第29話 しょうがないにゃあ
「主人は奴隷の扶養義務があるんやで!? 見捨てんといてや!?」
逃亡した事実を棚に上げて和樹に縋りつくカス子。
「逃げれたってことは奴隷契約無効化されてるんだろ? ほらおいき。君は自由だよ?」
一方の和樹はめんどくさい酔っ払いを見るような目でカス子に応対する。
二度も不義理をかまされているという事実もあるが、それよりもカサンドラが放浪していたことによって臭いことから、性欲でIQが下がっていないこと由来だった。
(確かにこいつ、顔はコンカフェのトップ層をぶっちぎるほどの超絶美少女だし、胸はデカい。だけど金貨40枚で買える程度なんだよなぁ……何より数週間後には二人目が来るし……放置してもいいか)
和樹は脳内でカス子の価値を計算すると、そのままエントランスからカス子を追い出そうとする。
「そんな殺生な! 堪忍や! ウチが悪かった! なんか家のドア開けても何もペナルティなかったから、つい魔が差してもうたんや! ホンマに反省してるから!」
一方のカス子は流石にここで見捨てられるとマジでやばいことは分かっているので涙目になりながら和樹に縋りつく。
「腹ペコなんよ! ご飯ください! それに汗もかいたから、お風呂も!」
「頑張って新しい飼い主をお探し?(流石に3回目となったら冷徹で合理的な判断もできるっての)」
そう言って和樹はエントランスの自動ドアを鍵で開け、カス子を無視してエレベーターのボタンを押す。
「~~~!! カズキはん! こっちみいや!」
それに対し、カス子もエレベーター前に駆け寄ってくる音がしたかと思うと、カズキの頭に服が投げつけられた。
「あ?」
往生際が悪いなぁ、と思いながら投げつけられた服を見る和樹。
それは今の今までカス子が着ていた和樹のジャージ(ズボン)だった。
「!?」
思わずカス子の方を振り向く和樹。
「もう逃げへんから! 証拠に今着てる服、全部ここで脱ぐ!!」
振り向いた瞬間に和樹の目には行ってきたのはぶかぶかのジャージジャケットだけになったカス子の姿。
そのジャージジャケットさえ真ん中のファスナーが半分開け放たれ、胸が露になっていた。
「今度こそウチの身体、好きにしてええから! 一緒に風呂入って、一緒にイチャイチャしよや? なっ! なっ!?」
臭いで感触由来のIQ低下が起きていなかった和樹の脳が、ボロボロ美少女の半裸姿を視認したことによって急激に低下を始める。
(お風呂っクスが目の前に!!)
和樹の理性はもうダメみたいですね。
先ほどまでの冷徹で合理的な判断(笑)が、音を立てて崩れ去っていく。
(いや、待て待て。こいつは裏切り者のカスだ。信用しちゃいけない!)
(だけどヤることヤるだけなら信用もくそもないのでは?)
和樹の視線は、カス子の涙に濡れた色気を纏った顔と、ジャージの間から突起が見え隠れするおっぱいの間を激しく往復する。
(このレベルの超絶美少女だぞ? しかも流石にここが暗黒大陸以外、俺以外に話の通じる奴がいないって理解できた今なら、従順になってるんじゃないか?)
「しょうがないにゃあ。反省してるみたいだし、許してやるよ」
性欲の前に和樹は無力だった。
(とりあえずヤッて、童貞を卒業してから、こいつを捨てるか、あるいはキープするかを考えればいい話だしな!)
「ほ、ほんま!? おおきに! 一生ついていくでご主人様!!」
「よし……とりあえずラブホテルにいくからジャージの下を着ろ?」
和樹はカス子に先ほど投げれたジャージの下を渡すとマンションのエントランスには入らず、そのまま逆にマンションエントランスから出る。
「え? ご主人様、お家はここちゃうん?」
「脱童貞は良い環境でやりたいからな。豪華なホテルに連れてってやるよ」
和樹の言う豪華なホテルとは、もちろんエッチな設備が一回あるという意味での豪華なホテルである。
「やったー! さすがやカズキはん! そういうところ大好きや!」
危機が去った途端にコロッとおべんちゃらを言い始めるカス子を連れて、和樹はタクシーアプリを起動する。
目的地はもちろんラブホテルだ。
この作品はR15なのでエッチシーンはスキップです(無慈悲)




