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俺の異世界交易FIRE計画を役所が邪魔する  作者: 九束


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第19話 さーて日本に連れてくか

「今、この大陸はな、人類の国家群と魔族の軍勢がバチバチにやり合っとる真っ最中なんや」


「魔族?」


「せや。ここニューモンは港町で中立地帯みたいなもんやから平和に見えるけどな。少し内陸に入れば、血で血を洗う大戦争の真っ最中や。国境地帯なんか一進一退で農業すらできひん、せいぜいが魔物の狩猟でしか生計を立てられへん村ばっかやで」


「うわぁ……」


リチャードが説明していない大陸情勢に少し引く和樹。


少しだけなのは、ナーロッパだしどうせ魔王と回想じゃんと思っていたからだった。


「で、なんでこの街がこんなに潤っとるかちゅうと、人類側にも魔族側にも物資を売りさばいて両方から富を吸い上げてるからや」


(うわ、この街、死の商人の集まりかよ。ひくわぁ。倫理観どうなってんの?)


その死の商人の集まりでぜいたく品を売って稼いでいるくせに、和樹はそれを棚に上げて町全体をノー倫理シティ認定する。


「せやから、……ウチみたいな人類国家側からは魔族認定されとるダークエルフ族とかもこの街なら商売ができるってわけや。……市民権持って無いから毎年滞在権の更新で高い金払わされるし、まともな商会に就職もできへんし、取引の手数料もぼったくられるし、ふんだりけったりやけどな」


カス子は少し自嘲気味に笑いながら、エールをもう一口飲んだ。


(……なんか大陸情勢について情報聞いてたらカス子の愚痴になってきたな)


そんなことを考えながら、和樹はカス子の事情を想像する。


(新人貿易商から商品を買いたたいてあくどい稼ぎ方をしていたのも、一発逆転を狙って信用取引に手を出して大爆死したのも、全てはこの街でまともに生きるための『市民権』を買う金が欲しかったから、か?)


そうあたりをつけた和樹は、せっかくなので確認してみることにした。


もう和樹の奴隷になってしまったため、市民権もくそもないので確認したところで何かあるわけではないが、単純に興味本位という奴だ。


「とすると、俺やほかの新人貿易商からあくどい取引で商品を巻き上げてたのは市民権を買うため?」


「……あ、そー……そうやね。市民権を買えるところまであとちょっとやってん」


(ほーん……それ以外にも何かありそうだけど、まあいいか。なんとなく金で解決できそうだし、今後の好感度上げのために少しだけ頭の片隅においておくか)


言いづらい事なのだろうと判断した和樹は、金でぶん殴れるようになったらまた改めて聞いてみようと納得し、とりあえず話を切り上げる。


「ま、市民権は残念だったろうけど、見ての通り俺は金なら稼げるからな。生活水準は期待していいぜ?」


「わぁい! さっすがご主人様! じゃあ暗黒大陸についてってもええのん!?」


生活水準を期待してよい、という和樹の言葉に、ニューモンの街での待機ではなく暗黒大陸に連れ帰ってもらえることを期待するカサンドラ。


そんなカサンドラの期待の目線をみて、和樹は少し迷う。


(どこまで説明しようっかなぁ……)


めくるめくイチャイチャからの脱童貞をするのに日本のラブホテルに行くことは和樹の中では決定事項だったが、現代日本という存在をどいう説明するかを和樹は全く考えていなかった。


(うーん……まあ、ばらしてもいっか)


そして和樹は短絡的な性格だった。


(魔法奴隷契約があるし連れてっても問題ないだろう)


和樹はそう結論づけると、日本から来たことをカサンドラにばらすことにした。


「実はな。俺暗黒大陸出身じゃないんだ」


「えっ? そうなん? とするとやっぱりええ所の坊ちゃんとか?」


「いや、日本って国から来た」


「ニホン?」


「説明めんどいうだから今から連れてってやるよ」

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