通り過ぎる奈月と渡り廊下の攻防
今回で30話達成です。自分の中での目標の一つだったのでクリアできたのはとても嬉しいです。この作品を読んでくださっている方々が居るという事は大きな励みになっております。ありがとうございます。このまま完結するまで続けていければと思っておりますので、よろしければお付き合い下さいませ。
廊下の角を曲がり、渡り廊下までもう少しというところで、恭一達から十メートル程離れた先に女生徒の姿が見えた。
「会長?」
奈月の姿を発見し、恭一がハリセンを構える。
「……」
奈月は恭一達の方に顔を向けてしばらく立ち止まると、近くにある階段に向かって歩き出し、そのまま階段を上っていった。
「どこに行くんだろう、会長」
その様子が妙に気になった恭一は奈月の上っていった階段を見つめて考え込む。
「恭一さん、体育館に急ぎましょう」
「おっと、そうだったな。ごめんごめん」
ルキエナに急かされ、
(何だったんだろう。妙に気になるな)
恭一は首を傾げながら体育館へと急いだ。
渡り廊下まで来るといよいよ生徒達の襲撃が激しくなった。
恭一はその攻撃をかわしながら、襲い来る生徒達を次々とハリセンで気絶させていく。
「とりゃ!」
パシーン
「でーい!」
バシーン
「チェスト!」
スパーン
生徒達をなぎ倒しながら進んでいく恭一の前に一人の男子生徒が立ちはだかる。
「多田!」
「モテタイ、モテタイ、モテタイ」
多田がモテタイを連呼しながら迫ってくる
恭一は多田の突進をかわすと躊躇することなくハリセンを振り上げる。
「スマン多田」
パシーン
「モテタ……イ」
恭一は多田が倒れる姿に一瞬だけ目を向けると、
「このまま一気に突破するぞ」
渡り廊下を駆け抜けた。
いつもお読みいただきありがとうございます。




