【第14話 漆黒の堕天使】
いつもありがとうございます。
第14話投下致します。
第15話は7月22日0時投下予定です。
パイモンが連れていた難民1万人と合流したソラ達は、なんとか無事にNibbleheimへと帰還した
スリープモードのジンについてはハートがIúpatarへ搬送して生体再組成を実施。
アニエスがルシファー達の治療をひと通り済ます頃には、Iúpatarからジンが戻って来たのでソラのテンションがデンジャーゾーンだ。
待ってましたとばかりにソラの着せ替え人形となるジン。
どこから入手したのか、ゴスロリからメイド服まで用意してやりたい放題だ。
そんな着せ替え中にルシファー達が訪ねて来た時は流石に焦った。
何のツッコミも無くて正直不気味だったが…
ルシファーの話では、パイモンが連れていた難民は北米東部に住んでいたらしい。
西部はサタンによって支配されており、人間は家畜と同じ扱いなのだそうだ。
文字通り悪魔達の食事として食べられているらしい。
ルシファー達は、そんな難民達をサタンから逃す為にグリーンランドへ逃亡したのだが、数が多過ぎて速度が上がらず捕捉されたようだ。
ただ、今回の戦いでサタンもルシファーも結構な数の仲間を失っている。
それに加え、レヴィアタンを魔界へ強制送還できたことで少し時間的に余裕ができただろうという事だ。
一旦魔界へ送還された場合、再度現界するには数ヶ月の時間がかかるらしい。
この魔界への強制送還が可能なのはサタンとルシファーだけであり、他の悪魔達が逆らえない理由の一つでもある。
「ルシファー、一つ確認したい事がある」
どうでもいいが、ゴスロリ衣装の俺が真面目に喋ると凄い光景だろうな。
「なんだ?」
「今のあんたは天使長ルシファーか?
それとも堕天使ルシファーなのか?」
大事な事である。
「私の素性を知るか…
それならば何故悪魔ルシファーと呼ばぬ?」
大人の事情というやつだ。
なんというか、サタンとルシファーが別という時点で俺の知識と異なるのでな。
「悪魔と呼べるほどに堕ちているとは思えないから…
…だな」
ルシファーの瞳を真っ直ぐに見据えて言葉を紡ぐ。
「面白いことを言う。
神に叛旗を翻した私が堕ちていないだと?」
さあ、正念場だ。
「そうだ。
ルシファー、あんたは何故神に逆らいその存在に成り代わろうとした?
神が見捨てたモノ全てを愛そうとしたからでは無いのか?」
「違うな。
私は私以外の神など受け容れられん!
それ以上でもそれ以下でも無い!」
「ならば神とはなんだ?
あんたの言う神とはなんだ?
天使長であったあんたが成りたかった神とはどういう存在なんだ?」
思いがけぬ問いに考え込むルシファー。
まるで悠久の記憶を探り当てるかの様だ。
「ジン、貴様は面白いな。
私を悪魔ではなく天使として扱おうとしているようだが…
何故だ?」
バレたか…
「簡単だ。
あんたは堕天使かもしれんが悪魔じゃない。
少なくとも俺にはそう見える」
「悪魔も堕天も同じものだ。
何が違うと言うのだ?」
悪魔が正論とか言わんでくれ…
「人間と同じさ。
勢力争いで勝った方が天使で、負けたから悪魔?
馬鹿馬鹿しい。
勝った神が作ったルールだろ?
あんたが天使だったのは紛れもない事実で、負けた都合から堕天されただけだろう?
望んで自らを堕とさぬ限りそれは変わらないさ」
ちょっと強引だが納得してくれるか…
ここでルシファーを説得できないと後々面倒だしな。
「その言い分ならば悪魔もまた天使であると言いたいのか?」
「堕ちていなければな」
「何をもって堕ちたと決める?」
「自身が天使であった矜持を失った時だ」
双眸を見開くルシファー。
探していた答えを得たかの如く。
「フハハハハハハハハハッ!!
やはり貴様は面白い!
かつての私はその傲慢さ故に神に成り代わろうとした。
だが、神の忌み嫌うモノ全てを愛そうとしたのも事実だ。
醜きモノを!
欲深きモノを!
罪深きモノを!
私になら可能だと!!
天界に在って明けの明星と呼ばれた私だ。
その私が不可能など無いと信じ、行動した結果の堕天であったと貴様は言うのだな?」
「そうだ。
その先にあったであろうおまえの道は何処にある?」
「我は今、求め続けた答えを得た。
この漆黒の翼に誓って我は堕天使であると答えよう。
それが貴様の希望でもあるのだろう?」
先に言われちまったな。
「感謝だ、ルシファー」
「悪魔も天使も人も同じ…か。
世の中には変わり者がいるものだな」
微かに微笑むルシファー。
女性陣が居たら絶叫必至だな。
ああ、ソラは別な。
「褒め言葉として受けとっておこう」
「ジン、これより貴様はこのルシファーの友だ」
「それは重畳だな」
悪ぶってニヤけるジン。
「我、堕天の時を経て明けの知己を得たり!
