↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
14/31

13 7月22日 ジュディス・ガードナーよりアルヴァ・ガードナーへ

 第十四信

     ジュディス・ガードナーよりアルヴァ・ガードナーへ

                        七月二十二日






 お義兄様へ。


 先日お義兄様から届けられた手紙の内容はまったく予想もしてないものでした。

 やっぱり、お義兄様は頼りになるし、私とは比べ物ならないほどの知識をおもちだと思います。

 と、書くとお義兄様は、アレは神父様から聞いた話をそのまま私に伝えただけだ、とご謙遜なさるかもしれません。

 でも、私ににはそんな手段すら思いつかずに悩んでいたのですから、やっぱりお義兄様のお力だと思います。


 私も教会で行われるという悪霊払いの儀式については聞いた事がありますが、それに使われる聖水が特別なものだと言う事はちっとも知りませんでした。

 そしてそれを行う祓魔士という特別な聖職者についてもです。

 サウサンプトンはちょっと離れていますが、大丈夫、上手く使用人に話して取りにってもらいます。

 勿論、使用人にはドナルドお義兄様の事に関係があるなんて一切話しません。

 ……そうですね、頼む使用人はエリックにしようと考えています。

 古参の使用人であるエリックなら私も、そしてお義兄様も信用できると思っていますし、このような重要なお使いを頼んでも安心出来る、というものです。

 勿論、核心の部分は幾らエリックでも言う事は出来ませんし、少しは不審がられるかもしれません。

 ……私がいくら黙っていてもある程度の事情は察してしまうかもしれません。

 ですが、エリックならばある程度の事情を察していてもなお、お祖母様方に黙って引き受けてくれると思っています。


 本当は私が行けると良いのですが、さすがにサウサンプトンまで私一人で行くわけにはいきませんし……。

 私がもっと大人だったら、スグにでも自分で取りに行くのですが、こればっかりは仕方がありませんよね。

 それに、私自ら遠出するとなると、どうしてもお祖母様やお義姉様に根掘り葉掘り聞かれてしまいますもの。

 お祖母様やお義姉様にも決してこの事は言えないですしね。

 少なくともドナルドお義兄様がお変わりになった原因がハッキリするまでは……。

 首尾よく聖水を手に入れたら、隙をみてお義兄様に言われた方法で、ドナルドお義兄様に飲ませて見ようと思います。

 大丈夫です、決して気付かれるようなミスはしませんから。


 上手くいけば、次の手紙にでも結果をお知らせ出来ると思います。



 と、これだけで手紙を送ってしまっては、お兄様がきっと退屈するでしょうから、近況報告も書いておきますね。


 親戚のオットー様に赤ちゃんが無事に生まれたとご報告がありました。

 私はそれを聞いて素直に喜びましたが、どうもお祖母様とお義姉様は複雑そうな顔をしていました。

 理由は私にもなんとなく察しがつきました。

 ……ドナルドお義兄様が以前のような性格に戻られれば、きっと我が家にも新しい家族が誕生すると願っています。

 取り敢えず、我が家の事は一旦おいて、赤ちゃんを出産されたオットー様の奥様には一番の祝福を、その赤ちゃんには健やかに育つように二番目の祝福を心の中で願いました。


 火曜日にはお義姉様の知り合いであるカールソン子爵夫人からお茶会のお誘いが有り、私も参加しました。

 参加者は私、お義姉様、カールソン子爵夫人、ハーリー男爵夫人、ハムネット姉妹の六人でした。

 同年代の方は居なくて年上の人ばかりでしたので、私は添え物みたいに時折話を振られては頷いたり、首を振ったりとするだけでした。

 でも、お義姉様に取っては良い息抜きになったようで、家ではあまり見せなくなった笑い顔を見る事が出来たので参加して良かったとおもっています。

 お茶を堪能した後は三人ずつに別れてカードゲームのオンブルをしました。

 私はカードゲームはあまり得意では無いので終始負けっぱなしでした。

 お兄様がまた家にお戻りになったら、ぜひコツを教えてください。


 お茶会が終わり家に戻ると、丁度お医者様がお帰りになる所でした。

 お祖母様とドナルドお義兄様の様子を見に来たのです。

 呼び止めてお話しを聞いた所、お祖母様の体調は平行線を辿っていて、良くも悪くもなっていない、との事でした。

 お医者様はお祖母様は歳が歳なので悪くなっていないだけでも喜ばしい事だよ、と私を慰めるように言ってくれたのですが、時折お身体を辛そうにしているお祖母様をまじかで見ているだけに、良くなっていない事が残念でなりませんでした。

 ドナルドお義兄様については、家に戻って来た時点で治るべき怪我は全て治っており、あとは全て精神の問題だと言っておりました。

 やはりお医者様は身体を治すことに掛けては専門家でも、心の、ましては悪霊がついている、なんて話にはまったくの専門外のようです。

 以前、チラリと聞いた話から推測するに、どうもドナルドお義兄様にも療養所行きを勧めるようなお話しも出たようです。

 ただ、本当にドナルドお義兄様の心に悪霊が取り付いているのであれば、いくら療養所などに行っても治るとは思えません。

 なので、出来るだけ早く聖水を手に入れて確かめなければならない、という気持ちが強くなりました。






 貴方の義妹、ジュディス・ガードナー。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。