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幼馴染は全員勇者!? 女神さまに勇者の使命を託されたのは一人だけではなかった件!?  作者: 有永 ナギサ
1章2部 勇者の回廊

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13/21

接待タイム

 あれからユウたちはエレノアと共に勇者の回廊かいろうを出て、いったん里長の屋敷に向かっていた。

 そして現在、ライナスとセレナに今の状況について話し終えたエレノアを、みんなで取り囲んでいる最中という。


「エレノアさま! エレノアさま! おしゃれしてみません? アリアがかわいくコーデしてあげるよ♪」

「お、おしゃれですか?」


 エレノアはキャッキャッと詰め寄ってくるアリアに、困惑を。


「アリア、おしゃれってなにいってるんですか?」

「おもてなしに決まってるじゃない! それにエレノアさま自体、素材がいいからおしゃれのしがいもあるしね! これで距離を縮めて、そのままアリアを選んでもらって!」

「アピールするならちゃんと勇者に関係あることでやったらどうですか? というわけでエレノアさま、魔法の研究成果をみてくれませんか? これでワタシのすごさがわかってくれると思うので」


 デューナがクールに髪をかきあげ、アピールしだす。


「ほう、魔法の」

「ははは、いきなり小難しい話につき合わされるのは、あれだろ。せっかくレセドに来てもらったんだから、まずは街の案内をしよう。さあ、エレノアさま、こんなやつら放っておいて、外へ行こう。オススメスポットがあるんだ」


 デューナがうまくいきそうだったので、ユウは別の方向でアプローチを。


「街の案内はいいね~! ユウは今日の試練で疲れたでしょ。アリアが代わってあげるから、休んどいたらいいよ! さあ、行きましょ! エレノアさま♪」

「え? え?」


 するとアリアがエレノアの背中を押しながら、ユウに代わって案内しようと。


「おい、なに人の案をとろうとしてるんだ?」

「これもエレノアさまのことを思ってよ! 女の子同士のほうが、気兼ねなくわいわいできるでしょ。ついでにお店によって、おしゃれもしましょう!」

「くっ、もっともらしいこと言って、アリアずるいぞ」

「ふっふっふっ、アリアがエレノアさまと親睦を深めるのを、指を加えて見てるといいよ!」


 アリアが指を突きつけ、声高らかに笑ってきた。


「この際、アリアがついてきてもいい。エレノアさま、精一杯エスコートさせてもらうよ」


 スッとエレノアの横へ寄り添い、紳士っぽくお辞儀した。


「アリア、ユウ、邪魔しないでください! エレノアさま、ワタシの魔法の研究成果をぜひ見にきてください!」


 するとデューナが妨害するユウたちへ抗議しながらも、エレノアの腕をつかみだす。


「――あ、あの、みなさん?」

「こらー、みんな、エレノアさまが困ってるんだよ。いったん落ち着いて」


 取り合われ困惑するエレノアを見かね、フェイがたしなめてきた。


「そ、そうだな……」

「てへ♪ つい熱くなっちゃった♪」

「ワタシはまじめにやっているんですが……」

「ふう、フェイ、助かりました」

「すみません、みんなはしゃいじゃって。ささ、こちらに。まずはなにか食べませんか。そのあと食後の運動ついでに散歩でも」


 胸をなでおろすエレノアを、フェイがすかさず接待しようと。


「おい、フェイ、なにどさくさにまぎれて、いいところ持っていこうとしてるんだ?」

「え? そ、そんなことないよ。みんなだと取り合っちゃうから、わたしが代表して」


 視線をそらし、少し上ずった声で弁解するフェイ。


「もー、フェイもアリアたちと同じじゃない!」

「まったく、抜け目ありませんね」

「も、文句あるかな? え、えへへ、それなら前に出て。わたしがわからせてあげるんだよ!」


 フェイが怖い笑顔を浮かべ、剣をかまえだした。


「おい、フェイ!? なんか普段とかけ離れたふうになってるぞ!?」

「わっ、ほんとだ。変なスイッチがはいっちゃってるね、これ」

「はっ!? わたしなにを!? ッ!? だってしかたなくないかな!? ずっと勇者に選ばれるって確信してたのに、みんなも女神さまからたくされてるなんて聞いてないんだよ!? このまま手をこまねいていたら、勇者のポジションがとられちゃう! とにかくなにか行動しないと!」


 フェイは我に返り、両腕をブンブン振りながら涙目でうったえてくる。


「フェイがてんぱっておかしなことになってやがる」

「こんなフェイが見れるなんて、めずらしいですね」

「まあ、フェイの気持ちもわからなくはないな。正直、オレもまだ混乱してるし。同じような境遇で転生させられ、女神さまから勇者の力を与えられているなんて。どうりでみんな自分が勇者になる気満々だったわけだ」

「そうですね。みんな同じなのに、あれだけ勇者になるとイキっていたとは。思い返してみたら、だんだんはずかしくなってきました……」


 デューナがスカートのすそをぎゅっと握りしめ、羞恥心のあまりうつむく。

 その気持ちは痛いほどわかってしまう。実際ユウもさんざん自分が勇者に決まっているからと、イキりまくっていたのだから。すべてを知っている人間からすれば、さぞ滑稽こっけいだったことだろう。