アザゼル、ベリアル、パイモン、其方らも此れより堕天の矜りを持って我と共にあれ!」
『御心のままに!!!』
どうやらなんとかなりそうだな。
「ルシファー、今後についてはどうするつもりだ?」
あまり勝手に暴れられても困るからな。
「サタンとは決着を着けるつもりだが、今のままでは正直厳しいな」
「何故決着を望む?」
ルシファーは何故かサタンに固執している気がする。
何か理由でもあるのだろうか。
「そうだな、貴様になら構わんか。
サタンとは神に敗れた私の負の心が悪魔として分離したものだ」
ってことは…
「つまり、サタンとルシファーは元々一人の天使だったということだな?」
「それで正解だ。
だからこそ私が決着を着けなくてはならない」
なるほどな。
これでこっちのルシファーが天使寄りな理由がはっきりした。
「ならサタンも同じ事を考えていそうだな」
「お互いに相手を倒さないと本来の力を使えないという理由もある」
おっと、これは想定外の展開だ。
まあ、なんとかなるだろう。
なって欲しい…
「とりあえず今は戦力増強しながらサタンの様子を伺うってことだな。
ルシファーが良いならここに拠点を作ればいい。
位置的にもOighearでなら都合が良いだろう」
「助けられた借りもある。
そうさせてもらおう」
紆余曲折あったが、とりあえずルシファー達との話はこれでついたわけだが…
「ソラ、そういうことだから頼めるか?」
「迎賓館みたいなんでええんか?
それともパルテノンのがええか?」
「ちょっと豪華な迎賓館で頼む」
「おっけーや、任しとき〜」
こういう時は本当に頼りになるな。
一先ずこれで北米対策はルシファーメインで行けそうな流れだ。
西側が落ち着けば東側の魔狼対策もできる。
なにせやる事は山積みだ。
オルターからの情報だとフェンリルがバルト海を氷結させて北欧を地続きにしたそうだ。
この勢いで北海まで氷結させられたら非常にヤバイ。
まったく、次から次へと頭が痛い問題が続くのは何故だ!?
日頃の行いは悪くないはずだが?
「ところでジン、その姿は戦闘時より縮んでいないか?」
ルシファーよ、そこは触れてはいけない。
死滅過多で生体調整不可能になり再組成を行った結果、擬似細胞が足りなかったという始末。
やっと150cmになった身長がまた140cmに逆戻りだ…
神よ、ルシファーでなくとも貴様は許さん。
俺の身長を返せ…
「ちっちゃい方がええって言うてるんやけどな〜」
ソラ、お前はデカすぎるんだ!
日本人ベースなのに175cmってなんだ!?
モデルか!?
10cm寄越せ!
「気のせいだ…」
おかしい、何故か目が潤んでいる。
察したのか、それとも優しさなのか?
それからは誰も突っ込んでこなかった。
[これに懲りたら無茶はしないことです]
そう、コイツ以外はな。
満足したソラが帰国したのでやっと解放された俺。
私服に着替えて執務室のドアを開けた途端、デスクに乗りきらない程の書類の山が見えた。
開けたドアを再び閉める俺。
見なかった事には…
出来ないよな。
よし、明日から本気出す!
[出さなかったらお仕置きですよ?]
勘弁してくださいエイリス様…
とりあえず風呂にでも入って疲れを取ることにしよう。
カポーン♪
やはり露天風呂は最高である。
「ふーーーーっ!
極楽極楽♪」
「ジン殿か?」
おお、先客が居たのか。
「ああ、アザゼリュッ!?」
「如何された?」
マテマテマテッ!!
なんでアザゼルが女なんだ!
ソラの奴、知ってて黙ってやがったな!
パイモンが女性型なのは初見で分かったが、まさかのアザゼル。
男にしては線が細いと思ってはいたが…
「アザゼルは女性型だったのか?」
「すまない、驚かせたか?」
驚いたなんてものじゃない。
ガッツリ噛んじまったじゃないか。
本来悪魔や天使には性別は無いはずだが…
「大きいと動きにくいから細やかなサイズなんだ。
だから気にしないでくれ」
サイズの問題じゃない…
そこじゃないんだよアザゼル…
「それにしても、失った腕が元通りになるとは…
アニエスだったか?
神の如き魔法を使うのだな?」
アレはもう反則だからな。
それにしても、細身の長身でバランスの良いシルエットをしているアザゼル。
目のやり場に困るぞ。
「温泉は気に入ったか?」
「良いものだな…
これまで戦いと逃亡の連続だったから癒されるよ」
「そうか…」
「ルシファー様の件感謝する。
ジン殿、ありがとう」
「よせ、照れる…」
「フフッ…
ジン殿は意外と可愛い御仁なのだな?」
あーざーぜーるー!
コイツもかなり良い性格をしているじゃないか。
まあ、露天風呂でそんな一幕があった事は俺達だけの秘密だ。
秘密なんだぞエイリスさん!
[貸し一つです]
……トイチはやめてねエイリス様。
お読みいただきありがとうございます。
とりあえず…
頑張ります…




