第37話 買取店『購入履歴ちょーだい』
「ほら、ここをタップ……指で軽く叩いてみろ」
「こ、こうけ? うわっ、画面が明るうなった!」
自宅のワンルームマンションに帰宅した和樹は、さっそくカス子に中古スマホの使い方をレクチャーする。
「で、この右上のボタンを押すと、俺のスマホに電話がかかってくる。逆に俺からかかってきたら、スワイプ……こう指でなぞって応答するんだ。簡単だろ?」
「す、すわいぷ……なるほど? それにしても、こんなちんまい板で離れた場所と喋れるなんて……ほんまにカズキはんの住んでるニホンって地域はナーロッパとは全然ちゃうなぁ」
「技術水準からして違うからな」
「はぇー」
「で、あとは、このカメラアプリな。ここを押すと、『写真』が撮れる」
「あっ、ウチの顔! ほうほう、ほーへー♪」
カス子はすぐにインカメラの機能を理解し、バシャバシャと自撮りを始めた。
「おー!とれた!」
「とった写真はさっき説明したアプリで俺に送ることもできるぞ?」
「ほうほう、こうけ?」
――ピコン♪――
カス子がたどたどしい動作で操作する事数十秒、和樹のスマホに着信音が鳴る。
和樹が開いてみると、きちんとカメラ目線でウインクをきめるカス子の自撮り写真が送られてきていた。
「どうや!?」
「おう届いたぞ。とりあえずこれで迷子になったりしても連絡が取れるな」
「ほなうちは今日着替えついでにシャワー浴びてから買った下着早速つけてくるで。あ、裸の写真居る?」
「おう行ってこい。いるし今日ヤる時もとるぞ?(カス子に中古スマホ買い与えただけでエロ画像がセルフで増えてくとか速攻で元取ったなこれ)」
「やーんもうご主人様えっちなんやからー♪ ほな、シャワーと着替え行ってくるわ」
カス子が浴室にルンルンステップで入っていくのを眺めつつ、下種な感想を持ちながら和樹は今後のスケジュールについて考えだす。
(今日は昨日よりもちょっと遠出して、もっと豪華なラブホに泊まるかなー。それにディスカウントストアで買った大人のおもちゃ、まだ試してないやつが山ほどあるしな。うへへ……今日も燃え上がるでぇ。なんせカス子からの好感度激増してるからな)
デートで上がった(と和樹が思っている)好感度を元に今日のカス子との夜にも期待を膨らませる和樹。
――ポコン♪――
そんな和樹のスマホに、一通のメールが届いた。
差出人は、カズキがメインの売却先としている貴金属買取店、買取財宝本舗。
「ん? 査定が終わったのかな?」
和樹はウキウキしながらロック画面の新着メール通知を見る。
しかし、そこに書かれていた件名を見て、和樹の背筋に嫌な予感が走った。
『お預かりしたお品物の購入履歴ご提供のお願い』




