【第11話 氷竜と氷巫女】と【オマケ】
いつもありがとうございます。
第11話投下致します。
第12話は7月1日0時投下予定です。
会議から二週間が経過し、円卓同盟も軌道に乗ったので次なる一手を模索中のジン。
ソラは天国創造で各国の手伝いに走り回っている。
どの国も必死だ。
紫さんとセシリアが傍に付いているので護衛の面でも大丈夫だろう。
上総のまとめた被害報告では、ヤマトの人的損失は約10万人に達するようだ。
タワーから撤収させた人数と偶然一致し、Véineasの人口に変化は無いのだがね。
同盟設立から何度か悪魔達がアイルランド西側に出現し、その度にセラムとライル率いるエデン軍が撃退している。
今のところ海を超えて来るのは悪魔達だけであった。
「氷竜か…」
思わず口をついて出てしまった。
「氷竜ですか?」
思いがけない声に慌てて振り返るジン。
伊織さんがお茶を持って来てくれたのだ。
「すみません、驚かせてしまったみたいですね…」
「いや、こちらこそ気付かなくてすまない」
アイスランドやフェローはここから比較的近い。
できるならこちらサイドに取り込んでおきたいのだ。
フェローについては既にオルターに打診してある。
落ち着けばウィレルに調査をさせて戦力の派遣も考えるそうだ。
問題は、氷竜のいるアイスランドなのだが…
「氷の竜、一度会ってみたいものです」
そういえば、伊織さんは氷巫女というぐらいに特殊な系統の魔法を使うのだったな。
「伊織さん、貴女のコアは普通の物ではないのか?」
明らかに我々の使う系統と異なるのだ。
気にはなっていた。
「私のコアは精霊コアと呼ばれるモノです。
魔導コアとは、魔粒子の結晶にソウルシードと呼ばれる魂魄結晶を融合させて作られるコアなのですが、精霊コアは特定の宝石に魔粒子によってプログラムされた自然界のエネルギーを封じ込めたコアになります。
私の場合、絶対零度の負エネルギーをダイヤモンドに封じた精霊コアということになりますね」
なるほどな。
「そいつもオルディンが作ったのか?」
「いえ、精霊コアの開発は私が行なっておりましたので…」
ん?
今なんと仰ったのかな?
「アマテラス様から聞いておられませんか?」
何を?
「いや、初耳なんだが?」
「私はMearcairでコア研に居りましたから…」
あっらこんなところに牛肉が〜♪
コイツはエイリスと話が合うかもしれない。
っと、話が逸れたな。
「伊織さん、氷竜に会ってみたいか?」
「はい、私と同種の力を持つ竜に一度会ってみたいと感じています」
何か第六感の様なものだろうか?
合わなければならないと心の声が語りかけているのかもしれない。
「よし、伊織さんにアイスランドへ行ってもらう事にしよう。
数名選抜するのでよろしく頼む」
「かしこまりました。
ありがとうございます」
選抜メンバーだが、伊織、ブレン、シャーリー、セシリア、イマラの五人だ。
Iúpatarには重力制御型飛空船が数隻搭載されている。
制御魔法陣が設置されており重力魔法が使えなくても飛行可能だ。
クルーザー程度の大きさしかないが五人なら十分だろう。
リーダーは飛行可能なセシリア。
本人泣きべそだったが何事も経験である。
ブレンの親父はハーレム状態だ。
…なんて羨ましい。
盟主なんて面倒がなければ自分で行ったんだが…
誤解の無いように言っておくがハーレムの為じゃないぞ?
そういう訳でセシリアにバトンタッチだ。
「セシリア、まもなくアイスランドに着くよっ!
気合い入れなっ!」
「シャーリー、お願いですからリーダー代わってください!」
グズグズだ。
大丈夫なのかセシリア…
「セシリアさん、気負わずにいきましょうよ」
「ん…」
「ギャアギャア言っとらんでさっさと上陸の準備せんかっ!」
………人選誤っただろうか?
ヴァトナヨークトル氷河辺りに着氷した飛空船。
アイスランドというだけあってこの時期にしては結構寒いのだが、伊織は冷気をコントロールすることができるのでパーティメンバーの周囲だけ温度を上げてある。
なんて便利な伊織エアコンだ。
「いいかい、このパーティじゃ飛べるのはあんただけなんだ。
そのあんたがしっかりしなくてどうするのさ?
あたいらの命運握ってるのはあんたなんだからね。
しっかり頼むよ!
お嬢ちゃん!」
「シャーリー、あんまりプレッシャーを掛けてやるな。
ホレ、カチコチになっとる」
「…寒いし、仕方ない」
「イマラさん、セシリアさんは寒さで凍ってるわけじゃないから大丈夫」
こんな調子で本当に申し訳ない。
伊織が言うには此処から北の湖近くに氷竜がいるそうだ。
強烈な冷気の発生源が感じられるらしい。
「…アレ」
左前方を指差すイマラ。
「氷の巨人じゃな」
「セシリア、どうする?