「ははは、ほんとよく気付かなかったよな」

「自分が転生者と思い出してきたのも、ある程度成長してからですしね。それに本当のことを言っても信じてもらえないのは、わかりきっていましたし」


 ユウたちの境遇は普通の人にとって、あまりに突拍子もないこと。口外すれば、変な目で見られる可能性大だろう。なので宣言したくても、自身の内に秘めておくことしかできなかった。それがまさかこのような事態を招くとは。


「く~、本来なら今ごろアリアが勇者になって、みんなにちやほやされてたところだったのに~」

「うー、こんなことになるなんて、想定外すぎるんだよ……」


 こぶしを震わせ悔しがるアリアと、頭を抱えるフェイ。


「クス、おもしろいことになったわね。村のみんなもこの話しで持ちきりよ。とりあえず勇者誕生は確定でめでたいのと、誰が選ばれるのかって賭けをしているほどにね」


 微笑ましげにユウたちを見守っていたセレナが、楽しそうに笑う。


「――ははは……、あっちはあっちで盛り上がってるみたいだな」

「クス、エレノアさん、そこのところ実際どうなのかしら?」

「すみません。私もみなさんと同じで混乱していて。本来勇者の回廊には、女神さまに選ばれた者しか入れないんです。なので私を起こした者に、力を譲渡すればいいだけだと思っていたのですが……。まさか条件に当てはまる人間が四人も来るなんて、想定外もいいところです」


 エレノアががっくり肩を落とし、途方にくれだす。


「しかも私の見立てでは、みなさんの力量はだいたい同じ。誰を選んでも、すばらしい成果を発揮するのが目に見えているというのがまた……。こうなってくると慎重に見極めないといけません。この中で誰が勇者にもっともふさわしいのかを。なのでみなさんには申しわけないのですが、少し時間をください」


 そして彼女は申し訳なさそうに頭を下げた。


「さすがにしかたないよな」

「つまりここからはアピールタイムってことね!」

「うーん、わたしのアピールポイント。なにかあるのかな?」

「フェイは毎日祈りを捧げるほど、女神さまへの信仰心が強いだろ。純真で慈愛に満ちていて、世界を救うためストイックに鍛練し続ける忍耐力もすごいし。崇高な志と合わせてその精神はまさに勇者の鏡。冷静沈着さと、高いカリスマ性でみなを鼓舞しまとめる姿は勇者の理想像といっていいかもな」


 自身なさげにちょこんと首をかしげるフェイに代わり、彼女の強味を答えてやる。


「アリアは? アリアは?」


 すると自身を指差し、ユウへ詰め寄ってくるアリア。


「そうだな。アリアの持ち前の天真爛漫てんしんらんまんさは周りを明るくするし、誰とでも仲よくなれるコミュ力の高さも旅において非常に役立つだろうな。あとかわいい外見から想像しにくいかもだけど、勇猛果敢ゆうもうかかんで決断力もある。だからみんなを引っ張るリーダー適正がすごく高いと思う」

「ワタシもお願いします」


 デューナも興味津々のようで、期待に満ちたまなざしを向けてくる。


「デューナは本から得た豊富な知識量に、頭がキレるから理にかなった最前の行動が取れる。あと冷たいようにみえて仲間思いで、周りのことをしっかり見ているんだよな。だから後方でのサポートはお手のものだし、的確な指示をだせる司令官みたいな感じで頼りになる」

「ユウくん、すごくわたしたちのこと見てくれてるんだね」

「ふーん、ユウにしてはやるじゃん♪」

「はい、見事な分析です」


 三人は気恥ずかしそうにしながらも、ユウの評価に満足げであった。


「なるほどすごく参考になりました」

「はっ!? どうせアリアが勇者になると思ってあまり深く考えてこなかったけど、ユウってなんかすごく勇者っぽくない!?」

「そうだね。やさしく気遣いもできて、度胸があり正義感もあるよね」

「はい、ちょっと子どもっぽいところもいい感じに熱血漢さを出していて、王道勇者っぽいです」


 アリアたちは思わぬ強敵だと畏怖いふしながら、ユウに対する評価を口に。


「ははは、さすがオレだ。勇者の風格がにじみでてしまってたか」


 テレくささを隠すためにも、髪をかき上げちょっとおちゃらけてみる。

 自分ではアピールポイントがあまりないのではと不安になっていたが、案外ユウはユウで勇者としていい線いっていたらしい。


「なるほど。その腕っぷしにも期待できそうですし、今のところポイントが高いですね」


 エレノアは瞳を閉じ、感心したようにうなずく。


「うわっ!? エレノアさまがユウに目をつけてる!? これは少しマズいかも!? こうなったら秘蔵のユウの恥ずかしエピソードで評価を下げないと!」

「かくなる上は、しかたないですね。アリア、加勢します!」

「おまえら卑怯ひきょうだぞ!」

「二人ともそれはさすがに……」

「フェイ、ユウに勇者の座をうばわれていいの?」


 アリアは止めようとするフェイの両肩をつかみ、うったえる。


「――うっ……、やろう!」


 フェイは長考したあと、先ほどと同じくおかしなテンションに。


「フェイまで……、そっちがその気ならこっちだって」


 このままでは好き放題評価を下げられかねない。

 なのでユウも参戦し、みんなでワーワー言い合う。


「みなさん!? 落ち着いてください!?」

「あらあら、みんな本当に仲がいいわね」


 それに対し困惑するエレノアと、微笑ましそうにするセレナなのであった。


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