強引な手段
夕食を済ませた後、恭一とルキエナはリビングに集まり、キューブでウアルフェを呼び出して今後の対応を相談し始めた。
「そうか、宝玉の持ち主との交渉に失敗したか。難儀なことじゃのう」
ウアルフェが顔をしかめて腕を組んだ。
「しかし、そういう交渉の時こそ、好印象を与える加護の出番であったのに、施さなかったのか?」
ウアルフェがルキエナにジト目を向ける。
「すみません。突然目の前に宝玉を出されたもので焦ってしまいまして」
ルキエナは身を縮こませた。
「うーむ、それほどまでに相手に警戒されてしまっては加護で印象を変えても効果はないじゃろうな。どうしたものか」
ウアルフェが顎に手を当てて考え込む。
「このままだと、また生徒会役員の誰かが体調を崩したりするのか?」
「うーむ、当然そうなるじゃろうな。宝玉の力も強くなっておるようだし」
「そういえば副会長だけは休まなかったんだよな。宝玉を持ってる本人だから一番影響を受けそうなのに」
恭一が不思議そうに首を傾げた。
ウアルフェがその言葉を受けて苦々しい表情になる。
「問題はそこじゃ。宝玉が持ち主の事を本格的に宿主として取り込もうとしているのかもしれん」
「それってやばいんじゃないか?」
「うむ、しかも宝玉が奪った気力を持ち主に分け与えることで、『この宝玉を持っていると元気がでる』と勘違させて宝玉に依存させようとしておるのかもな」
ウアルフェはそう締めくくると黙り込む。
「……」
「……」
「……」
深刻な事態に恭一もルキエナも何と言っていいかわからずに黙り込んだ。
「いよいよ強引に奪う時が来たようじゃな」
ウアルフェが沈黙を破る。
「もう少しだけ時間をくれないか? 明日もう一度説得してみるから」
恭一はどうにか強引な方法を思い止まらせようとした。
「フム、いいじゃろう。もう一日だけ待ってみよう」
ウアルフェを思い止まらせることができて恭一はほっとする。
「ただし、明日一日だけじゃぞ、ワシはワシでこちらの管理神に制限の解除を要請しておくからな」
ウアルフェが恭一を射抜くような目で見る。
恭一はウアルフェから鳥肌が立つようなプレッシャーを感じながらも、
「ああ、わかってる」
決意を込めた目で見つめ返す。
「フフ、いい面構えじゃな。ワシとしても出来ることなら強引に奪うなどということはしたくない。お主に賭けてみよう。頼んだぞ」
ウアルフェが不敵な笑みを浮かべた。
「大丈夫です! 私も出来る限り協力しますから!」
ルキエナがやる気をみなぎらせてファイティングポーズをとる
「二人共頼もしいな。成功を期待しておくとしよう。それではのう」
キューブの光が消えた。
ルキエナがキューブを懐にしまう。
「明日次第か……」
恭一は天井を見ながらそっと呟いた。
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