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【Chaotic Earth】  作者: 音屋
15/21

【第15話 魔狼の領域】

いつもありがとうございます。


第15話投下致します。


第16話は7月29日に投下予定です。


さてと、エイリスとの約束通り翌日から本気出した俺だが、あまりに凶悪な量だったので高坂にも手伝ってもらう事になった。


移住者リストを確認して公務担当者を選抜するのが最も面倒である。


まだリストは届いてはいないが、ルシファー達が連れてきた避難民1万人を加えると国民数約2万人となる。


とてもじゃないが俺達だけで処理しきれるものではない。


魔奴隷だった者達については、ネルソン率いるOighear(アイーズ)防衛隊として編成。


色々な種族の混成部隊だが、こちらは全てネルソンに任せてある。


総数は約一千といったところか。


Oighear(アイーズ)の治安維持にも働いてもらうつもりだ。


そのネルソンの補佐官にアンナというラミアが居るのだが、彼女は反逆罪で魔奴隷化された元貴族なのでかなりの文書を扱える。


そのアンナから部隊編成や予算編成に加えて部署配置等といった大量の書類が届いていて、サインを入れる手が疲労で震えるほどだ。


なんだろう、現実世界よりハードな気がするんだが…


しかし、このアンナというラミアから上がってくる書類の見事さに思わず感嘆が漏れる。


この短期間にこれだけの資料と書類を作成できるのは相当に出来る証拠だ。


近いうちに事務総長としてスカウトしてみよう。


とにかく事務系の人材が足りん!


「高坂、一ついいか?」


人事書類を選別中の高坂が執事鏡を上げる。


「如何致しましたか?」


「お前の選別する候補者が全員女性なのは何故だ?」


「その方が華やかで良いかと?」


まあ、確かにな。


「お前の気持ちは分かる。


痛い程に分かるが、今は華やかさより実務が優先だ。


頼むから間違えないでくれ」


お前の気持ちは正直嬉しい。


だが、今はそんな場合ではないのだよ。


「かしこまりました。


以降は能力優先でピックアップさせて頂きます」


「可能なら今まで弾いた男性の中からも有能そうな者が居ればピックアップ頼む」


「かしこまりました。


ですが、これまでの中には有能そうな男性は居りませんので問題無いかと?」


「何故そう言える?」


「全員の詳細を覚えておりますので」


なん…だと?


「高坂、今までに見た書類全て内容を覚えていると?」


「はい、私は人より記憶力が良いようで…」


記憶力が良いとか、そんなレベルじゃないよな?


コイツの脳はコンピュータのハードディスクなのか?


スキャンした内容全部記憶とか、ありえないよな?


兎も角、高坂の意外な超能力も発覚したので今後は利用しよう。


御利用は計画的じゃなくても大丈夫そうだ。


そんな高坂の協力があっても、仕事の山を片付けるのに実に一週間を費やした。




こうして遅ればせながらNibbleheim(ニヴルヘイム)の新体制が固まった。


国王→ジン・エイリス


首席近衛→セシリア・ルイスフィールド


首席補佐官→ライル・ハワード


首席事務官→アンナ・ローズマリー


Oighear(アイーズ)防衛司令官→ネルソン


首席秘書官→高坂礼司


近衛士官→イマラ・ロウズ/ブレン・ヴォルグ


コア研所長→氷室伊織




〈ゲスト〉


堕天使王→ルシファー


堕天使→アザゼル/ベリアル/パイモン




ゲストについては部下では無いので命令権は無い。


だが、ルシファーに対して協力を要請できるので実質的には部下に近い立場だ。


パイモンにはアンナと伊織のサポートを、アザゼルにはライルのサポートを、ベリアルにはネルソンのサポートを頼んでおいた。


ルシファーはもちろん俺のサポートだ。


サタンと決着を着ける際の協力を約束する事でルシファーの協力を取り付けた流れだ。


パイモンは知識的にとりわけ優秀で、伊織とかなり馬が合うようだ。


パイモンの容姿?


