↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幼馴染は全員勇者!? 女神さまに勇者の使命を託されたのは一人だけではなかった件!?  作者: 有永 ナギサ
1章1部 幼馴染たちの約束

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/20

フェイの後光

 ここは別名勇者の隠れ里と呼ばれる、聖地レセド。レセドには勇者に関する様々な逸話があるという。とくに有名なのは、この地に女神が勇者に託した力が眠っているというものだろう。そしてレセドから選ばれた勇者が現れ、この世界を脅かす邪神から世界を救うという予言があるのだ。ゆえにレセドでは、未来の勇者を育成する風習があった。それは腕利きの教官を集め、小さいころから勇者の候補生を鍛えていくというもの。なのでユウたちはこれまで勇者になるための様々な鍛錬をし、ずっと腕を磨いてきたのである。

 アリアと一緒に里長の家に向かっていると、広場の女神の像前で祈りを捧げているフェイを発見する。


「フェイ~、おはよ~♪」

「よっ、毎日欠かさず女神さまに祈りを捧げて、フェイは本当にえらいな」

「そこらの教会の信者よりも、熱心だもんね。アリアなんて長くても一、二分なのに、フェイって毎回長いし、休日とかずっとやってるときもあるよね」


 フェイの女神に対する信仰心には、感心せざるをえない。

 彼女は雨の日でさえ、こうやって毎日祈りを捧げにくるのだ。しかもその一回一回が長く、長い時は一時間以上のときもあった。


「女神さまへの感謝の気持ちは、どれだけ祈ってもたりないほどだから。それに心の中で語りかけて、話を聞いてもらうときもあるし。時間なんてあっという間に過ぎちゃうんだよ」


 フェイは祈るように手を組み、満ち足りたように微笑んだ。

 彼女はユウたちの幼馴染であるフェイ。思わず目を奪われるほどの金色の髪の、凛とした少女である。誰にでもやさしく、誠実であり、幼馴染メンバーの中ではしっかりもののお姉さん的立ち位置であった。


「これだけフェイに慕われて、女神さまもうれしいだろうな」

「えへへ、そうかな。だとうれしいな~」

「ははは、きっとそうさ。――ふぁ~」


 ふと大きなあくびが出てしまう。


「ユウくん大きなあくびだね」

「朝早くにアリアに起こされたんだ。もう少し寝てたかったのにさ」

「かわいい幼馴染が起こしに来てくれるという、最高のシチュエーションを味わっておいてなによそのいいぐさ~。も~、失礼しちゃう!」


 アリアが両腕を組み、ぷいっとそっぽを向く。


「アリアちゃん、ユウくんを起こしに行ってあげてたんだね」

「興奮して朝早くに起きちゃったから、ユウを巻き添えにしようと思ってね!」

「わたしも起きてる時間だろうし、こっちに来てくれてもよかったのに」

「えー、だってフェイはいつもの朝の鍛錬中でしょ。そっちにいったら付き合わされて、朝からヘトヘトだっただろうし、さすがにそれはちょっとね~」


 アリアはほおをポリポリかきながら、気まずそうに視線をそらした。

 なんとフェイは早朝に起き、一人で朝の鍛練に励んでいるという。しかも休みの日にも毎朝欠かさず、日課としているから驚きだ。彼女の向上心には感服せずにはいられなかった。


「朝早くに身体を動かすの、とてもおすすめだよ! スッキリしていい一日のスタートが切れるのはもちろん、鍛錬に身が入ってより腕を磨くことができる。まさに一石二鳥だね!」


 フェイがガッツポーズをしながら力説を。


「ははは、フェイってほんとすごいよな。毎朝鍛練を欠かさずがんばってるんだから」

「どおりでアリアたちの中で、一番強いわけね」

「ユウくんたちもつき合ってくれたらいいのに。小さいころは一緒に朝の鍛錬してくれてたよね?」

「小さいころはまだ元気があり余ってたからな。今じゃ勇者になるための修行でどっと疲れるから、朝ぐらいはゆっくりしたいんだよ」

「うーん、アリアもユウと同じかな~。おしゃれにも時間をかけたいしね~」

「朝の鍛練おすすめなんだけどなー」


 乗り気じゃないユウたちに、フェイは残念そうに肩を落とした。


「フェイは大変とか思わないのか?」

「うんうん、これも立派な勇者になるためだと思ったら、ぜんぜん苦じゃないかな。むしろ楽しいぐらいだよ♪」

「ユウ、フェイがまぶしいんだけど~!?」

「奇遇だな、オレもだ」


 フェイの屈託のないキラキラとした笑顔。その崇高な志も相まってかまぶしく見え、ユウたちは直視できなかった。


「フェイは本当にがんばってるとは思うけど、アリアだって修行中はまじめに全力でやってるしね~。怠けてるわけじゃないもん。遅れはとらないんだから!」

「ははは、そうだな。修行中は一切手を抜いてないし、むしろそこですべてを出し切っているほどだ。フェイの朝の日課には感服するが、それで勇者の座を譲るわけにはいかないさ」


 しかしユウたちだって黙っていられない。

 朝の鍛錬から逃げているからといって、決して勇者になるための修行を怠っているわけではないのだ。ちゃんとメインの修行時には全身全霊、周りから見たらやりすぎと思われるぐらい必死に取り組んでいた。それも当然のことだろう。将来勇者として世界を救わなければならないのだ。いくら勇者になるのが決まっているからといって、慢心などしていられなかった。


「もちろん、二人もわたしに負けないぐらい、勇者になるため必死に努力してるのはよく知ってるんだよ。おかげで追い抜かれないようにって、より修行に身が入ることができた。わたしがここまで強くなれたのも、みんなと切磋琢磨してきたから。本当に感謝してるんだよ。これからもよきライバルであり、同じ世界を救う志を持つ同士としてがんばっていこうね!」


 フェイは屈託のない心からの満面の笑顔で、手を差し出してくる、

 その純粋無垢な心のありように、後光ごこうを感じてしまうほどまぶしかったといっていい。


「ユウ、またまぶしいんだけど~!?」

「オレもだ。力量もそうだが、フェイは性格も王道勇者っぽいんだよな。誰にでもやさしく、純真で崇高で女神さまの信仰心も厚過ぎる」

「そうよね。フェイこそ本物の勇者じゃないのかって、時々思っちゃうぐらいだし。とはいえ勇者になるのはアリアなんだけどね!」

「だよな。勇者があまりに似合い過ぎてる。まあ、勇者になるのはオレなんだが!」


 勇者らしさでは負けているのは認めざるをえないため、悔しまぎれに事実で対抗するしかない。


「えへへ、みんなそれぞれいいところがあるし、勇者にふさわしいよ。それにたとえ勇者に選ばれなかったとしても、これまでのがんばりは決してムダにはならない。この世界を救うために、必要なものだもん。だから胸を張って、それぞれの道を歩んでいこうね!」

「「うっ……」」


 フェイの後光にも似たあまりのまぶしさに、目がくらんでしまうユウたち。

 そうこうしていると、幼馴染の一人であるデューナがやってきた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。