っている。


炎狼は風狼ほどスピードが無いので、大物使いの二人でもなんとか戦えるのだ。


ただし、凄まじい熱気に身を焦がさねばならないのでタフでなければ持たない。


数秒に1体は屠っているのだが、とにかく数が多すぎる。


風狼は3体が連携してアタックしてくる上に、触れれば斬られるのでかなり厄介だ。


「…良いけど、そっちは大丈夫?


美味しそうな匂いがしてくるけど…」


アイン…


「ベッドの上でなら食べさせてやるよ!


それ以外はごめんだね!!」


「…遠慮しておく」


シャーリーとアインのベッドシーンとか。


母親に抱かれる子供以外の何物でも無いな。


「第二波来ます!」


帝国から増援のロスヴァント。


流石によく戦場を見ている。


「レッド、貴方は地上部隊の援護を!


押されている様です」


「了解!」


頼もしい限りだな。


上総がVéineas(ヴェイナス)に戻っている間はロスヴァントが現場指揮を任されている。


幸いだと思えるのが、敵飛行戦力が全体の数%だという事。


割合的には氷狼が圧倒的に多く、8割といった感じだ。


残り2割が他の属性魔狼である。


こちらはセラム達を計算に入れてもそれほど多いわけでもない。


なんとかギリギリの線で制空権を確保出来ている状態だ。


これ以上敵の飛行戦力が増すと戦線崩壊する恐れがある。


地上部隊の方は押しこまれ気味だ。


正直言って良く耐えていると思う。


このまま増援が無いと味方の被害が大きくなるのは目に見えているが…


と、その時。


「お待たせやで〜


真打ち登場やっ!」


ソラ率いる援軍の到着である。


「遅いっすよぉぉ!!」


全身流血状態のクリフからクレーム発生。


「随分と男前になっとるやんかクリフ?」


「勘弁してくださいっ!」


「傷は男の勲章やで?」


「そんな勲章要りませんっ!!」


「残念やなっ!」


クリフとアインにまとわりついていた風狼のコアを分解瞬殺するソラ。


「…ソラ様は反則すぎ」


ボソっと愚痴るアイン。


アインよ、その気持ちは痛い程に理解できるぞっ!


「…ジン様もだけど」


何故だアイン!


俺はこんなにちっちゃくて可愛いぞっ!?


コホン、それはそうとアインよ。


シャーリーとレヴィは焦げ焦げ、クリフに至ってはボロボロ。


なのに何故君はそれ程に綺麗な姿なのだ?


察するに、クリフを囮や盾にコキ使ったのだろう?


シレッとした顔でやる事えげつない外道だったか…


その後の流れは同盟軍の逆襲開始だ。


地上戦には上総が参戦。


帝国の二人、ロスヴァントとアルフレッドも地上戦支援に向かわせる。


空中戦にはソラと紫さん。


紫さんは相変わらず絶好調な様子。


「あらあら、いけない事するワンちゃんには躾が必要ねっ!」


毎度お馴染みの暴走超特急紫号発進である。


ソラから言いつけられているのか、分身加速のロケットスタートだ。


物凄いペースで風狼を屠っていく紫さん。


この様子ならなんとか大丈夫だろう。


ある程度数を減らしたところで分身を解除。


省エネバトルへ移行する紫さん。


ソラも直接分解を使わず省エネバトルを継続中であった。


ルシファー達の別働隊が上手く敵後背を突いたのだろう。


敵の増援がピタリと止まり、掃討戦といった流れになってきている。


此処が落ち着けばルシファー達の居るエリアに駆けつけなければならないのだ。


あまりノンビリと後片付けをするわけにもいかない。


「そろそろええ塩梅やな。


此処はセラムはんと帝国さんに任せてうち等はドーバーへ行こか〜」


「かしこまりました、全員に通達致します。


兵達は一先ず残留で宜しいでしょうか?」


「せやな、一旦休ませんとあかんしな。


ロスはんに預けて8時間3交代で休ませてーな。


24時間後にドーバー向けでええやろ?」


休憩班、護衛班、掃討班ってことだな?


流石のソラである。


「かしこまりました。


では、その様に手配致します」


「頼んだで上総。


うちと紫はんは先行するよって、みんな揃ったら追いかけてきてな」


「かしこまりました、お気をつけて」


「上総も油断するなや?


第六感っちゅうんかな?


なんか嫌な予感するわ」


「お気遣いありがとうございます」


「なんも無かったらええんやけどな…」


長く美しい黒髪を風に流し、蒼天に舞い上がるソラ。


二人の目指す先は南、ドーバー海峡である。

お読み頂きましてありがとうございます。


暑さが尋常ではありませんね。


皆様もお身体を大事になさってくださいませ。

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