修羅場?
「ユウ! アンタなにしてるの!?」
アリアがユウを指差し、話しに割り込んできた。
彼女のすぐ隣には呆れた表情のデューナの姿も。
「アリア!? デューナ!? なんでここに!?」
「ユウが見知らぬ女の子と仲良さそうに歩きまわってるって、目撃情報があったのよ。それで真偽を確かめに来たってわけ」
「この勇者が決まる大事なときに、女の子とイチャイチャしてるとは。ずいぶん余裕ですね」
アリアとデューナはユウへ詰め寄り、問い詰めてくる。
「イチャイチャなんてしてないぞ。オレはただ里を案内してただけだ」
「デューナ、被告人はああいってるけどどう思う?」
「黒ですね。ただ案内してるだけなら、あんなふうに手を取り合い意味深に見つめ合ったりしませんよ」
「だよね~。すっごくいい雰囲気かもしだしてたし、あれで案内はムリがあるってもんでしょ!」
二人はやれやれと肩をすくめ、ジト目を向けてきた。
「これはマジメな込み入った話をしてたところだ。感動の場面に水を差しやがって」
「ほんとに~? 口説いてたんじゃなくて~?」
「あのな、オレがそんなチャラい男に見えるのか?」
「そのわりにはユウ、グイグイきてなかった? アタシの気を引こうと必死だったし、急に手をとってきたり、好きかもしれないとかナンパじみたことを言葉巧みに使ってきたり」
弁解していると、リディアがほおに手を当てながら首をかしげてくる。
これにはヒートアップしだすアリアとデューナ。
「好きかもしれない!? ユウ!? どういうこと~!?」
「ほう、洗いざらい吐いてもらいますよ!」
「――確かにいろいろ言ったりはしたが、それはなんというか……」
「あれだけ熱烈にアプローチしてきたくせに、しょせん遊びだったんだ。危うくやり手のナンパ男にだまされるところだった」
「いや、あれら全部、本心だからな!」
「本心!? 本気でこの子のことを!?」
「ユウ、これは言い逃れできませんよ」
「あー、アリア、デューナ、おまえらには関係ないだろ! 話がこじれるから、どっかいってくれ!」
「関係あるのに~! ぐ、ぐぬぬ……」
「――むー……」
アリアたちは顔を赤くしながら、なにかいいたそうに目でうったえかけてきた。
「なんだその反応は?」
「――はぁ……、ユウ、女心というものがぜんぜんわかってない」
ほおに手を当て、やれやれと肩をすくめるリディア。
「そんなことないと思うが」
「まったく。どうせこの子たち、ユウに気があるんでしょ。だからアタシとの関係が気になってしかたないの」
「なっ!? そんなわけ!?」
「そ、そうですよ……、な、な、なにを根拠に!?」
リディアの考察に対し、アリアたちは顔をさらに真っ赤にさせ取り乱す。
「バレバレだから」
「――くっ……、それはまあ、なんやかんやユウと結ばれるのは、アリアになるとは思ってるけどさ~」
「もしお付き合いするなら相性や性格面を考慮し、ユウではありますが……」
そして二人ははずかしそうに目をふせながら、ボソボソとなにかをつぶやく。
「え?」
「幼馴染の恋路が気になるのは、当たり前でしょ~!」
「そうです! ただ純粋な好奇心ですよ!」
「素直じゃない」
「なにアンタ! こっちはやきもきしてるのに、その余裕な態度! ユウにちょっかいかけられてるからって、いい気にならないでよ~! アリアたちは小さいころからユウとずっと一緒にいた幼馴染! 彼のことならなんでも知ってるし、これまでどれだけ仲を深め合ってきたか!」
アリアはリディアを指差し、ムキになって抗議を。
「なんだその幼馴染マウントは」
「うるさい! こんなぽっと出の子に、ユウがとられるのなんかくやしいもん!」
「アリア、無茶苦茶な理論ですが、気持ちはわかりますよ」
デューナはアリアの肩に手を置き、よくぞ言ったと何度もうなずいていた。
「――幼馴染……」
ただリディアは幼馴染という言葉に、なにやら思うところがあったみたいだ。
「そういうわけだからアリアたち幼馴染の和に、アンタが入り込む隙間なんてないんだから~!」
「――そう。でもアタシ、ユウにアナタたちの幼馴染パーティに誘われたけど」
リディアは髪を優雅に払い、意味ありげに主張を。内心少し楽しんでいるのか、口元がゆるんでいる気が。
「なっ!? ユウ、それどういうこと~!?」
「ワタシたち幼馴染パーティに、彼女を誘ったというのは本当なんですか?」
その聞き捨てならない発言に、またもやユウに詰め寄って問いただそうとするアリアたち。
「――それはいろいろ事情があってだな……」
「へ~、どんな事情か洗いざらい吐いてもらおうかな~」
「もしかしてユウの私情とか入ってませんよね? たんに彼女に気があるからとか」
「あー、かくなる上は、リディア、逃げるぞ!」
これはさすがに旗色が悪いと、リディアの手を取り一緒に逃走を試みる。
「きゃっ!? ちょっと!?」
「話はあとだ。まずはあの二人を振り切るぞ」
「なんでアタシまで……」
そしてリディアとこの場を一目散に離れていく。
「逃げた!? 待ちなさ~い! ユウ!」
「話はまだ終わっていませんよ!」
だがアリアたちは逃がさないと、抗議しながら追いかけてきた。
「ははは、待てと言われて待つ奴がどこにいる!」
「この~! 絶対とっつかまえてやるんだから~!」
「逃がしません!」
「ははは、じゃあな!」
そしてまるで小さな子供のように、追いかけっこしあうユウたちなのであった。




