【第10話 円卓同盟】
いつもありがとうございます。
第10話投下致します。
11話は24日の0時に投下予定ですのでよろしくお願い致します。
あれから2日後。
ヤマト上空に現れた天空城Iúpatarは、威風堂々とその存在感を見せつけていた。
「おかえりやで〜」
[ソラ様、ただいま戻りました]
疲れきった表情のエイリス。
強行軍だったのだ。
仕方あるまい。
[ジンを起こしますので少しお待ちください]
「大丈夫なんか?」
[私と違ってジンは寝ていただけですから大丈夫です]
おかしい、何故か心に棘が刺さった気がする。
「ええご身分やな、ジン」
痛い、それは痛いぞソラ。
ご褒美どころか立ってはダメなフラグが立っている。
「ソラ、今すぐにでも説明したいところなんだが、ヤマトだけでどうにかなる問題ではなさそうだ。
Iúpatarにはマルチ通話ができる魔導機があるので、新帝国と真王国にも同時に説明したいのだが構わないか?」
「その方がうちにも都合がええわ。
狼王にも言うてあるしな」
「新帝国サイドはウィレルと面識があるから彼を呼び出す。
ウザいかもしれないが我慢してくれ」
Iúpatarへ移動する二人。
管理区域にある会議室のような部屋だ。
直径10メートルはあろう円卓の中央に1メートル程の水晶玉が鎮座している。
こいつが魔導通信機らしい。
〈ウィレル、ヤマトのツクヨミだが聞こえるか?〉
〈あ〜ら、ツクヨミちゃんから連絡くれるなんて嬉しいわね。
どうしたのかしら?〉
〈今現在世界中で起こっている事について説明したい。
そちらでもある程度は掴んでいるだろうが、仲良く喧嘩している場合じゃない。
動ける状況なら皇帝にも会議に参加して欲しいのだが、なにぶん会ったことが無いのでな〉
会ったことがなければ通信パスを取得できないのだ。
〈オルターちゃんね、そっち行くって言ってるわ。
座標送ってもらえるかしら?
あたしはこのまま通信参加してていいの?〉
〈構わない。
座標を送るので皇帝に転送してくれ〉
ウィレルにIúpatarの庭園座標を送るジン。
「ソラ、皇帝が庭園に転移してくるから迎えを頼む」
「了解や〜」
〈狼王、聞こえますか?〉
〈ツクヨミ殿か?〉
〈はい、国元を離れられないということでしたので、失礼ですが通信会議という形をとらせていただきます。
尚、新帝国からも皇帝とウィレル氏に参加していただきます。
色々と思うことはございましょうが、今この場ではご理解お願い致します。
〈承知した。
今国を離れているハートも呼んで欲しい。
頼めるか?〉
〈かしこまりました〉
G3とでも言うべきか。
ヤマトからアマテラスとツクヨミ。
新帝国から皇帝ジークフリード・オルターとプロトタイプウィレル。
真王国からは狼王とプロトタイプハート。
通信越しとはいえ、ユーラシアを除くプロトタイプが勢ぞろいである。
しかもブリテン島上空で円卓会議とか。
アーサー王かよ…
まあ、こういう流れになったからには俺が議長なんだろうな。
ソラとオルターの登場で会議は幕を開ける。
エイリスに言われた通りのキーワードを言うと、中央の水晶から通信者のシルエットが円卓周囲に投影された。
いやほんと、驚愕である。
こういうことは先に言っておいて欲しいよな。
自己紹介などは省き、早々に本題に入る。
「皆様方、緊急事態につきご挨拶は割愛させていただきます。
先ず原因は不明でございますが、現在世界中で異変が起こっているのはご存知かと思います」
頷く一同。
ジークフリードのみ何か言いたいことがあるといった表情だ。
「順に説明させていただきますが、永久凍土地帯では魔狼フェンリルが眷属と共に誕生しており北方の脅威となっております。
アフリカ地方ではアヌビス神が死者と共に現れ、まるで冥府といった有り様。
北アメリカ大陸では地殻が大きく変動し、悪魔達が暴れまわって凄惨な様子。
南アメリカ大陸ではグリフォンやワイバーンといった魔獣が大量に発生し、無事な者は確認できません。
南極大陸には黒竜が、オーストラリアには炎竜が、アイスランドには氷竜が誕生しており正に混沌とした状況であると言えます。
この逼迫した状況を鑑み、早急に皆様方にお伝えせねばとこの場を設けさせて頂きました。
皆様方からは何かございますか?」
一同、真剣すぎて空気がヤバすぎる。
こんな時こそソラ、お前の出番だろう?
「発言させてもらおう」
ここでまさかのオルターだ。
「この場を借りて皆に詫びたい。
この異変の原因だが、おそらくオルディンの仕業だ」
こんなところでもオルディンか!
「奴は旧皇帝陛下を操り世界を支配していた影の皇帝だ」
オルターよ、それはもはや爆弾どころではないぞ?
「私はオルディンを滅するのに失敗した。
それがこんな事になるとは思ってもみなかったのだ。
本当にすまない。
奴は原初を暴走させることで世界になんらかの影響を与えたのだろう。
その事が今回の事態を生んだと思われる」
苦々しい表情だ。
そういった事情では然もあろう。
「オルター卿の話でおよその原因はわかったわけだが、今後どうするべきなのか?
