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俺の異世界交易FIRE計画を役所が邪魔する  作者: 九束


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第15話 いざ奴隷商館へ!

「それではこちらが代金となります」


「はい、確かに」


「しかし これほどの品質の香料石鹸をこれだけの数、一気に納品してもらえるとは。やはり暗黒大陸出身の方独自のルートがあるのですかな?」


「えぇ。もちろん入手ルートなどは企業秘密ですが」


「違いない。当商会としては優先的に卸していただければ、それで結構ですので、今後ともご贔屓に」


そう言って、人の良さそうな笑みをうかべた商会長はホクホク顔で和樹に揉手をする。


テーブルの上には、ずっしりと重い革袋がいくつも並べられていた。


中に入っているのは、もちろんチーレム金貨だ。


「えぇ。他ならぬリチャードさんからおすすめされた取引先です。今後も頻繁に(俺がFIREするまでは)取引させていただければと思っています」


そして和樹もまた、両手を広げて色の良い返事をした。


リチャードが紹介してくれたこの商館は、前回のカサンドラのような足元を見るような真似は一切しなかった。


カサンドラのように石鹸のうちの一つを検品し、部下にその他の石鹸の香りも一つ一つ確認させたのちは、リチャードが予測していたチーレム金貨300枚を上回る400枚という金額を提示してきた。


日本円にして、金相場によってはざっと1億円を超える大金である。


(うっひょおおおおおおお!! 400枚! 億り人じゃん俺!!)


商館を出た和樹の顔は緩みきっている。


カードごと売ったため、来た時よりかはだいぶ身軽になったものの、代わりに入手したちチーレム金貨の重さは6キロ弱。


実質的に金塊で6キロ弱である。


リュックの中に満載された金貨の重さが、和樹の心をいつも以上にうわつかせていた。


(やっぱりナーロッパは夢の国だった! これだよこれ、数百万とかいう端金じゃなくてこの圧倒的リターン! ……そして!)


和樹の心はすでに商談の興奮から別の興奮へと移り変わりつつあった。


スリを警戒し、リュックを胸側に抱えつつ向かっているのは、先ほどリチャードから教わった場所。


そう、ニューモンの表通りに堂々と佇む『奴隷商館』である。


(待ってろよ、俺のために奴隷落ちしたえっちな美少女奴隷……!!)


和樹の脳内は、すでに一面のピンク色に染まり上がっていた。


(ケモ耳美少女、俺的にはケモ度は耳と尻尾程度が良い。それとも、薄幸の没落貴族のお嬢様も捨てがたい。あるいはあのクソエルフに汚された思い出を上書きするためにエルフという選択肢もアリだな)


そして「ご主人様……」と上目遣いで見つめられ、日本に連れ帰って、初めて入るラブホであんなことやこんなことを……。


「ぐふふっ、でゅふ……フォカヌポゥ」


和樹のゲスな妄想を止めるものはいない。


すれ違う人々が変な人を見るような顔をして避けていく。


が、ナーロッパを無限金貨湧きスポットとしてしか見ておらず、さらに性欲に支配された和樹の目には一切入らない。


「よーし、この唸る金貨で奴隷商を殴りつけて、最高級の美少女を……ん?」


「カズキはん!!」


どんっ!


そして欲望の赴くまま、商館へと足を進めようとした時、和樹の背中に衝撃と共に柔らかい感覚が襲って来た。


「うおっ!?」


思わず振り向く和樹。


すると和樹の背中に衝突してきた人物のものと思われる腕がそのまま和樹の腕に絡む。


「あ!? 何々!?」


和樹が視線を腕の方に向けると、そこには忘れもしない人物がいた。


健康的な琥珀色の肌、太陽の光を反射して輝くしなやかな銀色の髪。


小悪魔的なたれ目、顔の横に伸びる長い三角耳。


そしてなにより、自己主張の激しい豊満な双丘(おっぱい)。


「――お前っ!!」


前回のナーロッパ入りで和樹を派手に毟った初心者狩り商人、カサンドラの姿がそこにはあった。


(このクソエルフ! どの面下げて俺の前に……!!)


今の今までカサンドラのことなど記憶野の片隅に放り投げていた和樹だが、恨みを忘れたわけではまったくない。


「よくノコノコと……!」


目の前にノコノコと現れたことで一気に恨みを思い出した和樹は、まずは嫌味の一つでも言った後にどう陥れてやろうかと考え出す。


「カズキはんっ!! 探したで!!」


ガシィッ! むにぃ!!


「おほぉ!?」


「堪忍やぁ! 買いたたいてホンマすまんかったって謝ろうとずっと探してたんやぁ! ようやく会えたわぁ!!」


しかしそんな和樹の考えは、涙目になりながらカサンドラが全力で胸を押し付けながら縋りついてきたことで吹き飛んでいった。


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