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08 7月2日 ジュディス・ガードナーよりアルヴァ・ガードナーへ

 第九信

     ジュディス・ガードナーよりアルヴァ・ガードナーへ

                        七月二日






 お義兄様へ。


 まず最初に、手紙を出すのが大変遅れてしまった事をお詫び申し上げます。

 実の所、書きかけの手紙はあったのですが、出すところまでいかなかったのです。


 前回、お義兄様にお出しした手紙以来、特段にお伝えするようなニュースはありません。

 ですが、どんな出来事がお義兄様を楽しませるが分からないので書いておきます。


 日曜日には二度、礼拝にいきました。

 普段は朝の一度しかいかないのですが、その日はたまたま散歩をしたくなり、そのついでに教会に寄ったのです。

 礼拝の後、お義兄様と良くいかれた野原を散歩しました。

 でも一人で散歩していてもあまり面白い物ではありませんよね。

 お義兄様とお喋りしながら歩いた散歩は、いつもいつも心躍るほど楽しかったのですが。

 散歩は面白さの為にするわけではない、という事は理解しています。

 ですがどうしてもあまり歩く事が出来ずに、野原を少し歩いて家に帰ってしまいました。


 月曜日に散歩に行った時は、教会とは逆方向のロング・ストリートの方に行きました。

 あそこで一番大きなアッパークロスに住むリー卿が家を貸し出すと噂に聞いたのです。

 リー卿はスティーヴィントンの保養地にて静養をなさるとの事。

 どこか体調がお悪いのでしょうか?

 私はリー卿の家をグルっと回るように歩いて、そして家に帰りました。


 火曜日は、水曜日にフランシスからのお茶会に備えて、衣装と、お化粧の準備をしていました。

 精いっぱいのおしゃれをしたので、お義姉様も褒めてくれました。

 衣装は最近、仕立て屋さんに仕立ててもらった新しいドレスです。

 ジャケットが付いている丸みが有るドレスで、前はフロッキー加工が施され、脇の所がパックリと開いています。

 ジャケットはドレスと胴の所が繋がっていて、ポケットまで届く長さです。

 これだけだと以前作ったドレスと似ているのですが、明確に違う点としては袖飾りは付いていなく、ゆったりとした下で纏められる布地が付いています。

 って、結構長々と書いてしまいましたが、女性のドレスなどきっとお義兄様にはあまり興味ありませんよね。

 でも、もしお義兄様にも見せる機会が有りましたら褒めてくださると嬉しく思います。


 昨日は、ケリンチホールのフランシスからお呼ばれしていた、お茶会に行ってきました。

 ただ、誘っていただいたフランシスには悪いのですが、あまり楽しめかったお茶会でした。

 ドナルドお義兄様の事がなければ楽しめたかもしれません。

 私が、ドナルドお義兄様の事で落ち込んでいると思って誘ってくれたのは分かっているのですが……。

 楽しめなくてフランシスには悪いことをした、と思っています。


 参加者は私とフランシスを含めて六人です。

 私とフランシスとミッシェル、後はセラフィーナ・コールフィールド、ベティ・リスター、ユージニア・ローチという面々でした。


 まずお茶をしながら皆でくだらない会話をしました。

 ここでは不自然にも、ドナルドお義兄様や、お義兄様の話題は一切出ませんでした。

 きっと皆で私に気を使っていたんだろう、と思います。

 会話の内容は主に今流行の髪型だとか、ドレスだとかの話題です。


 それで、しばらく会話をした後、カードゲームをしよう、という話になり、皆でホイストをしました。

 チームは私、フランシス、ミッシェルが同じチームで、セラフィーナ、ベティ、ユージニアは相手チームです。

 私はホイストはあまり得意では無いのですが、ゲームは勝ったり負けたりを繰り返してしました。

 きっと、フランシスやミッシェルが上手くゲームを進めたのでしょう。


 途中でフランシスのご両親が顔を出しました。

 ノードリー子爵夫妻とお会いするのはドナルドお義兄様が我が家戻られた時、催されたパーティー以来です。

 この時のノードリー子爵は上着の裾が長い衣装を身に付けられていて、変な感じでした。

 きっと、新しく雇った仕立て屋が悪いのでしょうね。

 そして、私にも声を掛けて頂いたのですが、どこかよそよそしく腫れ物に触れるような感じでした。

 理由は分かっていますが、このような扱いがいつまで続くのでしょうか?


 私は、最近、大変な不安に苛まれています。

 ですが、とくに理由がある訳ではありません。

 ドナルドお義兄様のお加減も特に変わった様子はないのに関わらずです。

 お祖母様は一度、軽い風邪をひきました。

 ただ、お医者様は、心配しなくてよい、と言ってくれたので一安心しました。

 今、この手紙を書いている日は、熱もなければ、咳も止まり、体調も大分良いようです。


 ……でも、私は最近、心の奥底から湧き上がってくる、何ともいえない恐怖や不安が、私の心を蝕んできているような気がします。


 お義兄様にこんな事を言っても仕方がないのは理解しています。

 でも、この湧き上がってくる恐怖や不安はどうしたら良いのでしょうか?


 あぁ、お義兄様、どうすればこの恐怖から解き放たれるようになるのでしょうか?






 貴方の義妹、ジュディス・ガードナー。

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