第34話 仕事(高IQ)モード終了!
「どないしたん? なんかでっかい建物から出てからテンション低いやん?」
「いや……お前には関係ないことだよ。まあ、とりあえずは一安心ってところだ」
カス子の疑問に、和樹は強がって見せたが、内心はかなり複雑だった。
(とりあえず今回の換金分は、証拠が出ないから警察に捕まることはない。それは良かった。でも実質チーレム金貨を安全に現金化できるのはあと一回ぽっきり……)
異世界交易で金貨は実質的に無尽蔵に湧いてくる。
少なくとも、和樹の小市民な欲望を十分に叶えられる程度の金塊は数字上容易に確保できる。
が、それを日本で使うということが和樹の予想以上に高かったのだった。
(仕入先の証明……。ダミー会社でも作って、適当な海外の鉱山から金を輸入したことにする? いや、海外ってどこよ? アフリカ? 流石にそんなツテないっての。……となると、現金化のペースを落としてネットで売り子を探すか、あるいはナーロッパで稼いだ金貨は、ナーロッパ内で使うか……)
考えを巡らせる和樹。
ふと隣を歩くカス子を見ると、大通りのショーウィンドウに並ぶ洋服を見て、こちらに期待の視線を向けていた。
(まあ、最悪最後の一回で十億くらい一気に稼いで、ナーロッパで豪邸建てるってのでもいいよな。料理は目の前にいるカス子かオーダーメイド奴隷に覚えさせよう)
そう結論付けた和樹は、仕事(FIRE)モードから遊びモードに脳内を切り替える。
新しく来るオーダーメイドエルフをより和樹に依存させるための手段として、カス子には頑張ってもらわなければならない。
頑張るには餌が必要だ。
カス子の期待のまなざしは、和樹にとっても丁度良いタイミングだった。
「よし、カス子! 法律相談も終わったし、午後からは浅草でデートと洒落込むか!」
「浅草?」
「家の近くの街。服屋も(目の前の高そうな店じゃなくてしま〇らとかのファストファッション店が)あるし、美味いもんも多い。新しい服を買った後は食べ歩きしようぜ」
「ほんま!? やったぁ! カズキはん、太っ腹やなぁ! 大好きやで!」
カス子は満面の笑みで和樹の腕に抱きついてきた。
豊かな双丘が和樹の腕にむにゅっと押し付けられ、せっかく上がっていた和樹のIQが低下しだす。
(ふふふ……これだよこれ! コンカフェで同レベルの可愛い子と店外デートしようと思ったら、どれだけの時間とドリンク代がかかるか分かったもんじゃない。それが今、タダで俺は味わいたい放題! 最高だな!)
タダどころか時価換算で数千万円と言うコンカフェ嬢との店外デートに必要な額のン倍は溶かしている事実を和樹は無視する。
何故ならそんなことを考えても何の得にもならないから。
和樹はのびきった鼻で、カス子を見ながら、浅草の街へと繰り出したのだった。