そうだな、高貴な美女といった感じだ。


残念ながら普段は駱駝に乗っていない。


戦時には召喚するらしいが。


ソロモン72柱序列9位は伊達では無いよ。


今後も色々な知恵を借りることになりそうだ。


それにしても、堕天使達の美男美女っぷりには呆れるしかない。


ちょっと羨ましいぞ。


まあ、こんな感じでなんとか国内は一通り落ち着いた。


で、予定していた北米への偵察隊の件だが、行き先変更となって魔狼エリアの偵察となったのである。


「ライル、頼むから無事に帰ってきてくれよ?」


「ただの偵察に無理するつもりはございません。


皆を無事に帰してみせましょう」


ちくしょう!


カッコいいぞライル。


[誰かさんも見習うべきですね]


コイツ(エイリス)だけは…


ってことでライルにバトンパスだ。




「現在地は此処です」


オランダのアムステルダム付近へ上陸した偵察隊。


コア研新作の立体映像魔法コアを使ってパーティメンバーに現在地を説明するライル。


パイモンのコア研参加で完成したアイテムの一つだ。


偵察コースについては、アムステルダムから旧海岸線を抜けてバルト海からスウェーデンを抜ける予定だ。


その地域が最も情報不足な為である。


「で、早速お出迎えみたいだよ?」


野生のカンなのかな?


アインが敵の接近を感知したようですね。


「どうしますか?」


慎重派のロスヴァント。


「全部ぶっ壊す!」


雑なクリフ。


「そうじゃのう、先ずは坊の言うように全部やっちまってから考えた方が良さそうじゃの」


O型的発言なラルク。


「とりあえず数次第で柔軟に対応だな」


考えているようで行き当たりばったりなアルフレッド。


なるほど、サブリーダーがロスヴァントな理由がよくわかりますね。


流石はジン様です。


全員男のむさ苦しいパーティなのですが、この中では女にしか見えないクリフが紅一点なのかな?


「とりあえず布陣ですが、前衛中央にラルク、左右にアインとクリフ。


センターにロスヴァントとアルフレッド、後衛は私が努めます。


よろしいでしょうか?」


ロスヴァントとアルフレッドはヒーラーも兼ねているので中央布陣なのだろう。


各々了解を返すパテメン。


敵は十数体といった数…


氷狼(アイスウルフ)と水狼(アクアウルフ)が一体の銀狼(シルバーウルフ)を追い詰めている。


その銀狼(シルバーウルフ)が此方へ逃亡してきているといった状況のようですね。


「皆さん、銀狼(シルバーウルフ)を殺さないでください!


何か事情がありそうです!」


『OK!』


躍りかかる前衛達がそれぞれ了解を返してくれた。


戦闘終了まで10分ほどだろうか?


氷狼(アイスウルフ)は前衛三人が木っ端微塵に打ち砕き、形状変化の鬱陶しい水狼(アクアウルフ)はライルとアルフレッドが魔法と弓で狼核(ロウカク)を撃ち抜いた。


戦闘が終わると同時に、銀狼(シルバーウルフ)がその場に倒れこんでしまった。


「息はありますね、どうしますか?」


ライルに判断を仰ぐロスヴァント。


「意識が戻る程度に治療できますか?」


「可能です、行っても?」


「是非お願い致します」


パラディンと言っても神聖魔法を使うわけではない。


ロスヴァントの使う回復魔法は健康な細胞のコピーを作り出して欠損した細胞と置き換える魔法だ。


神の奇跡のように見えるので聖騎士(パラディン)と言われているらしい。


逆に言えば、欠損した細胞をコピーして置き換えることで、傷付いた相手を瞬殺することも可能なんだそうだ。


ちなみに、生物である限り悪魔相手でも有効なので正に聖騎士(パラディン)だな。


「目覚めました」


銀狼(シルバーウルフ)の瞳がうっすらと開いた。


「レッド、後はお願いします」


ロスヴァントから視線と共に声をかけられたアルフレッド。


「銀狼(シルバーウルフ)なんて初めてだから失敗しても恨むなよ?」


《Tuiscint(チュシケンツ)》


鈴の音のようなリーンとした音が当たりに響く。


聞く者の心に沁み入ってくる音ですね。


「銀狼(シルバーウルフ)よ、俺達の言葉が分かるか?」


「理解、可能、不思議?」


「どうやら成功したようだ」


胸をなで下ろすアルフレッド。


「ライルさん、聴きたい事あればどうぞ?」


コミュニケート魔法Tuiscint(チュシケンツ)、凄いですね。


「さてと、銀狼(シルバーウルフ)さんは何故追われていたのかな?」


疑問その一です。


「我、変異種、異端、理由、分からない」


銀狼(シルバーウルフ)が異端ですか?


