第23話 オーダーメイド奴隷!そういうのもあるのか!
「そ、そんな……」
「そもそも……」
がっくりと肩を落とす和樹に対してエフペケは不思議そうに和樹を見る。
「カズキ殿、貴方は、あのカサンドラとそれなりの仲だったのではないのですか?」
「え? 別に? 奴隷として買っただけで、出会って数日の仲だけど? むしろこの街に来た時にボられたっていうか」
「出会って数日? それなのに、貴方は彼女のためにチーレム金貨を200枚も支払ったのですか?」
「え、だってあの女、ヤり放題孕ませ放題で200枚っていうし、お得かなって……」
「カズキ殿」
そういう和樹に対し、エフペケは心底哀れむような目をする。
そして、カサンドラの逃亡でめくるめく脱童貞フィーバータイムがキャンセルされた上に保証を求める先もないことが確定して気落ちする和樹にとどめの一言を言い放った。
「普通、ある程度容姿が整っているとはいえ、あの女程度の奴隷が欲しいだけなら、チーレム金貨40枚程度が相場ですよ?」
「……え?」
「若い女奴隷を買うというのは、そもそもそういう性的行為込みの値段です。私はてっきり、カズキ殿がカサンドラに子を産ませて、将来的に商会の暖簾分けや正妻に迎えるなどの合意があって、多額の借金ごと買い取ったのだとばかり思っていましたが……どうやら違うようですね」
「金貨40枚でカサンドラくらいの美人、買えるの?」
「エルフや獣人ならもっと安いですよ。人頭税等が人間種に比べて高いので不人気でしてね。まあ娼館等ではエルフは人気ですから、勘違いされがちではあるのですが」
(え?え?金貨40枚であのレベルの美人買えるってことは……本当なら5人の美少女ハーレムだったはずって……コト!?)
「フフッ……アハハハハ……俺の、俺の美少女ハーレムが……」
エフペケの残酷な事実に膝から崩れ落ちる和樹。
そんな和樹の脇から、先ほど取引した金貨袋が床に落ちる。
その中に入っているチーレム金貨を、エフペケは見逃さなかった。
袋を見る前のかわいそうなものをみる視線から一転、笑顔をたたえたエフペケはそっと和樹の肩に手を沿える。
「とはいえ、当商会での初めての売買が、貴方にとってこのような苦い思い出に終わってしまうのは、私としてもいただけませんね」
「……?」
「もしよろしければ、女性の容姿の好み、性格、年齢などを細かくお聞きできませんか? 一からカズキ殿好みの者を調達し、カズキ殿に完全に依存するように仕向けた、魔法契約を抜きにしても逃げる心配のないカズキ殿の嗜好に沿った奴隷を、当商会であればご用意が出来ますが……?」
「え!? まじ!?」
絶望のどん底にいた和樹の顔が、一瞬にしてパァッと明るくなった。
(奴隷のオーダーメイド! そういうのもあるのか!! 考えてみれば奴隷商会だもんな! ノー倫理で追いつめて買い主を救世主に仕立て上げるなんて朝飯前だよな!)
カズキの脳内では下種なおっさんにハード調教される寸前という設定の奴隷を颯爽と救いあげてナデポして惚れられる想像が湧きたっていた。
ちなみに、カサンドラの時とほぼ同じだが大丈夫か?あいつは逃げたぞ?という疑問はもちろん和樹の脳内の片隅でちょっとだけ湧き上がるが、そこは奴隷商館がノウハウで凌辱エロ同人寸前の手法で何とかするという都合の良い脳内保管を行っていた。
(下種なおっさんに手籠めにされるところを颯爽と助け出す俺! これだ!)
年が若いだけで立ち位置的にはお前がその下種なおっさんだぞ? 気づけ?
「もちろん、金貨40枚という相場価格ではいきませんし、買い付けと教育で何か月かお時間もかかりますが……」
一気に目に欲望が戻った和樹を見つつ、エフペケは満面の営業スマイルを向ける。
「よし! 金ならある! あのカスと同じ200枚でいいかな!? 手付金は……今すぐチーレム金貨50枚なら出せるぞ!」
和樹は小脇に落っことしていた金貨袋をつかむと、ズイっとエフペケに向けて突き出した。
「……そんなには必要ありません。総額100枚、手付50枚で、カズキ殿のご要望に沿った者をご用意いたします」
「やったー!」
和樹の脳内からは、カス子への恨みも、失った大金への後悔も、一瞬にして吹き飛んでいた。
今カズキの脳内にあるのは、新しい、本当に信頼できる清楚系で和樹のことが大好きな美少女奴隷のことだけだった。
お前の情緒はジェットコースターか何かに乗っているのか?




