第36話 浅草デート②
「よっしそれ買おう! 他のも着せ替えと……あ、下着もちゃんと選べよ? 日本の下着は付け心地最高だからな」
(どっちにしても俺に見せるために買うものだからな。ていうかどーせファストファッション。実質無課金みたいなもんだ)
「うっひょ~ホンマ!?」
しま〇らで一式そろえる程度散財でも何でもない事を知らないカス子は和樹の気前の良さ(偽)に大喜びで抱き着いてくる。
(っぱ好感度稼ぐならホームだよなうへへへへ……)
「な、な! うちあっちの下着とこっちの吊るしが気になるんやけど試着してええか!?」
「おう好きにしろ」
だんだん異世界(カス子にとっての)になれてきたカス子は和樹におねだりをし始める。
◇
三十分後にはご満悦顔のカス子は両手に大きな紙袋を握りしめてご満悦状態となっていた。
「うふ、えへへへへ……最高、ウチめっちゃ当たり引いたやん♪」
「(この反応、今夜も期待できるな!)服はこれくらいでいいか、じゃ、次はスマホだな。タクシー乗るぞ」
「え? 移動するん?」
カス子の満足げな様子に夜の期待値を脳内で上げながら、商業施設を出た和樹は次の目的地であるアキバでスマホをそろえるべくタクシーにカス子を放り込む。
「あ、メーター回してて良いんで止まっててもらいますか?」
「いいですよ」
「あざす、じゃちょっくら行ってくるわ。待っとけよカス子」
「あちょ、カズキはん!?」
タクシーの運転手さんにそう言うと、和樹は中古スマホショップの前でカス子を残しておりていき、手早く旧式のスマホを買うとまたタクシーに戻ってきた。
「あ、じゃあ出しちゃってください。次の行き先は西浅草の――」
自宅の住所を伝え終わると、そのまま走り出すタクシーの中で和樹はスマホの設定をポチポチと進めていく。
eSIMアプリでデータSIMを購入し中古スマホの方にデータ専用eSIMをインストールする。
次に通話アプリを入れ、カス子のアカウントを作る。
通話アプリなどのSNSは多くが電話番号認証が必要だが、そこは既に辞めた会社のBYOD用に作っていた格安SIMのサブ電話番号で認証を通す。
和樹は意外なことにガジェオタだった。
「えっと、えろぅ買ってくるん早かったけど……なんやそれ?」
「お前がもしまた迷子になったり、俺が部屋を空けてる時に連絡が取れないと不便だからな。これを持たせてやる」
カス子の疑問に、設定が終わったスマホをそのまま渡しながら答える和樹。
「なんやこれ? つるつるの板やけど」
「これは『スマートフォン』って言ってな。まあ、通信機みたいなもんだ。俺の持ってるこれと、遠く離れてても会話ができる」
「えっ!? 遠話魔法!? あれめっちゃ高いんちゃうん!?」
「もうすぐ家に着くからそこで使い方は教えてやるよ」