その話を進めましょう。
過去を悔やんでも今は変わりません。
ならば、今をどうするかで未来を変えてみませんか?」
一同の表情が揺らぐ。
絶望から僅かの希望を見出したかの様に。
「アルティメットマジックでも過去へは遡れません。
留まるか、進むかです。
私は皆様方に進むことを提案させて頂きます」
「進む言うてもどないするつもりなんや?
正直状況は最悪やで?」
「アマテラスの言う通りだな。
魔都も現状では守りきれんかもしれん。
ハートの結界は時間制限があるからな」
「儂の結界は7日が限界じゃ。
その後は生体調整に1日かかる」
「オルター卿、帝国は如何です?」
「ウィレル、説明してやれ」
「は〜い♪
じゃあ今の帝国の状況からね〜」
そうだ、コイツが居た!
この重たい空気を払拭してくれる勇者が!
「今ね〜
帝国には魔狼さん達がいっぱい向かって来てる。
このまま行くとあと一週間ぐらいで全軍衝突?
みたいな感じ〜」
感謝だウィレル!
一同の緊張が和らいだ。
やはりウィレルはウィレルだなという呆れた空気だが、今のは実際効果絶大だ。
オルター、流石に良い仕事をする。
伊達に皇帝ではないな。
「逆に問いたいのですが、このまま自国だけで魔狼や冥府の軍勢を退けられるとお考えでしょうか?」
「厳しかろうな…
我が国には反撃できる手立てが無い」
狼王は苦虫を噛み潰した様な顔だ。
「オルターちゃんも居るし、あたし達はなんとかできそうだけど被害はかなり大きくなるでしょうね〜」
「魔狼の強さ如何では帝国といえども無事ではすまんかもしれんな…」
オルターも覇気を翳らせている。
状況が状況だ、仕方がないだろう。
「ソラ、ヤマトはどう思う?」
突然振られたソラ。
目をパチクリさせている。
「そうやな〜
うちは島やからまだ守りやすいのとちゃうかな?
Iúpatarも来てくれたから空の守りもなんとかなりそうやし…」
ナイスだソラ。
そこが話の中心になる部分だ。
「ソラ、この件に関して俺に全権委ねてくれないか?」
ここが正念場だ。
「全権?
かまへんけど、あんまり無茶しなや?」
意外とあっさり認めたな?
もっとゴネるかと思ったんだが…
「ということで、ヤマトの全権行使権を得た俺から皆様方に提案がある」
一同頷く。
「ヤマトの地に全勢力集まってこの事態を乗り切ろうという提案だ。
これまでの遺恨もあるので賛同頂けるかわからないが、各個では難しいこともみんなで力を合わせて乗り越えたいと思う。
どうだろうか?」
驚く一同。
「少し話し合う時間をくれないか?」
オルターの言い分も当然だな。
国の大事である。
もちろん構わないのだがあまり時間の余裕も無い。
俺は3時間後に再度集まろうと伝えると一旦会議を中断した。
少し不謹慎だが、どういう結論を持ってくるか楽しみである。
こちらはこちらでソラにかなり詰められたのだが…
3時間後。
「真王国は提案を受け入れようと思う」
口火を切ったのは狼王だ。
「このまま座して滅びを待つのもつまらんからな。
して、我々が住める場所はあるのか?」
「我々の島の西側にそこそこの大きさの島がある。
かつては帝国の狩猟場だった島だ。」
それを聞いて眉をひそめるオルター。
「徐々にだが開拓を進めていたのでそちらに住んでもらおうと思っている」
「我々には少々遺恨のある島だな」
オルターの心配も最もだろう。
「ああ、その件だが帝国が賛成するならこちらの本土北側を提供する。
人口バランス的に北側2/3ぐらいは提供できるだろう」
この件については先程ソラと打ち合わせ済みである。
「それを聞いて安心だ。
それならば新帝国も参加しよう。
それぞれ独立した自治権は認めるのであろう?」
当然だな。
併呑ではなく協力なのだから。
「もちろんだ。
あくまでも同盟という立場での提案だからな」
「承知した。
盟主はツクヨミで良いな?」
はい?
ちょっとちょっとオルターさん、皇帝たる者そんな簡単に…
いや、まあ、発案者ではあるのは確かなんだが。
「ツクヨミちゃん、これから宜しくね〜♪」
「うちはかまへんで〜」
「ということだ。
諦めて同盟の名前でも考えるが良い」
狼王まで!?
なんだこのなし崩し的な流れは!?
そういえばリアルでもこんな感覚を味わった経験があるぞ!
要するに貴様ら面倒な仕事を押し付けているだけだろうがっ!
名前ね…
「円卓で決まったのだから、円卓同盟ってどうだ?」
アンチョコすぎて萎えるが時間も無いのでな。
「決まりやな〜」
「ここIúpatarはヤマト領という訳では無いので、ここを円卓同盟の本部とする。
時間も無いので各国速やかに行動しよう」
こうして、前代未聞の三国同盟が設立されたのである。
新帝国との国境線はバンパー川からトレント川を遡り、ノッティンガムとバーミンガムを経由してセバーン川へ抜けるラインが国境という事になった。
帝国領となるタワーはオルターへ譲渡し全ての住民を撤収させた。
アイルランドの開拓民達はそのまま真王国の住民として残って開拓従事させることになり、一通りの再編は無事終了した。
会議の一連の流れをセラムに説明することも忘れてはいない。
彼としては仲間達の無事が保たれればそれで良いそうだ。
さてさて、次はどうするかだな…
お読み頂きましてありがとうございます。
リアル多忙で執筆が進めれていません。
ストック喰らい尽くす前になんとかしたいとは思っていますが、落としたら申し訳ございません。




