幼馴染のモーニングコール
「ユウ~! 早く起きて! 起きて~!」
16歳のユウは、元気な女の子の声で目を覚ます。
すると見慣れた家の天井と、ユウの顔をのぞき込んでいるアリアの顔が飛び込んできた。
「朝から騒がしいな。もう少し寝かせてくれよ」
「ふふん、かわいい幼馴染が起こしに来てあげたんだから、感謝してよね!」
アリアは得意げに胸を張って、かわいらしくウィンクしてきた。
彼女はユウの幼馴染であるアリア。手入れがよくされたキレイな銀の髪をし、誰とでも仲良くなれる人懐っこそうな笑顔がトレードマークの天真爛漫な女の子である。ユウたち幼馴染メンバーの中ではムードメーカーであり、トラブルメーカーでもあった。
「頼んでないし、そもそもまだ早い時間だろ。せっかく昔のころの懐かしい夢をみてたのにさ」
「昔のころの夢? もしかしてアリアが出てたりした?」
「まあ、いたな」
「もう、なになに~、ユウったらアリアを夢に見るほど思ってたってこと~。かわいいところあるじゃない! まっ、アリアはかわいいし、あこがれるのもしかたないか~!」
アリアはニヤニヤしながら、ユウの背中をバシバシたたいてきた。
「フェイもデューナも普通にいたし、アリアが想像してるような夢じゃぜんぜんないからな」
「な~んだ、つまんない。――そんなことより今日は里長に呼ばれてるでしょ! 早く支度して行こうよ!」
「急がなくてもまだ全然間に合うだろ。それにしても今日はやけにテンション高いな」
「それはそうでしょ! なんたって明日は待ちに待った勇者の選定の日! そこでアリアが正式に勇者になるんだから! これが興奮せずにいられないよ!」
アリアは両腕をブンブン振りながら、目を輝かせる。
「まだそう決まってないだろ。勇者になるのはオレたち幼馴染メンバー四人のだれか。まあ、オレが選ばれるんだが」
「ふん、今のうちにせいぜいイキがってれば~? あとで吠えずらかいて恥をかくだけだけどね!」
「ははは、その言葉、そっくりそのまま返してやるよ」
ユウたちは不敵に笑い合う。
「さて、身支度を済ませるか。アリア出て行ってくれ」
ベッドから出て、着替えようと。
ちなみにユウの両親は、現在旅に出ている真っ最中。冒険者としてあちこちで活躍しているらしい。たまにユウの様子を見にレセドに帰ってきては、しばらく滞在したのちまた旅に出る生粋の冒険者なのであった。
「アリアはかまわないよ~。ここでくつろいでおくから、気にしないで~」
するとアリアは部屋から出ていかず、ユウのベッドに寝ころびゴロゴロし始めた。
さすがに女の子の前で着替えるのは、少し気恥ずかしく感じてしまう。
「気にしないでと言われてもだな」
「今さらはずかしがる関係でもないでしょ。小さいころからどれだけ一緒にいたと思ってるの?」
「まあ、確かに」
彼女は小さいころから、ずっと一緒にいた幼馴染。もはや気心の知れた相手ゆえ、これぐらいどうってことないかと納得する。
「それにしてもあれだけ小さかったユウが、今じゃこんなにもたくましく育って。細身ながら、筋肉とかなかなかのものじゃない」
着替えていると、アリアがユウの身体を興味ありげに見つめてくる。
「ははは、勇者になるため、鍛えまくってるからな。アリアはそうだな」
「ふっふっふっ、こんなにも超絶美少女になっちゃったね! まったくユウは幸せ者ね~。こんなかわいい幼馴染がいてさ~」
アリアはかわいらしいあざといポーズを取りながら、得意げにウィンクを。
実際彼女はスタイルがよく、おしゃれにもすごく気をつかっている。なので自分を美少女と豪語するだけはあり、まったく否定ができなかったという。
「はいはい、そうですか。朝ごはんは済ませたのか」
「まだ! ユウと一緒に食べようと思って!」
「じゃあ、二人分用意しないとな」
着替えが終わり、朝食の準備をしに向かう。
そしてアリアとわいわいしながら、にぎやかな朝食をとるのであった。