どういう事なんでしょうか?


「では、異端では無い魔狼達はどんな感じなのでしょうか?」


銀狼(シルバーウルフ)が知る限りの情報を引き出さなくては。


「氷狼(アイスウルフ)、水狼(アクアウルフ)、炎狼(ファイアウルフ)、風狼(ウインドウルフ)、地狼(アースウルフ》、リーダー、黒狼(ブラックウルフ)」


思った以上に多くの種類が居るのですね。


「我、黒狼(ブラックウルフ)、失敗作、変異種、未支配」


「未支配…ですか?


他の狼達はフェンリルの支配を受けていて逆らえないが、銀狼(シルバーウルフ)は支配を受けていない為に襲われたという事なんでしょうか?」


「正解」


なるほどですね…


「銀狼(シルバーウルフ)さんと言うのも変ですが、貴方を暫く保護しましょう。


受け入れてくださいますか?」


「助かる、お願い、しよう」


こういった事情で銀狼(シルバーウルフ)を保護したパーティは一路バルト海方面を目指すのだった。




保護した銀狼(シルバーウルフ)から得られた情報はオランダ周辺国にとどまり、北欧方面は皆無であったので偵察続行という形になりました。


デンマークのシェラン島付近ではかなりの数の魔狼達が集結していて、魔狼の前線基地といった具合です。


そのままバルト海のゴッドランド島方面へ進んだのですが、島全体を被う氷山を見た時にメンバー全員が強烈な悪寒に襲われた為、島へ近づくことができませんでした。


今思えばあの島にフェンリルが居たのではと思います。


その後は西へ進み、スウェーデンからノルウェーの海岸線へ抜けて戻りました。


その地域については散発的な戦闘があったぐらいで、特に気になったものはありません。


「報告は以上です」


帰国したライルの報告を受け、大規模な侵攻が近いことを改めて知らされたジン。


それにしても、ゴッドランド島にフェンリルとか…


ネタか?


ネタなのか!?


「ライル、戦ってみた感想はどうだ?」


「そうですね、基本的に狼核(ロウカク)を砕けば倒せるのは全て同じです。


氷狼(アイスウルフ)と地狼(アースウルフ》に関しては特に問題はありませんが、その他の狼は形状を度々変化させるので少々手強いイメージがあります。


中でも炎狼(ファイアウルフ)、風狼(ウインドウルフ)は飛行可能でかなり厄介です。


黒狼(ブラックウルフ)については戦闘機会が無く、不明のままです」


ライル達は悪寒と言ったが、その正体は間違いなくフェンリルのものだろう。


俺もツンドラの映像でアイツを見た瞬間、とてつもない悪寒に襲われたからな。


「シェラン島に集まっていた敵の数は分かるか?」


やっぱり気になるよな、そこが。


「およそですが、100万前後かと思います。


正直多すぎて詳細は不明です」


そうか、100万か…


ライル君、ソレはゼロ一個多く見積もっていないか?


「アルフレッドのサーチ魔法で確認できた総数が80万でしたので、伏兵や増員を考えれば100万を超えてくると思います」


そうだな、確かにその通りだ。


その通りなんだが!?


誰も我に七難八苦を与え給えなんて言ってないぞ!?


俺は鹿之助さんのようなドMじゃない!


[ならドSなのですか?]


ドS(エイリス)が冗談を言っているが無視である。


ちなみに銀狼(シルバーウルフ)はもちろん俺のペットになっている。


乗せてもくれる愛い奴だ。


それにしても100万オーバーか…


とりあえずオルターに丸投げってどうよ?


[却下です]


あっちにはソラも居るんだしさ…


[却下です]


じゃあ、エイリ…


[却下です]


最後まで言わせてくれよ…


お読み頂きありがとうございます。


暑くなってまいりましたので、皆さまご体調にはくれぐれもお気をつけくださいませ。

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