第32話 守護らねば、この生活
「いや~ニホン最高やね! 大満足や! 流石にお腹ポッコリやで」
テーブルの上に並んでいた大量の食事を平らげ、カス子はポンッと自分のお腹を叩いた。
(え? ポッコリ? どこが?)
だが、カズキが見た限りは、あれだけ食べたのにぱっと見は何の変化もない
「ほら、さわってみーやご主人様♪」
和樹のそんな疑問に気が付いたのか、カス子は和樹の手を取ってスウェットの下のお腹を直接触らせる。
(すげえ! ほんとにぽっこりしてる!)
「ほんで、ウチらはこれからどないするん? またあの扉通ってナーロッパに戻って商売するんか?」
触ってみると思ったよりもちゃんとお腹がポッコリしていたことに衝撃を受けた様子の和樹を見ながら、カサンドラは今後の予定について尋ねてきた。
今までの失点を挽回したいカス子にしてみれば、身体しか使いようがない日本よりも、ナーロッパの方がチャンスがあると踏んでナーロッパの方に誘導したいという魂胆なのだろう。
「んー? いや、ナーロッパに戻る前に、ちょっと日本でやることがある」
だが、カズキとしてはとりあえず手元には数年遊んで暮らせる現金がすでにある上に、ナーロッパに行ってもまだ二人目の奴隷は納品待ち。
その上に、解決しておかなければいけない懸念もある。
故に、今日はナーロッパに行くつもりは全くなかった。
和樹はベッドから起き上がり、クローゼットに放り込んでいた昨日の服を着始めた。
「やること? それってなんなん?」
「まず家のベッドの買い替えだろ? 今部屋にあるベッドはシングルサイズだからな、今後のことを考えると2~3人は寝れるキングサイズが欲しいな。あと引っ越し先の物件探しもだな」
和樹は、数週間後に届く新しいオーダーメイド奴隷を迎えるための準備を進めるつもりだった。
今のワンルームマンションでは、エルフの美少女を二人も住まわせるには狭すぎる。
金ならある。既に口座には千数百万があり、宅配買い取りの方の入金が終われば、残高は今の千数百万から数千万になる。
(それだけ手持ちが増えるんならタワマンへ引っ越すのもいいな。いや、いっそホテル暮らしでもいいか?)
「2~3人は寝れるサイズ……?」
目くるめく美少女奴隷ハーレム計画を企てる和樹に対し、カス子は和樹の言葉尻に引っかかり、首を傾げた。
「なんでもない。ほら、あとお前にも服買ってやる」
「……! えぇの!?」
「おう、あ、そうだ。その前にちょっと野暮用済ませてからな?」
「もちろんもちろん~♪ カス子、いい子にご主人様の隣で待ってるで! ほな、はよその野暮用済ませてデートに洒落込もうや!」
カス子はそう言うと着替え終わった和樹に腕を絡ませてくる。
(この順調に回り出した奴隷ハーレム。不安要素は速攻潰して楽しむっきゃないよな! まずは……弁護士に相談だな!)
和樹は決意を新たに、ラブホを後にした。




