Ⅲ「しのぶれど 色に出でにけり その恋を」
「と、いうわけで……カナの恋を成就させるのは我等が3組の務め!よって僭越ながら私、カオリが代表としてこの作戦会議を仕切らせてもらいます!」
「ヒューヒュー!」
「やんややんやー」
「それでは只今より、この作戦会議においては『師岡』をA、『山中』をBと呼称することとします」
「代表、その意図は?」
「無論、通りすがりの生徒・教師に秘密が漏れないようにするためです。わがクラスのAのために、危険因子は排除しなければなりません。あくまでも『見た目は体育祭に向けての会議』を装うのです」
「おおー、なんか秘密会議っぽい!」
「本音は?」
「こんな面白いもん、他の連中に嗅ぎつけられて勝手に進められたらムカつくからに決まってんじゃん」
「「「ですよね~」」」
◇
「それでは、まずAの最近の動向についての報告を」
「報告も何も………分かりきってるというか、見る人が見れば丸わかり、だよね」
「まあねぇ。なんかチラチラ見てるしさ」
「隣のクラスの前で立ち止まるしさ」
「すれ違うと顔真っ赤にして足早にすれ違った後に振り向いたりしてさ」
「「「いや〜もう……尊いねぇ」」」
「………報告するまでもない、か。ではBの動向を、前原調査員からお願いします」
「そっちが大事よね」
「はいは〜い。それでは報告します。まずは最近のからね。隣のクラス、つまりBと同じクラスの子が狙ってるのを確認済みです」
「え?マジ?」
「それ、ちょっとヤバくない?」
「だって結構接点多いんじゃない?」
「カナはまだロクに話してもないんだよ?」
「そう!そうなんだよね。周りの子達もバックアップばっちりしてさー。この前なんか一緒に帰らせるように誘導してたりしてたんだよ」
「おーのー!」
「それで?その後は?」
「…………まだセーフです!」
「おおおおお………」
「これ『慰める会』になるのかと思った……!」
「なんか夏休みに告ったけど、その時は『別れたばっかだから、ごめん』って言われたんだって。でもまだ諦める気はないみたい。結構しゃべっている事多いよ」
「う〜ん。これは予断を許しませんね」
◇◇
「でもさ、その中学の時の相手とはどうなってんの?」
「あ〜、これはカオリの方が詳しいでしょ?」
「まあ、そのカノジョだった人とは友達だったからね。同じ部活で、同じ学校に行こうって言ってたらしいけど、別々の学校に進学した後に別れた……というか、距離ができたみたいね」
「そうか〜遠恋はムズかしかったか〜」
「逆に言うと、仲違いした訳じゃないから、ヨリ戻そうと思ったらできるってことでもあってね。実際、この前相談受けたんだよねえ」
「ストーップ!ナニソレ?」
「それはマズくない?」
「あんたどっちの味方よ?」
「私?そりゃあもちろん、面白い方♡目の前で尊い姿、みたいじゃない?だから『新しいカノジョ、できたみたいよ』って言っといた」
「うわ、外道………!」
「失礼な。真実にすれば問題ないでしょ?と、言う訳でそっちは既に対策済み。それにその子、しばらく留学するみたいだし」
「そっか。もっと遠距離ってことね」
「そ。まぁそれでもあの子の行動力ハンパないから、急がないといけないんだけど、ね」
「そうかもだけど、Bの方はどう思ってんのよ?『告らせて玉砕』って、それは避けたいよ」
「ん。その辺は、いっつもBが教科書借りに来る大野君から話を聞きだしてきたよ」
「でかした!松本調査員!」
「結論から言うと、ハッキリしたことは分かってない。けど、気にしてるのは間違いないってさ。二学期からしょっちゅう来るのなんで?と思って見てたら、視線の先がカナばっかだったって」
「え、ほぼ確では?」
「でも他にも決定打が欲しいなぁ」
「だって話してもないんでしょ?」
「あーじゃあ、わざと乗るバスの時間合わさせて、近くに押し込んでみるってのは?」
「……ほほう?」
「それは面白い反応が見られそうだ」
「いつやる?」
◇◇◇
「いや〜……朝から良きものを観られましたなあ」
「でもさぁ、もう少し話せることあるもんじゃね?」
「どっちもヘタレ……」
「本人は超喜んでたけどね」
「まぁ一つ言えることは、山中……おっとBも悪い感情は持ってないよね」
「私達からすれば、お互い緊張しているのが丸わかりってのが、また何とも!」
「ムズムズするよねー」
「さて、どうする代表?」
「うん!このままだとちっとも先に進みそうにないからちょっと強引に進めよっか」
「良いんじゃない?」
「とするなら、シチュ考えなきゃ、だね!」
「夕方ならサッカー部の久保にも協力してもらって呼び出せば?それでその時に念のため気持ち聞き出してもらうの」
「それ採用」
「あとは〜……………」
◇◇◇◇
「ほらカナこっち来なさい」
「え?なによカオリ?それに………これ何の集まり?」
「「「あんた幸せにする会、だよ」」」
「………え? は? なんて?」
本音はね、カナ。
私も、ちょっとだけ気になってたんだよ。
中学の時、最初に友達から自慢気に紹介された時に、どんな人なんだろうって興味持ってて。
そしたら高校で一緒になって、話すようになってさ。
だから、カナが彼の事が好きだって分かった時に、私の方が先に知ってたのにって、ちょっと思っちゃったんだ。
私の気持ちは、多分、まだそこまで大きくなる前……だったから、応援したいって思ったの。
それに、彼もあなたに気があるって、わかっちゃったし。
ごめん。急がせちゃって。
でも、そうでもしないと、応援できなくなるかもしれないから、ね。
だからさっさとくっつけ、バカ。