このまま進めば確実に戦闘になるよ。
まあ、あたいはそれでもいいけれど」
「伊織はどう思う?」
「あの巨人からは意識が感じられません。
倒してしまっても大丈夫でしょう」
その一言でセシリアは決めた。
「戦います。
私が空から巨人の注意を引きますから、ブレンは中央正面へ。
伊織はブレンの後ろから援護。
イマラは左から。
シャーリーは右からお願いします」
配置を決めるセシリア。
「やればできるじゃないかお嬢ちゃん」
「二人は両腕最優先で落としてください。
ブレンと伊織は片足集中で」
「楽しくなってきたわいっ!」
距離を詰めるパーティ。
巨木から飛び立ったセシリアは巨人の顔へ光弓を放つ。
「今です!」
「…二刀流奥義、伊邪那岐!」
やはり先手は神速イマラだな。
二本の小太刀をマシンガンの如く突きまくり一瞬で左腕を粉砕してしまった。
その攻撃でバランスを崩した巨人が大きくふらつく。
「どりゃああああ!!」
コマの様に横旋回したブレン。
自慢の雷鎚を左足に叩きつけ粉々に粉砕する。
地響きを立ててその場で倒れる氷の巨人。
「遅れちまったねえっ!」
真紅に輝くハルバードを軽々振り回すシャーリー。
彼女は残った巨人の右腕を砕く。
凄まじい膂力だ。
伊織、自分の出る幕は無いと既に観戦モード。
トドメとばかりにセシリアが上空から雷槍を穿つ。
雷鳴が轟き、一瞬で氷の巨人を蒸発させてしまった。
「やるじゃないか、お嬢ちゃんのクセに」
肩にハルバードを担いだシャーリーが笑顔を見せる。
「まったくじゃな。
それだけの腕があって何故ビビるのじゃ」
「…セシリアは敵じゃなくシャーリーにビビってる」
あっ!
イマラ、それはヤバくないか?
「ワハハハハハハッ!
なるほどのう。
それなら合点がいったわい!」
「ちょっとイマラ、今のはどういう意味だい!?
あたしのどこがビビられるって言うのさっ!」
「…自覚無し。
…救済不可」
「クスクスクスクス」
「伊織も笑ってんじゃないよっ!」
まあ、そんなこんなで氷竜目指してパーティは進むのだった。
「なんて美しい…」
うっとりと見惚れる伊織。
『我が美しいと?
其方には我と同じ氷雪の祝福を感じる。
何者か?』
「私は氷室伊織と申します。
美しき氷竜様、宜しければ是非御名前をお教え願えませんか?」
『我に名など無い。
好きに呼べば良い』
「その様な恐れ多い事など出来ようもございません」
『ならば、我を美しいと言う其方だ。
我に名を付けよ』
「そこまでお望みでしたら…
ブルー様とお呼びして宜しいでしょうか?」
『ブルー…
我に相応しき良き名だ。
気に入ったぞ、伊織とやら。
我が名はブルー!
これより其方は我が友である。
氷河の覇竜の友よ。
何か言いたい事があるのではないのか?』
「この島の南西部に街を作るお許しをいただけませんか?
決してブルー様の住処である氷河には足を踏み入れませんので」
『友の願いだ。
構わぬが、西側となれば最近黒き翼が現れておるぞ?
我に怯え此方までは来ぬようだが…』
「ご忠告感謝致します。
ですが、その件も無関係ではございませんので対応させて頂きたく思います」
『ならば何かあれば我を呼べば良い。
友の声は何処に居ろうとも我に届く』
「ブルー様…」
伊織、感極まって涙目である。
ただの偵察だったはずが、氷竜に魅入られた伊織がソロで特攻。
気がつけば氷竜の友になり島への建設許可まで取ってくる始末。
伊織、まさかの大勝利である。
恐るべし、アマテラス邸女中達。
帰還した伊織達を一番驚かせたのは、街が大きく変貌していたことだった。
かつての美都Véineasの面影は無く、要塞都市といった感じになっている。
アマテラス邸こそそのままであったがその他はゴッソリ変わっていた。
間違いなくソラの魔法だろう。
悪魔達の襲撃に備えて都市をまるごと作り変えたのだ。
イマラなど、自分の家が分からず迷子になった。
疲れきったソラはグッスリ眠っていて、ジンと上総は忙しさで寝る時間も無い程だ。
まあ、普段もこんなものなんだがね…
【オマケ イマラの神速週記】
7月1日
…街を歩いていたら黒猫が横切った。
…可愛かったので追いかけたら逃げ出した。
…そのまま街中を鬼ごっこした。
…スピードでは負けないのに、狭いところ入るのはズルいと思う。
…今度会ったらリベンジしよう。
7月8日
…ツクヨミ様と模擬戦した。
…加速ズルい。
…10倍以上になると追いつけない。
…今度は罠でも考える。
…なんか悔しい。
7月15日
…今日アインとご飯を食べた。
…無言で食べてると周りが騒ぎだした。
…アインと食べるといつもそう。
…何話したらいいかわからない。
…結局今日も無言のまま終わった。
7月22日
…最近太ったかもしれない。
…ダイエットしよう。
…ダイエットってどうやるの?
…運動すれば痩せるらしい。
…斬ってれば痩せるかな?
7月29日
…紫さん強い。
…アレなんだろう。
…私にもできるかな?
…どうやって斬ったのかな?
…小太刀から刺身包丁にすれば良いの?
お読みいただきありがとうございます。
なんとか14話までストックできております。
時間が欲しいですね…




